深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第13回:飛び石被害のついでにセンシング系機器の修理費用を調べてみた
2019年10月31日 00:00
筆者のN-VANの走行距離は10月後半の段階で約2万3000kmで、エンジンオイル交換はこれまで6回ほど行なっている。N-VANのターボエンジンでは0W-20か5W-30が推奨粘度になっているのだけど、筆者は高速道路を走る機会がかなり多いので、オイル交換時は少し粘度が硬めの「ウルトラLTD 5W-30」を指定している。
そしていつものように、クルマを購入したホンダカーズ東京 中央調布インター店にN-VANを持ちこんでオイル交換を行なう。今回はオイルフィルター交換なしなので費用はエンジンオイル代+ドレンワッシャーのみの3309円。軽自動車はこういったところの費用も安価なので、距離を乗る身としてはとても助かる。
オイル交換の作業風景を撮影をさせてもらうため、許可を取って工場内に入れてもらった。そしてリフトに上がっているN-VANを見てちょっと気になったのが、CVTやトランスファー、リアデフ(筆者のN-VANは4WD)の油脂類の交換時期だった。
そこでホンダカーズのサービス担当者に交換時期について質問してみたところ、筆者のように距離を走る場合はシビアコンディションとなり、CVTフルードは3万kmくらい、デフまわりは4万kmで交換するのがいいのでは、というアドバイスをもらう。そうなると今のペースでは、車検のころ(2020年8月)にCVTフルードを交換するのがちょうどよさそうだ。
このCVTなど駆動系の油脂類交換は、新車時に加入することが多い点検パックには含まれていないので見落とされやすい部分でもある。N-VANのCVTは「N-BOX」と同型ながら、貨物車向けに強化された仕様になっているが、適切な時期に油脂類の交換をしておかないと痛みも出るかと思う。そんなことからも、走行距離が多いN-VANオーナーの方はエンジンだけでなくCVTなどの油脂類交換にも気を配っていただきたい。
ガラスにセンシング系機器……気になる部分の修理代を調べてみた
高速道路を使った移動が多い筆者は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)をよく使用する。この機能についてご存じの方は多いだろうが一応書いておくと、N-VANのACCはフロントウィンドウ上部にあるカメラとフロントバンパー下部のロアグリル裏に付いているレーダーセンサーで先行車との距離を測り、設定した速度域、車間距離をドライバーのアクセル/ブレーキ操作なしで保つもの。他のクルマの同様の機能と比較はできないが、N-VANのACCでは速度、車間などの調整に不安や不満はなく、安心して使っていられると感じている。
ACCを使うには、ステアリング右下にある「MAIN」スイッチを押すとACCが立ち上がり、次はリング状の集中スイッチ内下段にある「-/SET」を1度押す。これでその時点での速度を最大値としてACC走行が始まる。
ここで最大値をもっと上げたい場合は、集中スイッチ上段の「RES/+」スイッチを押す。短く押せば1km/h単位で上がり、長押しすると10km/h単位で上がる。反対に設定速度を下げたいときは「-/SET」を押すと下げていける。ワンプッシュで1km/h単位、長押しで10km/h単位だ。
この操作はすぐに覚えられるものだし、スイッチ自体も大きくて操作しやすい。それに各スイッチ名称やアイコンは黒いベースに白文字で書かれているので、昼夜問わず視認しやすい。
まあ、操作に慣れてしまえば文字やアイコンを見なくても操作できるのだけど、慣れていないうちは手元を見て操作するし、なにより走行中に触るモノなので「チラ見」でそこに何が書いてあるのかが分かることは大事。それに、ACCなどの便利機能は使ってナンボのもの。操作しやすければ機能を使う機会も増えるはずなので、N-VANのこの操作系はいいと思う。
そんなACCだけど、車間を長めに設定しても使用中は前を走るクルマやトラックのタイヤが拾い上げる「飛び石」を受ける場合もある。しかもN-VANはフロントウィンドウが立ち気味なので、飛んできた石の勢いをそのままに受ける傾向、筆者も何度か「バチーン!」と大きめの音を聞いている。
まあ、それでもこれまでは運よく被害はなかったのだけど、ついに目で見て分かる飛び石キズが付いた。しかも運転席側に付いてしまったため、小さいキズであっても車検不合格になる恐れは大きい。
でもまあ、不幸中の幸いとして付いたキズは小さい。だから今回は樹脂系溶剤を注入するリペアで解決できるレベルだが、再び被害を受ける可能性は十分にある。そこで「もしフロントウィンドウを交換するとなったらいくら掛かるのか?」が知りたくなり、オイル交換のついでにフロントウィンドウを交換した際の修理見積もりを作っていただいた。
その見積もりによると、N-VANのフロントウィンドウ交換には工賃を含めて約17万円とのこと。これはけっこういい値段と感じたが、カメラ付きのフロントウィンドウではこのくらいの値段は一般的で、高いモノだと20万円を越えるケースもあるらしい。
まあ、ほかの修理工場や自動車ガラス専門店にいけばもう少し安い値段であるのかもしれないが、とにかく一方的に受けてしまう飛び石被害で高額な修理費はお金のやりくり的にも気持ち的にもかなりキツイものである。
今どきのクルマには車両保険は必須なのかも
ホンダでは全国のホンダカーズで販売する自動車保険にオリジナルの特典を加えた「Honda自動車保険あんしんプラン」という保険を用意していて、ここには「あんしん特典」という名目でフロントウィンドウ交換の際に10万円の補償金額の設定がある(適用条件あり、自己負担金は1000円)。
筆者はこの「Honda自動車保険あんしんプラン」にしていて、N-VANは特典の適用内となっている。この特典を使ったとするとフロントウィンドウ交換は約7万円まで下がるが、まだまだそれなりの金額だ。
ならばここで車両保険を使うとどうだろう。筆者が加入している保険では飛び石によるフロントウィンドウの破損は保険の適用範囲。等級から見ると使用してもそれほどの割増しにならないはずだし、初回の免責は0円なので10万円を補償してくれる特典よりもこちらを使うほうがお得に思える。
ただ、飛び石被害や事故などはいつ起こるか分からない。1年に複数回遭ってしまう可能性もある。そう考えると、もしガラス交換をするならプレミアム保証を使うほうがいいような気がする。
読者の方で似たような状況の人がいるかもしれないが、このあたりは契約者の年齢や等級、そして車検までの残り日数や被害の程度などなどケースごとに状況が変わるので、どの補償を使うのが最適かは担当の営業スタッフに相談したいところだ。
さて、ガラス交換費用を聞くついでに以前から気になっていたセンシング系機器の修理に関しても聞いてみたので、それについても紹介していこう。
N-VANはフロントウィンドウ上部のカメラのほか、フロントバンパーの右側(運転席側)下のロアグリル裏にレーダーセンサーが入っているのだけど、N-VANに限らず最近の軽自動車のバンパーが頑丈というイメージはない。その時にサブレーダーを壊してしまったら……センシング系の機器はすべて通信でつながっているので、一部のセンサーが壊れると安全装備や運転支援の機能が使用できなくなるのだ。
これは放置しておけないものなので修理となるが、調べてもらったところバンパー内のレーダーセンサーの部品代はブラケットなど含めて約4万4000円。センサー系の付け直しではすべて作動状況を調整するエイミング作業が必要なので、それを含めた技術料(工賃)は約1万4000円となっていた。
ちなみに、もし事故などでフロントウィンドウのカメラを壊してしまったとすると、この価格が周辺部品込みで約5万5000円、技術料は約1万2000円。あと、前まわりをぶつけるとヘッドライトにも被害が出そうなので、センシングとは関係ないがこれについても聞いてみたところ、+STYLE FUNの丸目LEDライトAssyは片側約5万2000円で、技術料は約1万5000円(両側交換の場合)とのこと。なお、今回紹介したすべての部品の金額は2019年10月27日調べのものだ。
板金修理では、例えばバンパーフェイスなどを中古品にして修理費を少しでも抑えることも可能だが、センサー系の中古品は動作状況がハッキリしないので、あったとしても使うことはお奨めできない。それだけに、もしぶつけてしまったときは修理費が高めになるということ。
それに前記した飛び石被害でのガラス交換費用のこともあるので、N-VAN(に限らず最近のクルマ)を購入した際は、保険料が多少上がったとしても車両保険にも加入しておいたほうがいいだろう。もし、外して契約しているのなら加入している保険の担当者に相談してはいかがだろうか。
最後にもうひとネタ。そろそろスタッドレスタイヤの時期だが、N-VANに履けるサイズでは新製品が出ていないので、個人ユーザー向けでは筆者のN-VANも購入したブリヂストン「ブリザック VL-1」か、ダンロップ「ウインターマックス SV01」あたりになるだろう。まあ、新製品がないのは寂しいが、筆者が前回の冬の積雪路を走った感じではなんら不安も不満もなかった。なお、今履いているTOYO TIRE「オープンカントリー R/T」はマッド&スノー表記なので多少の積雪は走れるかもしれないが、凍結路はNGなので12月ごろには購入済のスタッドレスタイヤに履き替える予定だ。