ジュネーブショー 2017

【ジュネーブショー 2017】ポルシェ、パナメーラのワゴンモデル「パナメーラ スポーツツーリスモ」世界初公開

自然吸気モデルのロードカーで最高峰となる「911 GT3」もデビュー

2017年3月7日(現地時間)公開

ジュネーブショーでワールドプレミアされた「パナメーラ スポーツツーリスモ」

 ポルシェは、ジュネーブショーで「パナメーラ」の新ラインアップとなる「パナメーラ スポーツツーリスモ」をワールドプレミアした。

 パナメーラ スポーツツーリスモは、2016年にフルモデルチェンジを行なった新型パナメーラで導入されたすべてのイノベーションが網羅されているという。デジタル式のポルシェ・アドバンストコクピットやアクティブクルーズコントロールを含めたポルシェ・イノドライブ、リアアクスルステアなどのシャシーシステム、アクティブ制御によるロール抑制システムのポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール・スポーツ(PDCCスポーツ)が新型パナメーラと同様に与えられる。

 パナメーラ スポーツツーリスモ用としては、電子制御式マルチプレートクラッチを備えたアクティブ4WDシステムのポルシェ・トラクション・マネージメントシステム(PTM)と、Sモデルには3チャンバーテクノロジーによるアダプティブエアサスペンションが標準で装備される。

 パナメーラ スポーツツーリスモの外観の特徴は、Bピラーからリアエンドへ続くユニークなライン。力強いショルダー上部の細長いウィンドウラインと、長いルーフラインが象徴となる。ルーフ後部はウィンドウラインよりもなだらかに下降し、特徴的なDピラーがクーペのようなショルダーセクションへと移行している。リアに設けられたアダプティブスポイラーは、走行条件と選択した車両設定により3段階に調整が可能。170km/h以下のときは、ポルシェ・アクティブエアロダイナミクス(PAA)の中心コンポーネントである空力ガイドエレメントが-7度の格納ポジションにセットされ、空気抵抗を抑制する。170km/hを超えるとルーフスポイラーは自動的に+1度のパフォーマンスポジションにセットされ、走行安定性と横方向のダイナミックを高める。調整式のルーフスポイラーは最大で50kgのダウンフォースを追加することができるという。

 搭載されるエンジンは5つのバリエーションがあり、グレードによって分けられている。「パナメーラ 4 スポーツツーリスモ」は243kW(330PS)/450NmのV型6気筒2995ccターボ、「パナメーラ 4 E-ハイブリッド スポーツツーリスモ」はシステム全体で最高出力340kW(462PS)/700NmのV型6気筒2894ccツインターボとプラグインテクノロジーを採用したパラレル方式のフルハイブリッド、「パナメーラ 4S スポーツツーリスモ」は324kW(440PS)/550NmのV型6気筒2894ccツインターボ、「パナメーラ 4S ディーゼル スポーツツーリスモ」は最高出力310kW(422PS)/850NmのV型8気筒3956ccツインターボで、最上級の「パナメーラ ターボ スポーツツーリスモ」は最高出力404kW(550PS)/770NmのV型8気筒ツインターボとなっている。

 ドイツでの販売価格は9万7557ユーロ~15万8604ユーロで、欧州市場での販売開始日については10月7日を予定している。

ワールドプレミアされたパナメーラ スポーツツーリスモ。ボディサイズは5049×1937×1428mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2950mm
ホイールサイズは最大で21インチ。パナメーラターボ スポーツツーリスモは275/35 ZR21サイズのフロントタイヤを装着
スポーツツーリスモはパナメーラ初のリア3シートを装備する。左右の独立した2つのシート+1という配置となる

 一方、自然吸気モデルのロードカーで最高峰となる「911 GT3」もジュネーブショーでデビューを飾った。911 GT3カップカーに搭載される水平対向6気筒4.0リッターとほぼ同様の仕様となるエンジンから発揮される最高出力は368kW(500PS)で、PDKモデルの0-100km/h加速は3.4秒、最高速は318km/hをマークする。

 車両重量は1430kgで、パワーウェイトレシオは3.88kg/kW(2.86Kg/PS)となる。レーシングカーと同じサーキットで開発され、同じ生産ラインで製造される911 GT3は、ポルシェのモータースポーツテクノロジーがふんだんに注ぎ込まれたロードカーといえる。

ワールドプレミアされた新型911 GT3。「911 カレラS」に対して車高は25mm低く設定されている。ドイツでは5月中旬に発売される予定で、価格は15万2416ユーロ
2シーターの新型911 GT3のインテリア。シートは18wayの電動調整式アダプティブスポーツシート・プラス、可倒式バックレストと内蔵式胸部エアバッグおよび手動式前後調整機能を備えたスポーツバケットシート、CFRP製フルバケットシートの3タイプが用意される
911のラインアップを拡張するGTSモデルも発表された。エンジンは新開発された3.0リッターターボで、先代モデルを20PS上まわる331kW(450PS)を発生。トランスミッションは7速MTが標準で装備され、オプションでPDKを選択することも可能。モデルバリエーションは、911 カレラGTSと911 カレラ4 GTSのクーペとカブリオレ、911 タルガ4 GTSの5タイプ

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。