特別企画
【特別企画】国内線を増便したジェットスターで瀬戸内の島旅を満喫
「空席連動型運賃」で“思いたったら空の旅”。小豆島&豊島のレンタカー事情も紹介
(2014/7/3 00:00)
ジェットスター・ジャパンは6月12日、国内6路線で夏季運行スケジュールによる増便を行い、これまでの1日76便から最大94便に拡大した。また、これに合わせて飛行機の運行の中心となるハブ空港として、成田国際空港に加えて関西国際空港の利用も開始。輸送力と利便性の向上を図っている。
同社はこの施策をアピールするべく、2013年12月から就航を開始して今回から1日2便から3便に増加させた成田~高松便を利用して瀬戸内海の島々を訪ねる報道陣向けツアーを企画。今年3月に国立公園指定から80周年を迎えた瀬戸内海の魅力をPRしている香川県の後押しを受け、瀬戸内海にある小豆島と豊島(てしま)を巡る2日間となった。
成田~高松
ジェットスター高松便は7時出発が最初の便。取材初日となった6月12日の関東地方は夜明け前から雨模様だった。ジェットスターのようなLCC(格安航空会社)で一般的なタラップ式の乗降方法は、日ごろは「これから飛行機に乗って旅行だぞ」という気分を盛り上げてくれて個人的に楽しみな部分だが、今回の天候のような場合は衣服や手荷物が濡れる心配のないボーディングブリッジ式に、単純に乗り降りが楽なだけではないメリットがあることに気がついた。
ジェットスターが運行している飛行機はすべてエアバスのA320で、現在は18機を保有。乗った飛行機は翼端を三角形の「ウイングチップ・フェンス」から、高く持ち上げることで空力性能と燃費性能を改善する「シャークレット」に変更したモデルだった。
シートは中央の通路に対し、左右に3席ずつを配するレザー仕様。1人あたりのスペースは広々としたものではないが、シート形状がよくできたスポーツシートのようにフィットして身体を支えてくれるので座り心地は良好。後席が空席だったのでリクライニングも試したところ、やはり少し後方にシートを倒したほうがより寛いで過ごせるものの、別にリクライニングなしでも、国内線の数時間ならまったく問題ないだろうという雰囲気。実際に帰りの便では後席にも乗客がいたので、遠慮して終始シートバックを起こした状態で座ったが、高松から成田までの1時間30分をとくに不満なく過ごした。
ちなみに、ジェットスター高松便の片道通常運賃は4990円~2万990円。従来型の航空会社を利用する場合、料金は座る座席によって「エコノミー」「ビジネス」「ファースト」といった区分があり、席を予約するのが早いほど料金が割引になるというのが一般的。しかし、LCCのジェットスター・ジャパンの国内便は基本的にエコノミーだけが用意され、料金は席を予約するタイミングとは関係なく、その便にどれだけ空席が残っているかで変動する「空席連動型運賃」を採用している。つまり、たとえば5日後に2~3日休みが取れることが分かったので高松まで行ってみようかと思いついたとして、従来なら割引がほとんどない高い料金で飛行機に乗ることになるところだが、ジェットスター高松便なら運よく空席が多いタイミングなら割安な出費で空の旅を楽しめる。
もちろん、LCCでもこれから迎える夏休みや年末年始、ゴールデンウイークといった繁忙期にはベースとなる価格が高くなるが、一方で料金が大幅に安くなるセールイベントも定期的に開催。ホームページにあるセール情報(http://www.jetstar.com/jp/ja/special-offers)やFacebookの公式ページ(https://www.facebook.com/JetstarJapan)、メールマガジンの「JetMail」などで情報配信している。試しにこの原稿を書いている6月下旬に、3日後のウイークデーの料金をホームページ上でチェックしたところ、7時発の高松行きは「Hot Fare」というタグが付いて通常よりも安い「4590円」、20時30分発の成田行きは「9790円」だった。
このほか、ジェットスター・ジャパンの料金システムには、基本的な料金プランとなる「スターター」に加え、500円分の機内バウチャーや時間帯などを変更したときの手数料が無料になる「プラス」、プラスの内容に加えてシート横が非常口になっているといったエクストラ・レッグルーム・シート、キャンセルによる料金払い戻しが可能になる「マックス」などが用意されていて、今回はプラスでのツアーだったため、行き帰りの飛行機内ではホットコーヒーとパウンドケーキをもらって小腹を満たした。集合時刻が早朝だったので朝食はあきらめていたこともあり、うれしいサプライズになった。
出だしの説明がちょっと長くなってしまったが、ジェットスター高松便は荒れた天候の成田国際空港から飛び立って雲の上に出るまではガタガタと揺れるシーンがあったものの、厚い雲の向こうに着陸した高松空港は曇天ながら安定したお天気。空港からはバスに乗り替えて高松港を目指す。この高松空港~高松港間にはリムジンバスの定期便も走っており、片道約40分という道のり。
用意されていたバスで、香川県 政策部交通政策課 主任の西井健太郎氏が合流。西井氏からは香川県やこれから向かう小豆島についての資料やパンフレットなどに加え、えんじ色の「うどん県パスポート」なるものをいただく。このうどん県パスポート、香川県内にある「うどん屋さんが選ぶ至極の100店舗」といううどん屋が地図や電話番号、店舗外観の写真などと合わせて列挙されているほか、県内にある参加施設や飲食店で提示すると割引やプレゼントがもらえて、さらに一部が観光スポットの紹介と合わせてスタンプ帳になっている。ここに訪れた場所のスタンプを集めて香川県の観光協会に郵送すると、抽選で名産品の「オリーブ牛」「オリーブ製品の詰め合わせ」などがプレゼントされるというもの。高松空港を始め、県内にあるSA/PAなどで簡単なアンケートに答えるだけで誰でも手に入れられるので、香川県に行ったときはまず確保しておきたいアイテムだ。
渡されたうどん県パスポートの内容に目を通して、香川県の“うどん愛”を再確認しているうちにバスは高松港に到着。小豆島の土庄(とのしょう)港には片道35分で到着するという高速艇を利用する。船に乗って移動と聞いて優雅でゆったりとしたイメージを想像していたが、白波を立てて海上を進む高速艇はなかなかに迫力のある乗り物。また、小豆島までの瀬戸内海は自分たちが乗る高速艇のほか、大型トラックをそのまま運ぶフェリーから小型の漁船までさまざまな船舶が行き交い、海上交通がこの地域で重要な役割を果たしていることが見て取れた。
小豆島
朝の7時に成田国際空港から飛び立ち、小豆島の土庄港には10時30分ごろに到着していた。これなら、夕暮れ時まで観光する時間はたっぷりある。今回は報道陣向けツアーのため事前にバスが待機してくれていたが、一般的には港の周辺でレンタカーを借りたり、定期観光バスなどを利用するのが一般的とのこと。また、レンタルサイクルも用意されているが、小豆島は海沿いをぐるりと1周する道以外はアップダウンの激しい山道が主体なので、利用する人はあまり多くないそうだ。
●道の駅 小豆島オリーブ公園
●中山千枚田~こまめ食堂
●ヤマロク醤油
小豆島では古くから製塩業が盛んで、この塩を利用する醤油造りは現在でも主要産業の1つとなっている。島の東側には醤油蔵や佃煮工場が集まる「醤の郷(ひしおのさと)」という地域があり、このなかにある、現代でも杉樽を使ったこだわりの醤油造りを続けている「ヤマロク醤油」は、誰でも無料でもろみ蔵を見学できる。住宅地の奥まった場所でたどり着くのは少し困難ではあるが、自然が育てる日本ならではの調味料について学べて、大量生産が難しいこだわりの醤油を手に入れることもできる。
●碁石山
最近にわかに注目されている「お遍路」だが、小豆島にも88個所の霊場が存在する。今回のツアーでは、「小豆島八十八ヶ所」の第1番となる洞雲山から第2番の碁石山の山中を歩いた。信仰の場なのでそれなりに立ち居振る舞いの作法なども存在しているが、山道の途中では小豆島の俯瞰や瀬戸内海に浮かぶ島々、西側に沈む夕日などを楽しめる。
●エンジェルロード
●リゾートホテルオリビアン小豆島
フェリーで「豊島マイクロEVレンタカー」が行われていた豊島に
2日目は、初日もお世話になったマイクロバスごと土庄港からフェリーに乗船。小豆島の西側にある「豊島(てしま)」に移動。この豊島では2013年7月から今年3月まで、超小型モビリティを使ったレンタカー事業「豊島マイクロEVレンタカー」が行われていた。Car Watchでもオープニングセレモニーをリポート(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130719_608393.html)している。ただし、期間限定の実証実験だったため、現在はこのレンタカー事業は終了している。
豊島は周囲約20km、人口約1000人という島。昼夜の寒暖差を利用した柑橘類やハウスでの苺栽培などの農業、瀬戸内海を漁場とした漁業などが盛んで、2010年と2013年に行われた「瀬戸内国際芸術祭」にも参加しており、ここで制作されたアート作品が現在でも島内に点在している。レンタカー店は島の西側にある家浦(いえうら)港の近くに、ガソリンスタンドの安岐石油が運営する「レンタカーあき」1店舗がある。軽自動車4台を常設運用。また、電動アシスト自転車などを使ったレンタルサイクルも観光の移動手段としてメジャーな存在となっており、足を運んだ観光スポットで定期的に目撃することになった。
島内を1周したあとはアート作品が置かれたスポットや伝統的な町並みなどを巡りつつ、2013年のリポート内にも登場している「島キッチン」で昼食をいただく。集落にあった空き家を改築したという島キッチンは庭先にオープンテラスを設定。ワークショップやイベントを行うスペースとして活用されており、この建物全体もアート作品として認識されている。提供される食事には豊島の食材を使い、東京・丸ノ内ホテルのシェフがアドバイザーとしてメニューを考案。アットホームな雰囲気で本格的なランチが楽しめる空間となっている。
●壇山~家浦港
ツアーの締めくくりに、高松空港に向かう途中で讃岐うどん店「さぬき麺業 松並店」を経由。5月から全国ロードショーされた映画「瀬戸内海賊物語」を記念して作られた限定メニュー「海賊うどん」は、香川県のイイダコの煮物、徳島県のなると、愛媛県のジャコ天、高知県のチャンバラ貝を具材に使い、四国4県が力を合わせたメニューとなっている。
およそ36時間の香川県滞在を終え、ジェットスター東京(成田)便はほぼ定刻どおりの22時すぎに成田国際空港に到着。事前の手配と現地の人の協力によって最大限効率的にスケジュールが組まれていた部分はあるが、わずか2日間で疲れ果てるほど小豆島&豊島を満喫できた。予算感は人それぞれだと思うが、ジェットスター・ジャパンのセール情報などをチェックして、うまく休日のタイミングが合った場合には「ちょっと瀬戸内海まで」なんて旅行が、思いのほか気軽に楽しめることを体感したツアーとなった。