トピック
日産の新型「ノート」で1000kmドライブ そこで見えたロングツーリング性能とは?
ただのエコカーでもコンパクトカーでもない、オールマイティさは期待以上の仕上がり
- 提供:
- 日産自動車株式会社
2021年3月5日 00:00
コンパクトカーならではの取りまわしのよさ
発売前のテストコース、発売直後の一般道試乗などを経て、今回はいよいよ新型「ノート」で往復約1000kmのロングドライブに出かける。ちょい乗りでは気付かないウイークポイントは現われるのか? ファーストインプレッションがかなり上々だったノートなだけに、その印象が崩れることはないと推測するが、果たしてどんな結果になるだろう?
今回はロングドライブに連れ出す前日からわが家に新型ノートを迎え、実際に自宅駐車場に泊まらせるところから付き合いが始まった。都内の狭苦しい住宅街の一角にあるわが家の駐車場は、縦列駐車するという厄介なレイアウト。鼻先左側には玄関へのアプローチが斜めに突き出しており、ちょっと気を抜くとひっかける危険性がある。また、駐車場は目の前の道路より一段高く、段差を乗り越える必要があるところも厄介だ。
だが、そこでも取りまわしはラクラクだ。日産の十八番といえるインテリジェントアラウンドビューモニターの映像は相変わらずどこの領域も歪みがなくて見やすい。おかげで駐車も容易に行なえる。パーキングアシストなどがあるわけではないが、人間の手足、そして目に代わる感覚がシッカリと造り込まれているおかげもあり、パーキングスピードでの扱いやすさはピカイチ。それをさらに後押ししたのがe-POWERの調教された部分で、アクセルに対して急激にトルクが発生するようなことがないため、段差の乗り越しもスッとこなせたのだ。
e-POWER、プロパイロットの進化
今回目指すは琵琶湖湖畔の西側で、ほぼ京都という場所だ。片道およそ500km。これはなかなか大変な旅になりそうだ。なにせ相手はいくらよくなったとはいえコンパクトカーである。それも1人で運転せねばならない状況だ。眠気覚ましに音楽でもかけて……、なんて思ったのだが、スマートフォンの充電コードをすっかり忘れてしまったことに東名高速の用賀IC(インターチェンジ)入り口で気が付く。そんな時に限ってスマホのバッテリー残量はさほどなく……。寝る前に充電しておくのも忘れたのだ。これから先、一体なにを頼りに生きて行けばいいのやら。やや大げさだが、スマホ依存がひどい僕にとっては死活問題に近い。
だが、そんな時に思い出したのだ。このクルマには非接触充電器があるということを! スマホをカバンから出してそこに放り込めば、即座に充電が開始したことを知らせるランプが点灯する。スマホの画面を見ずに、クルマに備わるランプで充電されているか否かを確認できるこの造りはありがたい。クルマとのBluetooth接続は前日に済ませておいたから、これでバッチリ。音楽を聴きながら快適な旅となりそうだ。
快適なのはもちろんそれだけじゃない。走りの性能も見事にスムーズだ。料金所からのスタートダッシュは爽快だし、アップダウンが続く高速ワインディングもトルクフルで力のなさを感じるようなシーンはない。エンジンが唸り過ぎることもなく、静粛性に優れた走行を実現してくれるところもポイントの1つだ。
新型ノートのe-POWERは、そもそも回転をあまり高めないように走れるようにセッティングしているため、巡行時も耳心地はなかなかマイルド。今回はスタッドレスタイヤ装着車だったため、ややタイヤの音がうるさいと感じてしまうほどだ。面白いのはロードノイズが大きい時にはその状況を利用するがごとく、積極的にエンジン回転を高めて充電をするという制御が行なわれていること。実際にはそれをつぶさに感じ取ることはできなかったが、終始耳障りな音がなかったということは、その制御が成功しているということなのだろう。
プロパイロットの制御も見どころがあった。ハンズオフまで備わることはないシステムだが、かなりの領域でステアリングアシストをしてくれるおかげで、ロングドライブは疲れ知らず。今回はどちらかといえば直進性の乏しいスタッドレスタイヤを装着していたが、それでも車線のセンターをピタリとトレースしながら走ってくれる。
その際、ドライバーはかなりリラックスした姿勢を取ることが可能だった。両肘をドアとセンターコンソールに置いた状態でステアリングをわずかに握る感覚で走れたのだ。肘を置いた部分の高さが絶妙で、左右ほぼ変わらないところも気に入った。ステアリングを向こう側からガッチリつかまれたかのようなドッシリとした重さは、安心感にも繋がる。
さらにプロパイロットで面白かったのは、速度標識が示す数値に合わせて走ってくれたこと。新東名高速は途中で120km/h区間があるのだが、それに合わせっぱなしにしていたとしても、100km/h区間に入れば自動的に速度を下げてくれたのだ。また、地図データと合わせてワインディング区間では速度を抑えめにするなど、とにかく安全に走ってくれる。これならロングドライブで気が抜けてしまうようなこともなく安心だろう。
こうして京都東ICまでのおよそ6時間のドライブを続けたが、身体がそれほど疲れなかったのは意外だった。ソフトに身体を包み込み、けれどもしっかりと支えてくれたシート。また、路面からの入力をきちんといなし、フラットな乗り味で無駄に揺らがないシャシーの仕立てがあったからこそ。新生プラットフォームはコンパクトカーの領域をまた一歩広げたように感じる。
走りについて感心したのは、細かなワインディングが続く比叡山ドライブウェイを走った時だ。走行モードを「SPORT」に切り替え、ちょっと元気よく走らせてみたのだが、アクセルがかなりシャープに反応するように改められ、かなりの勾配をグイグイと駆け上がっていくから驚くばかり。スタッドレスタイヤにも関わらずキビキビとした身のこなしを展開できるシャシーのセットも魅力の1つだ。フロントタイヤばかりに依存せず、4輪を使ってコーナリングしていくその姿勢はなかなか。だからこそスタッドレスタイヤであったとしてもニュートラルな走りを展開できたのだろう。
これはやはりただのエコカーでも、ただのコンパクトカーでもない。かなり奥深い走りが楽しめる1台だと思えた。日常使いから高速移動、そしてワインディングまでさらりとこなしてしまうオールマイティさは、期待以上の仕上がりだった。思わず帰路はプロパイロットに任せることなく、自らの意思で走り切ってしまった。それくらいドライブが愉しいクルマだったのだ。
道路使用許可:大津警察署 第3923号
都市公園行為許可:指ゆう-南湖東岸 第152号/第153号
【お詫びと訂正】記事初出時、インターチェンジの表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。