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PHEVの先駆者、三菱自動車「エクリプス クロスPHEV」が秘める魅力とは?
- 提供:
- 三菱自動車工業株式会社
2024年3月29日 11:00
充電の心配がなくロングドライブも気にせず走れるエクリプス クロスPHEV
三菱自動車はPHEV(プラグインハイブリッド)の先駆者。先代「アウトランダーPHEV」からスタートしたPHEVは今後世界的にも増加していくと予想される。三菱自動車は電気自動車でも次世代車のパイオニアでもあるのだ。
ひと言でPHEVと言ってもいろいろなシステムがある。三菱自動車のそれは電気だけで走るEV走行モード、エンジンで発電してその電気でモーターを駆動するシリーズ走行モード、エンジンの力で走り電気モーターがサポートするパラレル走行モードを使い分けて走る独自のシステムだ。
出力は異なるセッティングだが、エンジンはアウトランダーと同じ4B12型。燃費に優れた直列4気筒2.4リッターのアトキンソンサイクルで発電する。パワーがあると発電量も大きく、今回の主役である「エクリプス クロスPHEV」にも採用された。
そしてEV走行を担うバッテリは13.8kWhの総電力量を持ち、EV走行では約57kmの距離を走れる。バッテリの大きなアウトランダーPHEVの約87kmには及ばないが、重量の軽いバッテリでスポーティな走りを目指している。またBEV(バッテリ電気自動車)と違って充電をする心配がないのでロングドライブも気にせず走れるのが頼もしい。
さてボディサイズはアウトランダーよりもひとまわり小さく、全長4545mm、全幅1805mmで狭い日本の道でも安心して走れる。三菱自動車らしい力強いデザインはダイナミックシールドグリルがよく似合い、エッジの効いたサイドラインは三菱自動車のチャレンジするSUVクーペであることを強調している。
クーペと言っても居住性は全高1685mmと高く、後席のレッグルームも余裕がある。後席は9段階でリクライニング可能でクッションストロークも大きく長距離移動でも苦にならない。ラゲッジルームは9インチのゴルフバッグが3本搭載できるスペースがあり、しかも有効なアンダートランクもあるので、友人や家族での楽しい旅行にも不自由はしない。
クーペらしいのはコクピット。センターコンソールからのシルバーの加飾がドライバーと助手席を囲むようにデザインされ、メカニカルな雰囲気はいかにも三菱自動車らしい。センターコンソールはシフトセレクター、ドライブモードやEVプライオリティモード、バッテリーセーブ/チャージモードのスイッチなどが配置され、必要なアナログスイッチにすぐに手が届き、ドライバーズカーらしい配置だ。
ドライバーをしっとりホールドするシートは高めのアイポイントで、オフロードから生まれたスポーツSUVらしく視界も開けている。ドライビングポジションは身長にかかわらず合わせやすく、チルト/テレスコピック付きのハンドルも握りやすい。
狭くツイスティなコースはエクリプス クロスPHEVの独壇場
さて、クーペと言えばスポーティな走りを連想する。悪路走破性を重視するSUVとオンロードでの機敏な動きは一見両立しないように思われるが、エクリプス クロスPHEVはそれをラリーで培った技術で実現した。
試乗車のタイヤはウィンターシーズンには必需品のスタッドレスを履いていた。銘柄はブリヂストンのSUV用スタッドレスタイヤ「ブリザック DM-V3」だが、ブロック剛性が強く1920kgのエクリプス クロスPHEVをオンロードでも標準タイヤに匹敵するように走らせることができた。
まず骨格となるボディの剛性が高く、ハンドル操作に対する応答性に優れコーナーでもグイグイと曲がっていく。オンロードを主体とする標準タイヤならさらに正確なコーナリングラインを取れると思うが、このままでも十分SUVクーペの実力を伺える。
サスペンションをかためるケースの多い通常のクーペとは違って、SUVならではのストロークを活かして4輪でグリップする余裕が好ましく、コーナーでのロールは適度に抑えられている。例えばS字コーナーなどでのボディの揺り戻しは素直だ。
サスペンションの前後バランスからすれば少しリアが硬めの設定だが、大きく揺さぶられることなく安心して乗っていられるところがエクリプス クロスPHEVのよいところ。前後シートのクッションストロークがあり、ゆったり座れるのだ。
さて、取材時は往路の高速道路で駆動用バッテリを使ってしまったため、バッテリーチャージモードでエンジンで充電しながら走ってきたが、エンジンからのノイズは小さく、振動もよく抑えられて気持ちよく走れた。インターチェンジを降りたところで充電を行なったが、エクリプス クロスPHEVのリチウムイオンバッテリの容量は13.8kWhで、急速充電なら80%まで約25分で終了する(最大電流量60A以上の急速充電器使用時)。
充電後、すぐに走り出す。市街地ではエンジンを使わないバッテリ走行でCO2を排出せず静かで快適だ。またレスポンスに優れたモーターの特性でストレスのない走りができる。エプリクス クロス PHEVはセンターコンソールにバッテリのSAVE/CHARGEモードスイッチがあり、これから進む急勾配の山道で電気の力を試すべく、あえてバッテリーチャージモードで減ったバッテリに充電しながら走る。
海岸沿いから一気に山を駆け上がる。バッテリーチャージモードを解除してNORMALモードに入れる。ドライブモードはECO、TARMAC、SNOW、GRAVELがあり、それぞれの路面に合わせた駆動力が選べるがNORMALが万能だ。狭くツイスティなコースはエクリプス クロスPHEVにとっては独壇場。レスポンスのよいモーターはスポーツSUVらしく思いのままに上っていく。瞬発力のあるパワートレインは扱いやすい。剛性の高いボディ構造と相まって一体感のある走りを楽しめる。
パーキングでクルマを止めてラゲッジルームから荷物を下ろす。キーを持っていれば足のつま先をバンパー下に出し入れするとゲートが自動的に開く。荷物などで両手がふさがっているときに便利な機能だ。リアゲートを下ろすときはゲートに付いたスイッチで力を入れることなく最後まで閉じる。マイナーチェンジで利便性が高まった。
もう1つ朗報はマルチアラウンドモニターが付いたことで、駐車時に自車を上から見たような映像を確認できるのでありがたい。狭いパーキングでは効果絶大だ。さらにステアリングホイールに付いたカメラマークを押すと車両直前の映像が見えるので、狭い道から出るときなどにも使えて良心的な配慮だ。そして寒いときにはすぐに温まる前後席に備わるシートヒーター、それにステアリングヒーターは一度その恩恵を味わうともう手放せない。また、乗降する際に泥はねでボディが汚れていてもボディのサイドシルまでドアがカバーされているためにズボンの裾を汚すことはない。
PHEVはこれからのカーライフを担う重要なポジションにある
穏やかな駿河湾と雪をかぶった富士山の威容に圧倒された翌日は、フロントウィンドウに水滴が飛ぶあいにくの天候だ。そして高度が上がるにつれて雪が舞ってくる。そんな場面でも三菱自動車の4WD技術「S-AWC」(スーパーオールホイールコントロール)で全輪をコントロールする機能とスタッドレスタイヤのコンビネーションは、エクリプス クロスPHEVを万能にする。
その昔、雪が降るとワクワクしながら後輪駆動の三菱車で走りまわったころを思い出したが、現在のS-AWCではしっかりと路面をグリップし、誰でも安心して走れる。もちろん過信は禁物だが、駆動力が強いだけでなくハンドリングも素直で特別なテクニックを使うまでもなく安全に曲がっていく。
以前に凍結した湖で走らせたこともあるが、約2tにおよぶエクリプス クロスPHEVが意のままに操れて改めて感銘を受けたほどだ。繰り返すがタイヤの限界、4WDシステムの物理的な限界以上のことはできないが、エクリプス クロスPHEVがドライバーに寄り添うように動いてくれて愛着を覚えた。春先の重い雪や山陰の凍結しやすい道でも無理さえしなければ安全に目的地に連れていってくれる。
帰り道はセンターディスプレイに表示されるナビゲーションのままに自動車専用道路に乗る。操作が容易な高速道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT(マイパイロット)」で前走車とともにクルージングする。車間距離を保ちつつ、前にクルマが入ってきてもそれに順応してついていき、軽い曲率のコーナーならレーンキープしていく。MI-PILOTで高速道路をクルージングすると気持ちに余裕が生まれ、さらに安全運転になる。パノラマルーフは特に後席では明るいキャビンが広がり、後席の笑顔が思い浮かぶ。
100Vの電源が取れるのもありがたい。電気器具なら最大1500Wまで使えるのでポットで簡単にお湯を沸かすこともできるし、ホットプレートやドライヤー、炊飯器までも使える。ちなみにバッテリが満充電、ガソリンが満タンなら、一般家庭の最大約10日分の電気を供給する能力があり、家庭に給電する機能(V2H)があればいざという時に役立つ。PHEVのもう1つの魅力だ。また電動車らしくUSBポートは後席にType-A/Cが1か所、前席にはType-Aを2か所持っている。
PHEVは使い方次第でクルマの可能性が大きく広がるこれからのカーライフを担う重要なポジションにある。中でもエクリプス クロスPHEVは三菱自動車らしい硬派なSUVクーペに仕上がり、どんな場面でも力強く走る。使いやすいサイズでドライバーに負担を掛けないSUVであることを改めて感じた試乗となった。
Photo:安田剛