特別企画

【特別企画】国内線を増便したジェットスターで瀬戸内の島旅を満喫

「空席連動型運賃」で“思いたったら空の旅”。小豆島&豊島のレンタカー事情も紹介

翼端の形状を高く持ち上げ、燃費性能などを改善する「シャークレット」を装着したエアバス A320。ジェットスター・ジャパンでは18機を運用しており、今後24機まで拡大する予定

 ジェットスター・ジャパンは6月12日、国内6路線で夏季運行スケジュールによる増便を行い、これまでの1日76便から最大94便に拡大した。また、これに合わせて飛行機の運行の中心となるハブ空港として、成田国際空港に加えて関西国際空港の利用も開始。輸送力と利便性の向上を図っている。

 同社はこの施策をアピールするべく、2013年12月から就航を開始して今回から1日2便から3便に増加させた成田~高松便を利用して瀬戸内海の島々を訪ねる報道陣向けツアーを企画。今年3月に国立公園指定から80周年を迎えた瀬戸内海の魅力をPRしている香川県の後押しを受け、瀬戸内海にある小豆島と豊島(てしま)を巡る2日間となった。

成田~高松

朝から雨模様の成田国際空港。ジェットスターの国内便は第2ターミナルから出発

 ジェットスター高松便は7時出発が最初の便。取材初日となった6月12日の関東地方は夜明け前から雨模様だった。ジェットスターのようなLCC(格安航空会社)で一般的なタラップ式の乗降方法は、日ごろは「これから飛行機に乗って旅行だぞ」という気分を盛り上げてくれて個人的に楽しみな部分だが、今回の天候のような場合は衣服や手荷物が濡れる心配のないボーディングブリッジ式に、単純に乗り降りが楽なだけではないメリットがあることに気がついた。

 ジェットスターが運行している飛行機はすべてエアバスのA320で、現在は18機を保有。乗った飛行機は翼端を三角形の「ウイングチップ・フェンス」から、高く持ち上げることで空力性能と燃費性能を改善する「シャークレット」に変更したモデルだった。

 シートは中央の通路に対し、左右に3席ずつを配するレザー仕様。1人あたりのスペースは広々としたものではないが、シート形状がよくできたスポーツシートのようにフィットして身体を支えてくれるので座り心地は良好。後席が空席だったのでリクライニングも試したところ、やはり少し後方にシートを倒したほうがより寛いで過ごせるものの、別にリクライニングなしでも、国内線の数時間ならまったく問題ないだろうという雰囲気。実際に帰りの便では後席にも乗客がいたので、遠慮して終始シートバックを起こした状態で座ったが、高松から成田までの1時間30分をとくに不満なく過ごした。

ジェットスターのチェックイン/手荷物サービスカウンター
カウンター手前に置かれた自動チェックイン機で予約番号などを入力すると搭乗券が出力される
機内持込手荷物は36×23×56cm(幅×奥行き×高さ)のサイズで、この大きさまでの手荷物1個と小型品目(ハンドバッグや文庫本、傘など)1個を合計10kgまで持ち込める
チェックイン/手荷物サービスカウンターから少し離れたところに国内線の出発口がある
ジェットスター高松便はバスで駐機場の飛行機まで移動。7時出発の便はJAL(日本航空)との共同運行となっていた

 ちなみに、ジェットスター高松便の片道通常運賃は4990円~2万990円。従来型の航空会社を利用する場合、料金は座る座席によって「エコノミー」「ビジネス」「ファースト」といった区分があり、席を予約するのが早いほど料金が割引になるというのが一般的。しかし、LCCのジェットスター・ジャパンの国内便は基本的にエコノミーだけが用意され、料金は席を予約するタイミングとは関係なく、その便にどれだけ空席が残っているかで変動する「空席連動型運賃」を採用している。つまり、たとえば5日後に2~3日休みが取れることが分かったので高松まで行ってみようかと思いついたとして、従来なら割引がほとんどない高い料金で飛行機に乗ることになるところだが、ジェットスター高松便なら運よく空席が多いタイミングなら割安な出費で空の旅を楽しめる。

 もちろん、LCCでもこれから迎える夏休みや年末年始、ゴールデンウイークといった繁忙期にはベースとなる価格が高くなるが、一方で料金が大幅に安くなるセールイベントも定期的に開催。ホームページにあるセール情報(http://www.jetstar.com/jp/ja/special-offers)やFacebookの公式ページ(https://www.facebook.com/JetstarJapan)、メールマガジンの「JetMail」などで情報配信している。試しにこの原稿を書いている6月下旬に、3日後のウイークデーの料金をホームページ上でチェックしたところ、7時発の高松行きは「Hot Fare」というタグが付いて通常よりも安い「4590円」、20時30分発の成田行きは「9790円」だった。

 このほか、ジェットスター・ジャパンの料金システムには、基本的な料金プランとなる「スターター」に加え、500円分の機内バウチャーや時間帯などを変更したときの手数料が無料になる「プラス」、プラスの内容に加えてシート横が非常口になっているといったエクストラ・レッグルーム・シート、キャンセルによる料金払い戻しが可能になる「マックス」などが用意されていて、今回はプラスでのツアーだったため、行き帰りの飛行機内ではホットコーヒーとパウンドケーキをもらって小腹を満たした。集合時刻が早朝だったので朝食はあきらめていたこともあり、うれしいサプライズになった。

有料機内サービス「ジェットスターカフェ」のメニュー。旅慣れた風な人はソフトドリンクを持参(ジェットスターではアルコール以外の機内持ち込みが認められている)してカツサンドなどを頼んでいたが、筆者はそんな予備知識もなかったのでホットコーヒーとパウンドケーキをセットで注文

 出だしの説明がちょっと長くなってしまったが、ジェットスター高松便は荒れた天候の成田国際空港から飛び立って雲の上に出るまではガタガタと揺れるシーンがあったものの、厚い雲の向こうに着陸した高松空港は曇天ながら安定したお天気。空港からはバスに乗り替えて高松港を目指す。この高松空港~高松港間にはリムジンバスの定期便も走っており、片道約40分という道のり。

高松空港に着陸したあとで、特別に機内での撮影時間が設けられた。見た目がフラットな黒系のレザーシートはしっかりと身体を支えてくれて、座り心地は良好
パイロットが制帽を着用しないのがジェットスター流
映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の撮影でも使われた高松空港
高松空港内にあるジェットスターのチェックイン/手荷物サービスカウンター
カウンターの向かい側にレンタカー会社の受け付けが並ぶ

 用意されていたバスで、香川県 政策部交通政策課 主任の西井健太郎氏が合流。西井氏からは香川県やこれから向かう小豆島についての資料やパンフレットなどに加え、えんじ色の「うどん県パスポート」なるものをいただく。このうどん県パスポート、香川県内にある「うどん屋さんが選ぶ至極の100店舗」といううどん屋が地図や電話番号、店舗外観の写真などと合わせて列挙されているほか、県内にある参加施設や飲食店で提示すると割引やプレゼントがもらえて、さらに一部が観光スポットの紹介と合わせてスタンプ帳になっている。ここに訪れた場所のスタンプを集めて香川県の観光協会に郵送すると、抽選で名産品の「オリーブ牛」「オリーブ製品の詰め合わせ」などがプレゼントされるというもの。高松空港を始め、県内にあるSA/PAなどで簡単なアンケートに答えるだけで誰でも手に入れられるので、香川県に行ったときはまず確保しておきたいアイテムだ。

高松港まではバスに乗り替えて移動
高松空港からツアーのサポートをしてくれた香川県 政策部交通政策課 主任 西井健太郎氏
手のひらサイズの「うどん県パスポート」には、讃岐うどんのお店100店の情報やセルフタイプの店舗での注文作法などのほか、香川県内の観光スポットのスタンプ帳になっている

 渡されたうどん県パスポートの内容に目を通して、香川県の“うどん愛”を再確認しているうちにバスは高松港に到着。小豆島の土庄(とのしょう)港には片道35分で到着するという高速艇を利用する。船に乗って移動と聞いて優雅でゆったりとしたイメージを想像していたが、白波を立てて海上を進む高速艇はなかなかに迫力のある乗り物。また、小豆島までの瀬戸内海は自分たちが乗る高速艇のほか、大型トラックをそのまま運ぶフェリーから小型の漁船までさまざまな船舶が行き交い、海上交通がこの地域で重要な役割を果たしていることが見て取れた。

規模の大きい高松港は、フェリーなども頻繁に行き交う海上交通の要所
小豆島急行フェリーの高速艇「ひかり」で約35分。料金は片道大人1170円
ひかりの艇内には小豆島のマスコットキャラクター「オリーブしまちゃん」が乗務していた
ひかりのシート
港を離れて少し経つと、高速艇の名に恥じない勢いで加速していく

小豆島

 朝の7時に成田国際空港から飛び立ち、小豆島の土庄港には10時30分ごろに到着していた。これなら、夕暮れ時まで観光する時間はたっぷりある。今回は報道陣向けツアーのため事前にバスが待機してくれていたが、一般的には港の周辺でレンタカーを借りたり、定期観光バスなどを利用するのが一般的とのこと。また、レンタルサイクルも用意されているが、小豆島は海沿いをぐるりと1周する道以外はアップダウンの激しい山道が主体なので、利用する人はあまり多くないそうだ。

小豆島の西側の玄関となる土庄港。小豆島には計7個所の港がある
土庄港に隣接する高松行きフェリーの切符売り場には、レンタカーを貸し出す「マリンレンタカー」がある
小豆島では日産自動車の超小型モビリティ「ニュー・モビリティ・コンセプト」を使ったレンタカー事業が行われており、土庄港にも急速充電スタンドが用意されている。取材時にはちょうど三菱自動車工業のアウトランダーPHEVが充電を行っていた
小豆島内はマイクロバスで移動。運転手の方が小豆島について観光ガイドをしてくれた
土庄港には映画「二十四の瞳」の撮影を記念する「平和の群像」もある
マイクロバスに乗ってギネスブック認定の「世界一狭い海峡」こと土渕海峡の橋を渡る

道の駅 小豆島オリーブ公園

最初の目的地になったのは道の駅 小豆島オリーブ公園。小豆島の特産品であるオリーブのほか、さまざまなハーブなどを育てられ、散策路を歩いて楽しんだり、苗や加工品などを販売、また、小豆島がギリシャ ミロス島と姉妹島であることから園内をギリシャ風に演出していることも特徴
園内のオリーブは花の季節を終え、小さな実が姿を見せ始めていた。オリーブは世界で1200種類以上が存在し、香川県内でも60種類ほどが栽培されているという
実写版「魔女の宅急便」の劇中に登場したパン屋のロケハウスが園内に移築され、「ハーブショップ コリコ」として営業している
店内ではハーブを使ったパンやお菓子、クラフト素材、ガーデ二ング用品などを販売
瀬戸内海に臨む丘には「ギリシャ風車」がある
園内の中央に位置する「オリーブ記念館」では、エントランスで「オリーブの女神・アテナ像」を展示。採光用の窓もギリシャをイメージしたステンドグラス調となっている
売店では「オリーブソフトクリーム」を販売。オリーブでも実ではなく、乾燥させた葉を粉末化して使う。抹茶とい草の中間のような独特な風味で、甘さを楽しみつつ後味がさっぱりとしているのが特徴
オリーブ公園の駐車場にも急速充電スタンドが設置されていた

中山千枚田~こまめ食堂

今年の春から棚田の景観維持と保全を目的にオーナー制度を開始した「中山千枚田」
千枚田のあるエリアで営業している「こまめ食堂」。以前は精米所だった建物を改修し、小豆島で生産された食材を中心としたメニューを提供
改修作業のときに納屋から出てきたという古い農機具や木箱などを有効活用
昼食に「棚田のおにぎり定食(1080円)」が振る舞われた。おにぎりには千枚田で収穫された米を使い、オリーブ牛のハンバーグ、瀬戸内海で採れたアジのフライやエビのかき揚げなどが主菜として並ぶ

ヤマロク醤油

 小豆島では古くから製塩業が盛んで、この塩を利用する醤油造りは現在でも主要産業の1つとなっている。島の東側には醤油蔵や佃煮工場が集まる「醤の郷(ひしおのさと)」という地域があり、このなかにある、現代でも杉樽を使ったこだわりの醤油造りを続けている「ヤマロク醤油」は、誰でも無料でもろみ蔵を見学できる。住宅地の奥まった場所でたどり着くのは少し困難ではあるが、自然が育てる日本ならではの調味料について学べて、大量生産が難しいこだわりの醤油を手に入れることもできる。

正確な記録はないものの、江戸時代後期から続くと推測されている「ヤマロク醤油」。木造の建物が黒いのは醤油造りに欠かせないたくさんの菌が住んでいるから。「醤の郷」一帯にはこのような黒い建物が多数存在している
薄暗いもろみ蔵の内部には強烈なにおいが立ちこめ、醤油が発酵食品であることを再認識させられる。ヤマロク醤油の方から醤油の基礎知識、小豆島における醤油造りの歴史、伝統的な醤油造りと現代的な醤油生産の違いなどが語られた
杉樽の寿命は約150年。樽で醤油を作る業者が減少したことで樽職人も減り、ついに2013年に新しい樽を自作するようになったとのこと。樽の表面などに住み着いている酵母菌や乳酸菌などの働きで醤油ができる
階段を上がって熟成中の醤油も見学できる。写真奥側の1年目は大豆の色が残り白っぽいが、2年目(左)、3年目(右)と熟成が進むにつれて色が濃くなっていく
見学の最後には、2年間熟成させて絞った生醤油を原材料を合わせて2年再熟成させるという「鶴醤(つるびしお)」、丹波黒豆を原料に使う「菊醤(きくびしお)」など、ヤマロク醤油自慢の醤油を味比べできる
歴史と伝統ある建物は文化庁から登録有形文化財に指定されている
店頭で売られていたオリジナルアイス「鶴醤まぜまぜ(320円)」。濃厚なジャージー牛乳と鶴醤が使われており、双方が強力に主張し合う個性的な味。食べ進めるうちに、冷たいクロワッサンを口に入れているような不思議な気分になった

碁石山

 最近にわかに注目されている「お遍路」だが、小豆島にも88個所の霊場が存在する。今回のツアーでは、「小豆島八十八ヶ所」の第1番となる洞雲山から第2番の碁石山の山中を歩いた。信仰の場なのでそれなりに立ち居振る舞いの作法なども存在しているが、山道の途中では小豆島の俯瞰や瀬戸内海に浮かぶ島々、西側に沈む夕日などを楽しめる。

緑豊かな山中に存在する洞雲山から碁石山の札所。道中には弘法大師の石像なども点在する
碁石山の鳳凰窟は山の地形を傷つけないよう一体化した山岳霊場。副住職からお経を上げていただき、お遍路の気分を体験させてもらった
神戸と小豆島をつなぐ坂手港や瀬戸内海を行く船などを俯瞰で楽しめる

エンジェルロード

土庄東港の南東側にある余島は、潮の満ち引きによって島に続く道が姿を見せることから「エンジェルロード」と呼ばれており、ロマンチックな光景から「恋人の聖地」という縁結びスポットともなっている

リゾートホテルオリビアン小豆島

宿泊先となったのはリゾートホテルのオリビアン小豆島。天気がよい日は瀬戸内海に沈む夕日がオレンジ色の道を作る光景にも出会える

フェリーで「豊島マイクロEVレンタカー」が行われていた豊島に

 2日目は、初日もお世話になったマイクロバスごと土庄港からフェリーに乗船。小豆島の西側にある「豊島(てしま)」に移動。この豊島では2013年7月から今年3月まで、超小型モビリティを使ったレンタカー事業「豊島マイクロEVレンタカー」が行われていた。Car Watchでもオープニングセレモニーをリポート(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130719_608393.html)している。ただし、期間限定の実証実験だったため、現在はこのレンタカー事業は終了している。

2日目の移動は初日の高速艇とは違い、小豆島フェリーの「フェリーてしま」にマイクロバスごと乗る。土庄港から豊島の唐櫃(からと)港までは8kmほど。ゆったりとしたフェリーで30分の船旅を楽しむことになる
高い位置にあるフェリーのデッキから、土庄港に面したかどや製油の工場を発見。この工場から全国にごま油が出荷されている
約22時間の滞在となった小豆島とはこれでお別れ
フェリーてしまのキャビン。前方には景色を眺めながらくつろげるスペースも用意されている
キャビンの一角には車いすスペースもあったが、車いすの乗客がいなかったこともあり、ファミリーが車座になって談笑する空間となっていた
ランプウェイとキャビンをつなぐエレベーターも完備
キャビン後方のオープンデッキは主に喫煙スペースとして使われていた。小豆島から豊島を経由して岡山県の宇野港まで行くと1時間以上かかるので、ドリンクの自販機が用意されているのはありがたい
船内を探索しているあいだに豊島の唐櫃港が見えてきた
無事に唐櫃港に上陸。乗客の乗り降りが終了したフェリーてしまは宇野港に向けて出港していく

 豊島は周囲約20km、人口約1000人という島。昼夜の寒暖差を利用した柑橘類やハウスでの苺栽培などの農業、瀬戸内海を漁場とした漁業などが盛んで、2010年と2013年に行われた「瀬戸内国際芸術祭」にも参加しており、ここで制作されたアート作品が現在でも島内に点在している。レンタカー店は島の西側にある家浦(いえうら)港の近くに、ガソリンスタンドの安岐石油が運営する「レンタカーあき」1店舗がある。軽自動車4台を常設運用。また、電動アシスト自転車などを使ったレンタルサイクルも観光の移動手段としてメジャーな存在となっており、足を運んだ観光スポットで定期的に目撃することになった。

「レンタカーあき」では貸し出し車両4台、予備・点検車両2台の6台体制でレンタカーを運用。料金は半日3800円、8時間5000円。安岐石油の安岐光彦店長は自作の観光地図を手渡したり、利用者の滞在時間に合わせた観光コースを考えたりして豊島観光をサポート。「お客さんが帰宅後に送ってくれるはがきが仕事のやりがい」と語る
マイクロバスで上陸した唐櫃港で島内で苺栽培を営んでいるというガイド氏をピックアップし、そのまま外周道路で島内を1周。普通に走ると20分ほどで1周できてしまうというが、要所でバスを停めてガイド氏から解説を受ける
島内の道路はほとんどが1車線道路。島内に住んでいる人のマイカーは軽トラックが主体とのこと
瀬戸内海の奥に瀬戸大橋が望める場所もある
源平合戦で那須与一が扇の的を射落とした故事でも知られる屋島
島内で唯一車線を区切った1区間は「瀬戸内海まで続く道」として人気スポットになっている

 島内を1周したあとはアート作品が置かれたスポットや伝統的な町並みなどを巡りつつ、2013年のリポート内にも登場している「島キッチン」で昼食をいただく。集落にあった空き家を改築したという島キッチンは庭先にオープンテラスを設定。ワークショップやイベントを行うスペースとして活用されており、この建物全体もアート作品として認識されている。提供される食事には豊島の食材を使い、東京・丸ノ内ホテルのシェフがアドバイザーとしてメニューを考案。アットホームな雰囲気で本格的なランチが楽しめる空間となっている。

散策の途中で立ち寄った「唐櫃の清水」。弘法大師が地面を掘って湧出させたとの伝承が残り、豊富な水量とおいしさで住民の生活に欠かせないものとなっていたそうだ
建築家 安部良氏の設計で改築された島キッチン
土間風のカウンター席。お土産物なども展示販売している
軒先に床板を追加して拡張した座敷席。床面が高く、腰をかがめて移動することも独自の味わいに思える空間。庭先はオープンテラスとなっている
瀬戸内海で水揚げされた魚、豊島で収穫された野菜を使う「島キッチンセット」
豊島産のレモンピールを使ったパウンドケーキ
島キッチン近くの駐車場に設置されたユビ電の充電スポットは現在でも存在している

壇山~家浦港

昼食後はマイクロバスで島の中央部にある「壇山(だんやま)」に移動。山頂や「岡崎公園」から周囲の瀬戸内海と島々を眺める
壇山山頂でのパノラマ撮影(クリックすると4912×1080ドットの画像が開きます)
岡崎公園でのパノラマ撮影(クリックすると4912×1080ドットの画像が開きます)
壇山を歩いて軽く汗をかいたあとは、名産品の苺にこだわったスイーツショップ「いちご家」で人気メニューの「いちご氷(ソフトクリームin)」を食す。かき氷とソフトクリームを1度に楽しめるという欲ばりな1品で、外側のかき氷はたっぷりとかけられた苺ソースと氷の区別がつけられないほどのトロトロ食感。新鮮な苺の風味と甘酸っぱさも楽しくあっという間に完食。店内ではお土産にぴったりな苺のジャムやソースも販売されていた
高松港に戻る船を待つ時間調整で、家浦港の近くにある「海のレストラン」に立ち寄る。テラス席で瀬戸内海の潮風と波の音を感じながら食事やアルコールなどが味わえ、海に沈む夕日が鑑賞できるのもポイント
中国地方側の岡山県、四国側の香川県の両方に航路が設定されている家浦港
2日間お世話になったマイクロバスとはここでお別れ
家浦港から高松港までは高速艇「まりんなつ1号」で約35分。料金は片道1330円

 ツアーの締めくくりに、高松空港に向かう途中で讃岐うどん店「さぬき麺業 松並店」を経由。5月から全国ロードショーされた映画「瀬戸内海賊物語」を記念して作られた限定メニュー「海賊うどん」は、香川県のイイダコの煮物、徳島県のなると、愛媛県のジャコ天、高知県のチャンバラ貝を具材に使い、四国4県が力を合わせたメニューとなっている。

さぬき麺業は香川県に7店舗、大阪府に4店舗を展開し、松並店の近くにあるうどん工場では工場見学やうどん作り体験などを実施。讃岐うどんの魅力を観光客に伝える活動を行っている
四国4県から食材を集めた限定メニューの「海賊うどん」。ジャコ天には“海賊”と焼き印され、なるとは的に見たててニンジンの矢を差し込むという凝ったひと品。700円で販売されていたが、現在は限定期間が終了している
高松空港内に設置されたジェットスター東京(成田)便のカウンター。20時30分定刻の便もJALとの共同運行となっていた

 およそ36時間の香川県滞在を終え、ジェットスター東京(成田)便はほぼ定刻どおりの22時すぎに成田国際空港に到着。事前の手配と現地の人の協力によって最大限効率的にスケジュールが組まれていた部分はあるが、わずか2日間で疲れ果てるほど小豆島&豊島を満喫できた。予算感は人それぞれだと思うが、ジェットスター・ジャパンのセール情報などをチェックして、うまく休日のタイミングが合った場合には「ちょっと瀬戸内海まで」なんて旅行が、思いのほか気軽に楽しめることを体感したツアーとなった。

編集部:佐久間 秀