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日産「ノート オーラ」で東京から山形へ 長距離ドライブで感じた最新e-POWERの美点とは?
- 提供:
- 日産自動車株式会社
2021年10月31日 00:00
コンパクトカーの枠を大きく踏み出した意欲作
e-POWERのノートシリーズの中で「ノート オーラ」はワイドボディを持つ上級モデルとしてのポジションになる。ベースモデルの個性を生かして、上質を軸にボディサイズや内装の質感をがらりと変え、出力アップも打ち出すのは珍しい。
ベースのノートと比較すると全幅を40mm広げ、リアフェンダーいっぱいにタイヤが張り出し、見た目にも安定感がある。1735mmの全幅はノートシリーズ初の3ナンバーとなる。全長は4045mmと変わらず全高は5mm高い1525mmとなるが、ワイドボディ以外はサイズ的にはほぼそのままだ。
タイヤサイズは出力の向上に伴ってノートの上級グレード「X」の185/60R16から205/50R17とインチアップされている。ノート オーラが堂々と見える大きなポイントだ。
モーター出力も85kW(116PS)から100kW(136PS)に、トルクは280Nmから300Nmに上げられた。ノート オーラはデザインを変えるだけではなく、その実力もコンパクトカーの枠を大きく踏み出した意欲作だ。
そのノート オーラで東京から山形まで長距離ドライブを試みた。目的地は出羽三山の1つ、月山。出羽三山は湯殿山、羽黒山、月山からなる古くからの山岳信仰で知られている。月山には冬のテストにきていた時期があったが、雪のないシーズンに来るのは初めてで好奇心がくすぐられる。
そしてインテリアもツイード表皮のダッシュボードに濃い木目調パネルとのバランスがよい。シート表皮をはじめ、内装では静粛性も手が加えられている。上品な室内は気持ちがよく、シートもクッション全体で身体をサポートしてくれ、こちらもひとクラス上の気持ちよさ。シート表皮を3層にして体圧分布を広くとっているのが効果的だ。ノートのシンプルなシートも気にいっていたが、ノート オーラではワンサイズ大きくなったような感じがする。
ドライブモードはECOを選択。アクセルOFFで回生ブレーキが強く利くので、減速時にブレーキペダルに踏み変える度合いが少ない。ガソリン車から乗り換えると最初は減速感が分からないで戸惑うが、リズムがつかめると乗りやすい。先代ノートと比較すると減速Gの立ち上がりを緩やかにしてあるが、これはユーザーの使いやすさを調査した結果という。クリープの制御を新たに追加し、最終的にはドライバーの意思でブレーキを踏み停止できるのは現実的だと思う。アクセルOFFによる減速になじめないドライバーは、ドライブモードをノーマルにすれば通常のガソリン車と同じリズムで減速できる。3ナンバーサイズとはいえ市街地を走るにもちょうどいいサイズ感だ。
東京~山形のロングドライブも快適に
東北自動車道ではプロパイロットをONにする。前走車のペースに合わせながら追従する全車速クルーズコントロールは、一度使うとその便利さゆえ手放せなくなる。ノート オーラではノートよりモーターの出力が上がって、さらに前車との間隔に緻密に反応する。先行車のペースが上がれば設定速度内での反応も早い。
高速クルージングでもう1つ取り上げたいのは、小型車にありがちな風切り音がよくカットされていることだ。フロントサイドウィンドウにはラミネートガラスが装着されているので、ドアミラーなどから出る音がほとんど聞こえない。またルーフ後部にも吸音材が追加されており、室内の共鳴音を減らしている。
フロアからのロードノイズはインチアップされた17インチタイヤの影響もあって少し大きめに聞こえるが、相対的に室内が静かになったので目立ってしまったようだ。同時にフロアの微振動も感じるが大きなうねりはよく吸収し、シートクッションと合わせて疲労感、特に腰に来るような疲れは感じなかった。
仙台宮城IC(インターチェンジ)まで長いようで短い時間だ。「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」はヘッドレスト内にスピーカーを内蔵し、運転中も臨場感ある音の中に埋もれるようだ。音域を自在にコントロールできるので、ワイドにするとコンサート会場の中心にいるかのようなぜいたくな気持ちになる。
国道48号を山形方面へ。左に仙山線を見ながら深い渓谷にかかる鉄橋を見る。もう少し季節が先なら紅葉が美しい絶景のポイントになるに違いない。仙山線はいつの間にか右から左の窓に映る。
実は昔は通い慣れたルートなのだ。ニッカの宮城峡蒸留所まで行く手前を左に折れ、橋を渡った先に仙台ハイランドレースウェイがあった。東日本大震災で大きなダメージを受けて閉鎖されてしまったが、懐かしくつい足を向けた。自分にとっては思い出深いサーキットであり、R35 GT-Rが足腰を鍛えただけのこともあり、アップダウンがあってツイスティなコースでなかなか手ごわいサーキットだった。
そこへのアプローチ道路もサーキットに似て曲がりくねり上りがきつい。ノート オーラのドライブモードをSPORTにする。それまでもトルクフルな走りで余裕十分だったが、ブーストアップしたようにさらに力強くなる。同じアクセル開度でもグンと加速する。またアクセルOFFでは減速Gが強くなり、コーナー手前の減速が可能だ。
また、コーナリング姿勢は腰砕け感もなく接地性が高い。連続したコーナーをしっかりと路面をつかんで駆け抜ける。インチアップされたタイヤも効果的だ。
閉鎖されたゲートを後にしてさらに北上する。山形に入るときには周囲は暗く、街灯の少ない山道をLEDヘッドランプが明るく照らし出す。
やがて平野になり、闇の中にも庄内平野の長閑な広がりを感じることができる。突然水田の中に羽を広げたような2階建ての建築物が現れた。そこが目的地のSUIDEN TERRASSE(スイデンテラス)だ。宿泊時期は稲刈りが終わったタイミングだったが、季節ならではの風景が楽しめた。このホテルのコンセプトは「晴耕雨読の時を過ごす、田んぼに浮かぶホテル」だけに、しっとりとした落ち着いたたたずまいが好ましい。
周囲には慶應義塾大学 先端生命科学研究所があるくらいで何もないが、日本人の原点である水田の中に身を置いて身も心も解放しなさいということだと心得、大きな温泉に浸かる。改めて見まわすと清潔でシンプルな造形。感覚としてはビジネスホテルと観光ホテルの間と言えばいいだろうか。2000冊の蔵書もあってノンビリと過ごすにはすてきなホテルだ。食事もおいしくいただきました。
プレミアムブランドからの乗り換えにも応える
翌日は由良海岸まで足を伸ばす。この日の日本海は穏やかで冬の荒々しいイメージとは程遠い。細い路地は家の屋根が接するようにして建てられているが、ノート オーラのサイズ感は抜群で、四隅を把握しやすく通り抜けた。
いよいよ月山に向けて走り出す。広いバイパスを上り、途中から月山8合目に至る山道に入ると道幅は狭く舗装も荒れている。
ここでもドライブモードをSPORTにして積極的にアクセルによる加減速機能を使う。アクセルからブレーキペダルに踏み変えるのが無意識に苦手なドライバーから、アクセル開度が少なくても大きなトルクが出るスポーティな味を好むドライバーまで活用範囲は広い。
登坂が急ですれ違いもままならない山道だが、ノート オーラは元気よく登っていき、荒れた舗装での凹凸もよく吸収してくれる。
出力アップされたノート オーラは、ノートに厚みを加えたような走りで余力が増えた感じだ。発電のためにエンジンはほぼまわりっぱなしだが、ノイズはよく抑えられ煩わしさはない。
たまに下山してくる対向車もあるが、すれ違いもすんなりできた。少しGが掛かるぐらいのコーナーもシートのホールド性がいいので身体をサポートしてくれ、ドライビングポジションを乱されなかったのはうれしい。
8合目で車道は行き止まり。駐車場から見える眺望は素晴らしかった。朝日連峰が一望のもとに広がる。月山山頂も見えるはずだが、残念ながら流れてきた雲に隠されてしまった。それでもここまで楽に運んでくれたノート オーラに感謝したい。
山の下りではドライブモードをECOかSPORTを選択し、回生ブレーキを使いながら微妙な減速をするとベターだ。狭い山道に慣れていない都会のドライバーでも、運転の基本であるコーナー手前での前荷重が意識せずにできるはずだ。
燃費は流れにのった高速道路でおよそ19km/L台。アクセル開度の大きな月山の上りでは平均燃費16km/L台まで落ちたが下りで挽回した感じだ。大人4人が無理なく座れるパワーのあるコンパクトカーとしてはわるくない数字だ
遠く山形まで足を伸ばしたノート オーラとのドライブだったが、長い距離を走ったことでの気付きもあり、同時にクルマ移動の楽しさを改めて実感できた旅だった。
しかもこのクラスでは他に類のない上質なインテリアを持ち、エクステリアの存在感もあるノート オーラ。大きくなってしまったプレミアムブランドからの乗り換えにも応えることができそうだ。
Photo:中野英幸
撮影協力:SUIDEN TERRASSE