特別企画
【特別企画】奥川浩彦の「WTCC(世界ツーリングカー選手権)フォトコンテスト」撮影ガイド(第3回 鈴鹿サーキット西コース編)
今年からWTCCマシンが走ることになった西コースの撮影ポイントを解説
(2014/10/22 00:00)
2014年も「WTCC(世界ツーリングカー選手権)JVCKENWOOD 日本ラウンド」が鈴鹿サーキットで開催される。このWTCC開催にあわせ、4年連続でCar Watch、デジカメWatchが主催のWTCCフォトコンテスト(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140926_668477.html)が開催されることになった。2013年までは東コースで開催されたWTCCだが、今年はフルコースとなった。今回の記事では、鈴鹿サーキットの西コースの撮影ポイントを紹介していこう。
西コースの撮影ポイント
第2回は東コースの撮影ポイントを紹介した。WTCCとしてはフルコースでの開催は初めてとなるので、今回は西コースの撮影ポイントを紹介しよう。東コースの紹介では2013年のWTCCで同時開催されたスーパー耐久のマシンを撮影した写真を使用したが、西コースはSUPER GT公式テストやF1開催時の撮影内容を使って紹介したい。
各スタンドからコースを見たようすは横長のパノラマ写真を参考にしていただきたい。パノラマ写真の撮影場所はGoogle Mapsの空撮画像に緑の点で示してある。走行するマシンを撮った撮影場所とコースとの位置関係は赤い矢印で示した。使用したレンズの焦点距離をキャプションに記載したので、マシンがどれくらいの大きさで写せるか確認していただきたい。では、今回もコースに沿って、ヘアピン、スプーン、130R、シケインをそれぞれ説明していこう。
ヘアピン
ヘアピンは、進入側の土手、正面の土手、常設スタンド、200R・スプーン側の土手など、4つのエリアから撮影できる。元々カメラマンに人気の撮影ポイントだが、今回のWTCCフォトコンテストではヘアピン賞が設定されているので多くのカメラマンが集まりそうだ。パノラマ写真は進入側の土手を除く3個所で撮影しているのでご確認いただきたい。
進入側の土手はヘアピンに進入してくるマシンを流し撮りできるが、金網の影響を受けやすい。クリッピングポイントに切り込んだあたりから金網を避けることが可能。クリッピングポイントから立ち上がりにかけては、マシンを背後から撮ることもできる。土曜日の予選、日曜日のレース2は16時ごろの走行になるので、もしかすると逆光で路面が美しく反射し、面白い絵が撮れるかもしれない。
ヘアピン正面の土手は、進入してくるマシンの正面、クリッピングポイントを抜けるマシンの正面、進入から立ち上がりまでの流し撮りができる。F1でも可夢偉やバトンがオーバーテイクを見せたポイントなので、WTCCでも激しい攻防が期待できる。
常設スタンド下の金網沿いは、F1開催時にはカメラマンエリアとなる最も人気の高い撮影ポイントだ。常設スタンド両脇の土手も撮影しやすい。
●ヘアピンをストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.8476363,136.5303164,3a,75y,178.11h,70.82t/data=!3m5!1e1!3m3!1s-XpXPzQ-1Tk2EIk2YQNacA!2e0!3e5?hl=ja
スプーンカーブ
グランドスタンドのある東コースから1番遠いスプーンカーブは、鈴鹿サーキットの“最果ての地”だ。観戦にも撮影にも超お薦めのポイントだが、観客は少なめなので進入からスプーン1つ目、2つ目とどこでも自由に撮影できる。スプーン1つ目のブレーキングはオーバーテイクも多いので、WTCCでもサイド・バイ・サイドの攻防が期待できる。
スプーンカーブは進入から1つ目、2つ目と切れ目なくほぼ全域が撮影エリアだ。横から、正面から、背面からとさまざまな角度でマシンを撮ることが可能なので、頑張ってたどり着けばお腹いっぱい撮影できる。
●スプーン進入をストリートビューで確認
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●スプーン1つ目をストリートビューで確認
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●スプーン2つ目をストリートビューで確認
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130R~シケイン
今回のWTCCフォトコンテストではシケイン賞が設定されている。審査基準は「130Rからシケイン立ち上がりまでのエリアで撮影した写真。」となっているので、130Rで撮った写真もシケイン賞の対象になる。130Rを立ち上がるマシンの流し撮りが一般的だが、やや単調な撮影ポイントなので入賞には一工夫が必要という気がする。
●130Rをストリートビューで確認
https://www.google.co.jp/maps/@34.8444833,136.5312299,3a,75y,173.98h,70.95t/data=!3m5!1e1!3m3!1sc23s1g61hMHkmRC-tcc52A!2e0!3e5?hl=ja
シケイン
●シケイン Q2スタンド
最後に紹介するのはシケイン。今回のWTCCフォトコンテスト開催の記事を見て、筆者が1番驚いたのはシケイン賞だ。思わず「シケインはほとんど撮ったことがないぞ」とつぶやいていた。ということで、F1のフリープラクティス1回目で急きょシケインの撮影を行った。
F1開催時はシケインやヘアピンのスタンドは金曜日の午前中からほぼ満席となる。セッション中に動きまわって撮影することは難しい。そこで、セッション開始前に何個所か風景写真を撮ってきた。マシンが写っていない写真ばかりだが、金網の位置関係などを参考にしていただきたい。風景写真を撮ったポイントは、Google Mapsの空撮画像に赤い点で示してある。
なお、パノラマ写真は鈴鹿サーキットが大改装を行ったタイミングで撮影しており、シケインの奥にある看板はCASIOとなっているが、現在は日立オートモティブシステムズシケインとなっている。余談だが、日立オートモティブシステムズはスバル(富士重工業)とEyeSightを共同開発している企業だ。
●日立オートモティブシステムズ
http://www.hitachi-automotive.co.jp/
●シケイン Q1スタンド
Q1スタンドはQ2スタンドより低い位置になるので、ほとんどの席が金網と支柱に遮られる。そのなかで最終コーナー側の上段付近は、シケイン2つ目のコーナーを金網の上から撮ることができる。
●シケイン Rスタンド
Rスタンドも最上段の通路であれば金網の上からシケインを見通せる。ただし、シケインに近い位置はQ1スタンドの柵に遮られるので、シケインに進入するマシンの撮影は難しい。メインストレート側はシケイン全体を見通せるものの距離が遠くなるので、かなり焦点距離が長い望遠レンズを持っていなければマシンをアップで撮ることはできない。
シケイン賞を獲得する理想的な絵は、3台、4台といったマシンが横並びでシケインに進入するようなWTCCならではのバトルだと仮定すれば、130Rからシケインに進入する部分が撮りたい。金網の影響をもっとも受けないのは、Q2スタンドの最終コーナー側ブロックの上段となる。
同じシチュエーションを撮る別の方法は金網越しに撮影することだ。金網をボカして撮る方法として、1つは金網に近付くこと、もう1つは明るいレンズを使用することが挙げられる。300mmのF4とF2.8のレンズを比較すると、F2.8のレンズで絞りを開放にして撮った方が金網の影響は少ない。
Q2スタンドの下段は金網越しにシケインに進入してくるマシンを撮れる。ただし、スタンドと金網に距離があるので、近付いてボカす方法は使えない。レンズの性能でボカすしかないので、それなりの機材を持っている人にアドバンテージがありそうだ。
実際に300mmF2.8のレンズで金網越しの撮影をしてみた。結果は300mmF2.8では性能不足で、400mmF2.8ぐらいは欲しいという印象となった。
シケインで撮影したほかの画像も掲載しておこう。Q2スタンドの上段は満席状態だったので、最初は「風景だけ撮らせてください」と最上段の数個所で景色だけ撮らせてもらっていたのだが、130R側のスタンドで300mmと500mmの大砲レンズを持って撮影していたお2人が、「ここ、使って下さい」と親切に場所を空けてくれたので、画角を変えながら撮影してみた。シケイン進入側は撮れなかったが、立ち上がり側を撮影したのが以下の画像だ。
●2014 F1日本グランプリ フォトギャラリー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/photogallery/20141009_670636.html
2013年のWTCC&F1撮影ガイド 最終回でデグナーのアウト側から撮った画像を提供していただいた松本伸夫さんに「シケインで撮った画像ってありますか?」と聞いたところ、数点の画像を提供してもらった。そのなかから、Q1スタンドとRスタンドで撮った画像を掲載させていただく。使用しているレンズは600mm~1200mmとかなり焦点距離の長いレンズとなっているが、ぜひ参考にしていただきたい。ちなみに松本伸夫さんの個人サイトはこちら(https://picasaweb.google.com/103189924415151261882)。
フルコースを使用して初開催となるWTCC。そのなかでも比較的カメラマン人気の高くないシケインを題材としたシケイン賞に筆者は注目している。毎年、もの凄い撮影テクニックとアイデア、センスを見せてくれる作品が数多く応募されるので、シケインで撮った「スゲーッ」と唸るような作品が応募されることを期待している。