深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう

第4回:N-VANの満足度を上げる用品祭り

取材先で思いがけない雪に遭遇。2018年12月に装着したブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック VL-1」の実力を発揮するときがきた

 出張先のホテル、朝起きてカーテンを開けたら外はなんと雪。天気予報では曇りだったので予想外の白い風景に「マジですか」と思わず声が出たが、これは2018年12月に履いたブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック VL-1」を雪道で試すチャンス。いつまで降り続くか分からないので、とりあえず出発時刻を早めて新雪が積もった道を走ってみた。

 この日の雪は細かくサラサラの雪質。スタッドレスタイヤと雪質の相性に詳しいわけではないが、湿った雪よりだんぜん滑りそうな感じ。駐車場には雪がそこそこ積もっていたのでいきなりスタックしないか少し不安もあったが、タイヤは1度も空転することもなく拍子抜けするほど楽にスタートできた。

写真を見ると雪質が分かると思う。この雪の上では縦、横ともグリップに不安を持つことはなかった

 駐車場を出てからあえて雪の多い道を選んで走ってみたが、ここも至って普通に走れてしまう。ステアリングをいつもより少し大きく急に切っても、乾燥路とほぼ変わらない感覚でクルマは反応。ロールしてタイヤに荷重が載るあたりでもズルっといかずに旋回に入る感じだ。

 コーナーでもステアリングの手応えがしっかり感じられるので安心感があったし、奥で回り込むようなところでステアリングを切り足してもその分ノーズが切り込んでくれる。軽い下りのカーブで強めにブレーキを踏んでも車体が横を向くことなく止まれた。もちろん速度は乾燥した路面より落としているけれど、そもそも雪道を乾燥路と同じペースでは走らないので、個人的にはもう十分な性能だ。

 ただ、この日は圧雪路や凍結路面には出くわさなかったので凍った場面での走りは試せなかったが、そもそもブリザック VL-1は氷上性能が高いところを謳っているのでそこも大丈夫な気がする。

アンダーフロアの保護に加えて見栄え向上のために

 想定外の降雪に出くわしたので、急きょスタッドレスタイヤの試走ネタを入れたけど、ここからが今回の本題である。

 ある日帰宅すると、N-VANを購入したホンダカーズから点検の案内が届いていた。「持っていかないとね~」と思いつつ、ハガキに書いてある項目を見ていくと、下側に小さくあったアンダーコート施工を紹介する部分が目に入った。

 アンダーコートとは、タイヤハウス内やアンダーフロアに錆や傷が付くことを予防するためのシャシー保護剤のこと。冬期に融雪剤をまく地域や海沿いに住んでいる人にはおなじみのものだろう。

 このアンダーコートを最初から塗布しているクルマもあるが、N-VANは塗っていない。とはいえ鉄板自体に防錆性能があるし、未塗装ではないので錆に対して無防備というわけではない。でも、厚めの塗装に保護されているボディ外板と比較すると、錆に対しては防御が低いと言えるのでアンダーコート塗布には以前から興味があったのだけど、錆予防とは別にもう1つアンダーコートを塗りたい理由があったのだ。

 ほぼ不満のないN-VANだけど、クルマを横から見たときにタイヤハウスの奥にボディ色が見えることがどうしても気になっていた。ひと言で言ってしまうと安っぽいのだ。ちなみにN-VANのカタログ写真を見ると、掲載されているクルマはすべてタイヤハウス内が黒いのでやはりここは黒くしたいのである。

 そこで考えていたのがタイヤハウス内を黒く塗ることだけど、どうせ塗るならシャシーブラックとかではなくて、防錆や飛び石からの保護効果があるアンダーコートがいい。そこに今回の案内、しかもホンダの純正ケミカル品とのことなので「これはやるしかない」と、N-VANを購入したホンダカーズ東京中央 調布インター店に連絡した。

N-VANのアンダーフロア。鉄板自体に防錆性能はあるが、それに加えて錆や傷付きから保護するアンダーコート剤を塗りたいと考えていた
タイヤハウスの奥にボディ色が見えるのはかなり気になっていた。ちなみにN-VANのカタログ写真を見ると、掲載されているクルマのタイヤハウスはすべて黒く落ちていて、それを見ると「黒いほうがいい」と思うのだ

ホンダアクセス製のスリーラスターを塗布する

 純正ケミカル品として用意されているのは、ホンダアクセス製の「スリーラスター」というスプレー式のアンダーコート剤。これは自己修復性のある柔軟な皮膜の塩害対策用ワックス系長期防錆剤というもので、走行中の飛び石や砂利などがあたることでアンダーフロアに傷がつくのを軽減すること、そして融雪剤や潮風、海水が原因の塩害でアンダーフロアに錆が出たり腐食したりすることを軽減する効果がある。効果の目安は約2年となっている。

純正ケミカル品のスリーラスター。同様のアンダーコート剤との比較テストも行なっていて長い効果があることを実証している。ブラックのほかにクリアタイプもある。何度も塗り直すものではないし、施工の手間も掛かるので、効果や持続性に信頼のおけるものを探すとやはり純正品になった
こちらはホンダカーズ東京中央 調布インター店のサービスフロント主任 高端さん。アンダーコート剤に関していろいろ相談させていただいた

 さて、このアンダーコートはアンダーフロア全体に塗るのが理想だが、N-VANと言えどもそれなりの塗装面積があるのでお値段が気になる。そこで今回は予算を抑えつつ、効果的な塗り方でお願いした。それが前後のサスペンションメンバーとアームなどのスチール製パーツ、それにタイヤハウス内にフロアパネル両サイドにある合わせ目の部分だ。

 塗った部分は写真で確認してもらうとして、これだけ塗ってスリーラスターは3缶使用。支払った金額は下まわり洗浄と塗装、すべて込みで2万4840円だ。塗り終わった感じから想像すると、アンダーフロア全体にスリーラスターを吹いてもらった場合の費用は4万円程度じゃないかと思う。ただ、新車のときに吹いておけば下まわりの洗浄代が掛からず、もっと安くなるはずなので、納車がこれからという人は担当営業スタッフに問い合わせてほしい。

スプレー式なのでDIYでもできそうな気もするが、下まわりの洗浄もあるし、粘性の強いスプレーなので吹き方にもコツがありそう。また、スプレー缶を立てて使うにはかなりの高さまで車体をリフトアップしなければならない。そんなことからDIY施工はやめて素直にディーラーに依頼した
メンバーやアームは複雑な形状なので、塗り残しがないかチェックしながら塗布していく。それにしても、タイヤハウス内はやはり黒だ! いい感じである
こちらはフロント側。今回は必要最低限の部分だけ塗ることにしたので、アンダーフロアに取り付けてあるスチール製のパーツとタイヤハウス内への塗布が中心だったが、ここまで塗るとやはり全面に塗りたくなってくる
リア側。4WDなのでプロペラシャフトとリアデフがある。リアもメンバーとアーム類を塗っている
サイドシルの合わせ目にも塗布されていた。スリーラスターはブラックのほかにクリアもあるので、黒くしたくない場合でも施工可能
一番の目的であったタイヤハウス内を黒くすることは達成。納車前にスリーラスターの存在を知っていたら他の用品装着と合わせてお願いしていただろう
スリーラスターを塗る前の姿。タイヤハウス内にボディ色が見えていたのがかなり気になっていた
スリーラスターを塗ったあと。塗る前と比べてずいぶん締まった印象になった、と個人的には思っている
今回の作業はホンダカーズで行なっているので完了日から6か月、もしくは引き渡しから1万km以内の期間で整備保証も付く。なお、N-VANのカタログを見るとボディ外板の穴あき錆保証が5年、ボディ外板表面サビ保証が3年となっているが、アンダーフロアにこの保証は関係ないと思われる。だからこそアンダーコート剤で保護しておくのは正解

N-VANは装備を考えるのも楽しいクルマ

 N-VANは多用途に使えるので、自分の趣味や用途に合わせたカスタマイズをしていくのが楽しいクルマだ。それだけに、新車購入時には純正アクセサリーの購入点数が増えがちだし、買ってからも社外の用品ラインアップがかなり気になる。ということで、ここからは用品の紹介をしよう。

 N-VANは軽貨物車なので質感という面では正直乏しい。まあ、それは分かっていたのだが、若いころは所有するクルマのほぼすべてにナルディクラシックのレザーステアリングを付けていたくらいなので、樹脂剥き出しのステアリングだけはどうにもガマンできそうもなかった。

 そこで純正アクセサリーの「ステアリングホイールカバー」を装着。材質は本革でステッチは黒とシックなのも好みだし、握り心地は革巻きステアリングと同じ感触。また、純正だけにフィット感も高く、見栄えもずいぶんよくなってくれた。同時にシフトノブも純正アクセサリーの本革タイプにしたが「手で触るところの質感は大事だね」としみじみ感じるくらいの満足感アップとなった。自分が気に入ったから言うわけではないけれど、とくに勧めたいのがこの2点である。

 そのほかの用品や自分が見つけたアイテムは写真で紹介するが、質感や便利さを向上させるカスタマイズはいわゆる「趣味部屋作り」のようでなかなかに楽しい。N-VANを手に入れた方はぜひ自分なりのアイテムを選んで上手に組み込み、満足度をアップさせていただきたい。

ホンダアクセス製の「ステアリングホイールカバー」。黒本革、黒ステッチで価格は9720円。太さ的にも違和感はない
こちらはステアリングホイールカバーと同じ材質を使った「シフトノブ」。ステッチも同じなので雰囲気の統一も取れている。ノブごと交換するタイプで6480円
純正アクセサリーの「フットライト」も装着。白色LEDでドアを開けたときに運転席、助手席の足下がかなり明るく光る。また、スモールランプとも連動しているのでスモールランプ点灯(ヘッドライト点灯含む)のときにはドア開閉時の明るさからかなり減光して運転席、助手席の足下をうっすら照らしてくれる。フロント左右セットで1万800円
カーナビをどれにするかというのを一番迷ったが、ここは8インチプレミアムインターナビ「VXM-187VFEi」(20万5200円)にした。決め手はカーナビ使用時に音声検索ができること。ルートはインターナビのおすすめを選んでいるが、「マジか」というようなルートは選ばないので今のところ信用している。大きな画面は見やすいしタッチ操作もしやすいと思う
8インチプレミアムインターナビ(VXM-187VFEi)につながるUSBケーブルとHDMIケーブルも付けた。ケーブルは助手席のダッシュボードから出てくるが、フタがないのでごちゃつく。そこで純正アクセサリーの「インパネトレイリッド」(5400円)を装着。右上をプッシュすると開く作り。多少あと付け感があるけど、ケーブルが隠せたのでヨシとする
純正ルームミラーは拡大鏡。そのため後続車が実際の車間距離より近くに感じられるのだが、これがイヤでワイドミラーを付けている。ミラー越しに見る後続車の車間は実際の距離に近くなったと思う。また、見える範囲が広がるのでクルマ側面の死角も減った
N-VANの助手席はダイブダウンする都合上、座面がフラット。そのためカバンなどを助手席に置いておくとブレーキングで前に滑り落ちることが多い。そこでカー用品店に置いてあるヘッドレストに付ける吊り下げ用フックを装着した。ここにバッグのストラップを引っかけると滑り落ちない
カバンを引っかけるとこんな感じ。このフック、本来はシート裏側に袋を吊り下げるためのもので、前にフックがあると助手席に人が座るときにジャマのように思えるが、フックを手でまわせば簡単に後ろ向きになるので不都合はない
純正アクセサリーの「ルーフインナーサイドパイプ」(ロングタイプ/2万1600円)もオススメするアイテム。これがあるとリアスペースの使い方が広がる。自分はホームセンターの園芸コーナーにあったネットを両端に渡し、小物を置くためのルーフネットをやってみた
そこそこ便利だったルーフネットだが、机と椅子を出すオフィスモードのときや立って作業するときにネットがジャマで、その都度片方を外していたが、あるとき「下側を持ち上げて袋状にするとよいのでは?」と閃いた。そしてクリップで挟んで袋っぽくしてみたところこれがすごく便利。大きなものから小さいものまでポイポイ入るし、右の後ろなら視界のジャマにならない。純正採用を希望しますっ!
左側のルーフインナーサイドパイプはこんな感じ。ぶら下げたり挟んだりと、こちらもずいぶん便利に使っている
ボディカラーとマッチしているケース。純正アクセサリーにも見えるが、これはニトリの通販で買った「カバコ」という収納ケース。横60cmと横30cmのものを並べると幅がぴったり。フラップ式と引き出し式があって、シリーズ内のものなら積み重ねてセットできる。ただ、家庭用なので夏場の車内の温度で変形するかもしれない。ピッタリでも流用品はあくまでも自己責任で使うのだ
これはホームセンターに売っているマグネット式のフック。耐荷重2.5kgのタイプだ。N-VANはリアスペースのボディに鉄板剥き出しの部分が多いため、マグネットフックが便利に使える
袋を吊ったり小物を引っかけたりと用途はいろいろある。磁石サイズが大きければ重いものも引っかけられるが、大きい磁石が付くほどのスペースはあまりないので付けられる場所は限定される。そこで小さいのを複数揃えた
東京オートサロンのホンダアクセスブースに展示されたN-VANベースのカスタムカー「TRIP VAN」。このクルマには檜の圧縮木材を使ったインテリアパーツが使われていて、ドアを閉めておくと室内に檜の香りがすると聞いた
「芳香剤は置きたいと思わないけど天然の檜の香りはいいなぁ」と思っていたら、ホームセンターに檜を薄くスライスしたものが売っていた。説明書きには「お風呂に入れて森林浴を楽しむもの」と書いてあったが、クンクン嗅ぐとかすかに檜の香りがしたのでこれを室内に置くことにした
パッケージから出してネットに入れ直す。そしてさっそくマグネットフックに吊してみた。結果は……匂っているかどうか微妙。ぶら下げる位置が遠すぎるのかなぁ
東京オートサロンのホンダブース内に併設されていた無限ブースでは、初登場となる無限N-VANを展示。フロントグリルガーニッシュとフロントアンダースポイラーが装着されていた。フロントグリルの上だけに付けるガーニッシュはとくに気になる。ここが黒っぽくなるとずいぶんイメージが変わる
リアにはディフューザー形状のリアバンパーガーニッシュが付く。マフラーは前からごっそり交換する「スポーツエキゾーストシステム」を装着。ターボ車用と自然吸気用が用意されている。N-VANはマフラーエンドが見えない作りなので、マフラーを換えるとリアの印象が大きく変わる
N-VAN専用サイズの「MD5」ホイール。N-VANに合う高品質な12インチのホイールは稀少なので、アルミホイールを付けたいならこれ一択だと思う。写真のフラットブラックミラーフェイスのほかにメタルシルバーミラーフェイスもある
2018年12月1日掲載の記事でもお伝えしたが、N-VAN +STYLE FUN Honda SENSINGは平成30年度(前期)予防安全性能評価で最も上のランクである「ASV+++(エーエスブイトリプルプラス)を獲得している。使えるだけでなく安全性も高いのだ
JARI(日本自動車研究所)で行なわれたデモ試験にはホンダの技術者も来ていたので、N-VANオーナーを代表してガッツポーズをお願いしてきました

深田昌之

Photo:深田昌之

Photo:安田 剛