トピック

ダイハツの「コペン」5周年を記念して、コペンが生み出す楽しさを体験するドライブに出かけてきた

限定発売の「コペン クーペ」やコンセプトカー「コペン セロ スポーツプレミアム Ver.」が展示される東京オートサロン 2019を見に行こう!

 2014年6月に登場した2代目の「コペン」。東京 恵比寿で開催された発表会ではまず「ローブ」が登場。スタイルもさることながら新設計された軽量高剛性ボディ「D-Frame(ディーフレーム)」や、外板が付け替えできる「DRESS-FORMATION(ドレスフォーメーション)」などにも注目が集まった。

 その後、「エクスプレイ」「セロ」とバリエーションを増やしたコペンは2019年でデビュー5周年となるのをきっかけに、ダイハツ工業はコペンの歴史に大きな変化を加える。それが2018年12月19日に発表されたコペン第4の形態となる「コペン クーペ」である。

「コペン セロ」をベースとする「コペン クーペ」。CFRP(CARBON FIBER REINFORCED PLASTIC)製の軽量ハードルーフを装着する。ルーフからリアまでのラインが一体となり、イメージが大きく変わった。ボディカラーはブリティッシュ グリーンマイカ(ベージュインテリア)

 このモデルは、2016年の東京オートサロンに出展したコンセプトカーに対して来場者の「カッコイイ」「ぜひ市販してほしい」という要望に応えて商品化したもの。こうしたユーザーの声に応えるというスタンスはダイハツにとって当たり前のことで、コペンに限らず「タント」「ミラ トコット」など、どれもユーザーのニーズや暮らしに寄り添ったクルマ作りを行なっている。

 3年の時を経て商品化されるこのコペン クーペだが、ベースは初代をイメージさせる丸目ヘッドライト仕様のコペンセロ。そして最大の特徴はアクティブトップ(電動開閉ルーフ)をCFRP(CARBON FIBER REINFORCED PLASTIC)製の丈夫で軽量なハードルーフに代えてクーペボディとしたところだ。

ボディカラーはもう1色ある。こちらはパールホワイトIII(ブラックインテリア)
ラゲッジへのアクセスは開閉式ガラスハッチから行える

 さらに、フロントスーパーLSDやMOMO製ステアリング、BBS製鍛造ホイールも標準装備となり、ディーラーオプションではチューニングパーツメーカーのHKSとコラボレーションしたスポーツマフラーとサスペンションキットも設定されるなど、走りの装備が充実しているところも大きな魅力だ。

 そんなコペン クーペの価格はMTモデルが250万5600円、CVTモデルが248万4000円(MT、CVTともにボディカラーでパールホワイトIIIを選択すると2万1600円高)で、販売台数はMTモデル、CVTモデル合わせて200台限定となる。

防曇コート付きフロントウィンドウの「eXeview」を装備
コペン クーペの専用エンブレム
シリアルナンバーが入ったプレートも付く

 商談希望の受け付けは、東京オートサロン初日の1月11日の14時から開設される専用のWebサイトで行なう。ただし先着順ではないので、時間ピッタリの待機などは必要ない。募集は2月11日の18時まで受け付けている。

 募集の結果、200台の枠を超える応募があった場合は抽選になるとのことだが、まず間違いなく枠超えになるだろうから、ぜひ手に入れたいと思う方は初詣でクジ運アップを願うことをお忘れにならないように!?

 そして、見事に権利を手にした人は2月下旬ごろからダイハツディーラーで商談、注文という流れで、納車は4月以降となると案内されている。

 なお、このコペン クーペに加えて、新たなテイストを提案する「コペン セロ スポーツプレミアム Ver.」が東京オートサロン 2019に出展される。このクルマは1月11日~13日に開催される東京オートサロン 2019と、2月9日~11日に開催される大阪オートメッセ 2019限定の展示となるので、ぜひダイハツブースに足を運んで実車を見ていただきたい。

 また、メーカーと販売会社が一体になってファンミーティングを積極的に開催していくと発表された。2019年、コペンを軸にダイハツが面白くなりそうなので、その動きにはぜひ注目していていただきたい。

現行コペンの発売から5周年。そして「LOVE LOCAL」の活動も5周年

 2014年にデビューしたコペンにはさまざまな新機能が盛り込まれたが、クルマのスペックとは別にもう1つ、まったく新しい取り組みも開始されていた。それが「LOVE LOCAL by COPEN」という活動だ。

 現在このコペンが牽引してきた取り組みは、ダイハツ車すべてを対象とした「LOVE LOCAL by DAIHATSU」に発展しているが、主たる内容は「LOVE LOCAL」つまり、地元愛をテーマとしているところは変わらない。

 これは、地域の人に愛用される小さなクルマ作りを得意とするダイハツならではの発想で、ここでいう地元愛とは簡単に言えば自らが思う地元(ローカル)の価値感を、ダイハツのクルマに乗ることをきっかけに再認識して高めていこうということだ。

 そしてLOVE LOCALの活動において象徴的な存在が、2014年の2代目コペンデビューと同時に神奈川県鎌倉市にオープンした「Copen Local Base Kamakura」というカフェ。ここはLOVE LOCALが目指す、地元とのつながりから発展するカーライフを具体化するスペースとして作られたお店で、オープン以降、たくさんのコペンファンが集ってきたいわばコペンファンの聖地でもある。

 そこで、Car Watchでは多くのファンに愛されるコペンと「LOVE LOCAL」という活動に敬意を表する意味で、コペンを1日借り出してドライブ。行き先はCopen Local Base Kamakura。こちらでこれまでお店で出会ったコペン乗りの話などを聞かせてもらうことにした。

2019年6月で2代目コペンは5周年を迎える。ダイハツではさまざまな仕掛けを用意しているようだ。これは現在も発売中のコペン セロ。ボディカラーはブリティッシュグリーンマイカ。内装色はベージュ。コペン クーペにも設定されている色だ

冬の海を見ながらCVTのコペンで鎌倉に向けてオープンドライブ

 都内から鎌倉までは首都高速道路、第三京浜道路、横浜横須賀道路とつないでいけばわりとすぐに着いてしまう。でも、せっかくコペンを借りたので撮影がてらに三浦半島を少し遠まわり。冬の海を見ながらドライブを楽しむことにしたが、オープンカーにとって冬はルーフを開けて走るのに最適といわれるシーズン。上着を着てさらにマフラーなどで首元をガード。そしてヒーターを強めに効かせるのが冬のオープンカーの乗り方だ。そこでわれわれも流儀に則ってルーフオープン!

ルーフの両サイドにあるキャッチを外してスイッチを操作すればルーフは素速く開く。閉じるときも同様に速い。信号待ちなどの短い時間でも余裕で開け閉めできる

 衣笠IC(インターチェンジ)を降りて相模湾方面へ向かう。半島という地形は日本全国にあり、海と山がコンパクトな(クルマでの移動範囲として)スケールで楽しめるところから、どこも人気のドライブスポットだけど、地形的に道があまり広くないことが多い。それゆえにボディが大きい最近の普通車では走りにくさを感じたりするのだが、日本の道路事情にマッチする軽規格のコペンで走ればまるで気にならない。また、剛性感のあるボディと適度に締まった足まわりはつづら折れの区間もスムーズに走り、乗り心地だってわるくない。なんでもない道が「楽しい」と感じられるクルマ、そんな印象だ。

小柄なので「ちょっと脇道に」ということも苦ではない。曲がった先に砂浜が見えたので、コペンを停めて少し歩いてみる

 今回は7速スーパーアクティブシフト付きCVT車を借りてみたのだけど、これが予想以上に楽しく、そしてスポーティだった。シフトチェンジはアップもダウンもクイックだし、シフトダウン時にはブリッピングもしてくれるので、カーブではブレーキングしながら「パンパン」とシフトを落とし、MTでいうところのヒールアンドトゥ的な操作も簡単にできる。それでいて、シフト制御のタイミングがいいので感覚どおりの動きとなり、気持ちよくコーナーへ進入できた。そして立ち上がりのシフトアップも感覚に遅れることはない。MTのコペンもいいが、CVTのコペンはかなり気に入ってしまった。

 そんな感じで乗りやすく、スポーツカーらしい操作も楽しめて、走りも気持ちいいという環境では、運転中の気持ちに余裕が出るからか、視野が広くなりいつも以上にまわりの景色がよく見える気がする。そこにアクティブトップをオープンにした爽快感と開放感が加わると、今この道を走っているクルマのなかで「自分が一番気持ちいい」と思えたりするのだ。

直列3気筒 DOHCターボというエンジンを搭載しているので、どんな道でも加速感はスムーズ。公道を走る分には何の不満もない

 途中、撮影を行ないつつ海沿いの道を走るコペンは鎌倉に到着。ここからは鎌倉市の中心部に向かう道へと向きを変える。

 この道は鎌倉駅や鶴岡八幡宮へ向かう鎌倉のメインストリートなのでクルマも多く、歩道には鎌倉散策をする人が大勢歩いている。そんな賑やかな道を進むと左手にガラス張りの外観がひと際目立つお店、そう、目的地であるCopen Local Base Kamakuraが見えてきた。

ここがCopen Local Base Kamakura(神奈川県鎌倉市御成町4-10)。当初は鎌倉の海に面した場所にあったが、現在は鎌倉駅の近くへ移動している。とはいえコペンオーナーが集う場所としては一切変わっていない。専用駐車場はないが、縦長のお店の両サイドはコインパーキングなので、コペンで乗りつけることができる
エントランス
カウンター。注文はここで行なう
Copen Local Base Kamakura

クルマ好きだけでなく、地元の人たちも集まる場所を目指したカフェ

 このCopen Local Base Kamakuraだが、ここはダイハツが運営しているカフェである。自動車メーカーが飲食店を出店するようなケースは他にもあったが、それらはたいてい期間限定なのに対してCopen Local Base Kamakuraはそうではない。しかも、ここはクルマの販売に結びつくような店側からのアクションはない。店内にはコペンを飾っているが、これはお店のインテリアという扱いで、スペックボードはない。また、スタッフもメーカーやディーラーの従業員ではなく、全員飲食関係のプロという「本物のカフェ」である。カタチを変えた展示場や自動車ディーラーと思っている人もいるだろうが、まったくそうではないのだ。

 そんなCopen Local Base Kamakuraで取材班の対応をしてくれたのは、ストアマネージャーの佐藤亨さんとマネージャーである平栁良輔さんである。

左がCopen Local Base Kamakuraのストアマネージャーの佐藤亨さん。右はマネージャー 平栁良輔さん
佐藤亨さんは前職も大手のカフェ。飲食業のキャリアは15年ほどという。お客さまから聞いた言葉で印象に残ったのが、コペンのことを「スニーカー」と表現したこと。クルマを単なる乗り物ではなく身に付けるものという感性が「素敵だ」と思ったという
平栁良輔さんは普段はお店で調理や接客を行なっているマネージャーさん。平栁さんもキャリアは10年ほどあり、その中でいろいろな飲食の仕事を経験してきた。お客さまと会話することが好きで、展示車のコペンから始まる会話ではコペンの魅力を伝えすぎて(?)いつも大盛り上がり。わざわざ会いに来てくれるお客さまもいらっしゃるという

 5年間の歴史があるお店だけに話したいことはたくさんあっただろうが、代表者である佐藤さんはまず、Copen Local Base Kamakuraの存在について語った。

 ここ鎌倉は有名な観光地であるとともに、かつての都でもあったことから人が暮らす場所でもある。そのため、鎌倉に暮らす人のほとんどは観光とは関係ない仕事に就いているが、地元に興味がないわけではなく、住民の多くはこの地には誇りも感じているし愛着を持っているという。そしてなにより、鎌倉という街の雰囲気を身なりや仕草で体現しているオシャレな人も多い。

 そんな地にあるCopen Local Base Kamakuraは、オープン当初から「鎌倉のお店になること」を目指していた。企業色が強く観光客向けの「よそ者」的なお店ではなく、地元の人に認めてもらい気に入ってもらうために、お店のスタッフは「鎌倉らしさ=LOVE LOCAL」を表現しようとお店の雰囲気、料理、接客などを追求した。そんなことを続けた結果、今はしっかり「鎌倉のお店」と認識してもらっているようで地元の方の利用も多いという。

お店で使うイスやテーブルは本物のアンティーク品。一品ものばかりなので不揃いだし痛みもある。また、メンテナンスも必要だったりするので店舗用には不向きだが、「お店のイメージに合うのはこれしかない」ということで使っている
ソファーとローテーブルを合わせた席もある。ここは自宅の居間のような居心地で人気の席
テラス席のイメージは路地裏。それゆえに定番のウッドデッキではなくアスファルトを敷いている
カリフォルニアをイメージしていて、食事はタコスやブリトーなどがメイン。素材や調理にはとてもこだわっているので味は保証。それでいて金額的にもリーズナブル
クルマを家に置いてきて、みんなで鎌倉散策をして最後にお店で食事をするというようなオフ会も計画中。スタッフはみんな鎌倉通なので「心の地元」をもっと知りたいという人のアテンドもOK
スイーツもある。撮影用に注文したあと「スタッフが美味しくいただきました」だが、これはまた食べたいと本気で思うほど美味しかった

Copen Local Base Kamakuraはすべてのコペンオーナーにとって心の地元

 このように地元に愛される「LOVE LOCAL」な存在になっているCopen Local Base Kamakuraだが、そもそもダイハツが運営するカフェでありながらなぜそうなる必要があったのか? ここがポイントだ。

 前記したとおり、Copen Local Base Kamakuraは地元とのつながりから発展するカーライフを具体化するスペースとして作られた店であり、同時にコペンファンが来たくなる場所であることも求められる。

 そんなお店となると、まずなによりもお店の存在感が必要だ。これは店構えの立派さなど表面的なことではない。その地にお店があること自体が自然であり、訪ねることに意味を感じられることが求められるが、それらの認識を得るにはなによりも土地に根付くことが必須だったのだ。

 とはいえこれは簡単にできることではない。でも、長い時間をかけてそれをやり遂げたCopen Local Base Kamakuraは鎌倉に暮らす人に受け入れられた。そしてコペンファンにとってはコペンの存在が根付いていて、自分たちを気持ちよく受け入れてくれるいわば「心の地元」となったのだ。

地元の人に認めてもらえたことがこのお店にとってとても大きかったことという。取材日も地元の方が大勢来店していた

 そんなCopen Local Base Kamakuraではオフ会も定期的に開催されているが、イベントがなくても友人や恋人、家族を連れて寄ってくれる人も多いとのこと。また、来てくれた人のほとんどが再来店してくれるという。

 その理由は人それぞれ。Copen Local Base Kamakuraの料理が気に入ってそれ目当てで来ることもあるし、スタッフと話がしたいから来る人もいるという。なにかカスタマイズをすれば効果を体感したいからクルマに乗りたいし、それを人に見せたい、話したいと思うのは当然。そこでCopen Local Base Kamakuraまでドライブしてお店のスタッフと話すという具合だ。

 その対応をするスタッフはクルマ業界の人ではなく飲食のプロだが、そこは全員クルマが大好きでコペンに関しては相当の知識を持っている。だから話に対してただ相づちを打つだけの存在ではなく、自分が話すことを理解してくれるいい聞き役となってくれるのだ。

コペンオーナーにとっては心の地元となるお店。実際に1度来てくれたコペンファンはリピーターになってくれるケースが多い
このお店はコペンに興味のない人も普通のカフェとして利用するのだが、そこでコペンファンと交流が生まれてコペンが好きになり、コペンオーナーになったというケースもある

 また、店内にコペンが展示してあるのでふらっと来たお客さまからコペンについて質問を受けたりすることもあるが、そんなときはディーラースタッフのような説明をするのではなく、コペンファンから聞いた「リアルなコペンの楽しさ」を例にして解説をするのだというが、ここの話でとても印象に残ったのが表現の仕方だ。

 例えば赤などのボディ色を「明るい色です」ではなく「とても鮮やかです」と表現する。この言葉の選び方は素材の色を鮮度としてみたり、盛りつけ時の配色から「美味しそう」という感覚を引き出すことを日常的にやっている料理に携わる人らしいもの。そんな言葉が聞けるクルマの話は、クルマ業界の人と会話をする時とは違う楽しさがある。これはCopen Local Base Kamakuraだからできることなので、もし今、コペンが気になっているのならCopen Local Base Kamakuraに「ここらしいコペンの話」を聞きに行ってはどうだろうか。

 ということで、コペンを借り出して丸1日コペンの世界を経験したのだが、これは想像以上に「心地いい」ものだった。コペンには休日の大人的なドライブの意識で乗るとちょうどいいパワー感や乗り味があり、加えてCVTはイージーなだけではなく、操作する楽しさをちゃんと味わわせてくれた。また。オープンカーならではの開放感と視界の広さは訪れた場所の気持ちよさを十二分に感じられるものだった。

 そして、Copen Local Base Kamakuraは、しっかりと地元に根付いている安心感のあるお店で、しかもコペンファンを待っていてくれるところ。そこに借り物とはいえコペンで訪れることはちょっと誇らしい気持ちもあり、迎えてくれることに少し照れくさかったり、なんとも表現しがたい感覚を覚えた。

 という世界を持っているのがコペンだが、こういった世界観は一朝一夕で持てるものではない。コペンは初代から15年以上の時間を掛けてそれを作り上げたのだ。そんな世界観ごと熟したコペンは「今が乗りごろ」。帰りの車内でそんな言葉が口から出た。