長期レビュー

日産「ノート」

最終回:春が来た。ノートに乗って「いちご狩り」に行こう

関東もスタッドレスタイヤから夏タイヤへ衣替えの季節。ノートも純正タイヤに履き替え、春のいちご狩りに出かけることにした

 日産自動車のグローバルコンパクトカー「ノート」長期レビューの最終回。3月は春が始まる季節でもあり、お別れの季節でもある。

 最終回は、その春を満喫するために、ノートと一緒に「いちご狩り」に出かける。しかし、その前にノートの衣替えが必要だ。ノートは、軽井沢や東北の復興商店街を巡る旅スタンプラリーへ出かける際に必要だったミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE XI2(エックスアイス エックスアイツー)」を装着しており、これを標準装着のタイヤに戻す作業が必要になる。

 そこで訪れたのが、東京都府中市にある「オートバックス府中店」。オートバックス府中店は、「オートバックス小金井店」が2年前に移転新築オープンしたもので、訪れるのに便利な東八道路沿いにある。環境配慮型実験店舗でもあり、一部照明へのLEDの採用や屋上緑化が行われている。ピット台数も旧店舗の5台から14台に増設されており、待ち時間も以前より減っているのではないだろうか。

 このオートバックス府中店で、スタッドレスタイヤから標準装着タイヤへの組み替えを行ったのだが、作業は迅速そのもの。平日の午前中とあってか、30分ほどで終了した。ちなみに今シーズンのスタッドレスタイヤの売れ行きをうかがったところ、「非常に好調だった」とのこと。東京で1月に大雪が降った関係もあり、スタッドレスタイヤどころかチェーンまでほとんどの製品が売り切れに。いずれも季節商品であり、1月からは再生産もされないため、1度在庫がなくなると、他店と融通できたもの以外は欠品サイズとなっていたようだ。来シーズンにスタッドレスタイヤを購入しようと思っている人は、早めに動くことをお勧めしたい。

オートバックス小金井店が移転し、オートバックス府中店として生まれ変わっていた。東芝府中工場近くの東八道路沿いにある
店内1階にはタイヤ保管サービスの看板が。利用客も増加中とのこと
早速ピットで、タイヤの組み替え作業開始。ジャッキもフラットタイプのものとなっていた
ホイールキャップを外して
スタッドレスタイヤも外して
再び使用するときに備えて、タイヤの位置を示すラベルを貼る
ホイールはそのまま使用するため、スタッドレスタイヤを外し、標準タイヤに。タイヤが痛みやすくなるため、それぞれ別のホイールを用意するのがお勧め
タイヤバランサーでバランスを確認。必要な個所に重りを取り付ける
タイヤ&ホイールを取り付け、最後は手締めで締め付けトルクを確認
外したスタッドレスタイヤは持ち帰る。リアシートを倒しているため、タイヤ4本の搭載などは余裕

 タイヤ関連のサービスで利用者が増えているのが「タイヤ保管サービス」。取り外したスタッドレスタイヤを半年預かってもらえるというもので、自宅にタイヤを保管するスペースが確保できない人だけでなく、ベランダなど直射日光が当たるような場所しか確保できない人にもお勧めできる。もちろん秋にスタッドレスタイヤに付け替えた場合、夏タイヤを預かってもらうこともできる。料金はオートバックス統一料金ではなく、店舗ごとに異なっているとのこと。タイヤ交換に行く手間を考えると、自宅や通勤経路に近い店舗が便利だろう。

●オートバックス府中店
http://www.autobacs.com/store/top/top.aspx?store=114065

春、晴れ、富士山、そして海、いちご

晴れた朝、東名高速を西に向かうと富士山が目に飛び込んでくる。東名ドライブの楽しいポイント

 ある晴れた休日、標準タイヤに履き替えたノートとともに、いよいよいちご狩りにでかけた。東京からいちご狩りに出かける場合、茨城方面、千葉方面、群馬方面、神奈川方面とよりどりみどり。せっかくなので、春をより感じられるよう、静岡は久能山のいちご狩りに出かけた。

 久能山のいちごは、章姫(あきひめ)とう品種で甘くて美味しいとWebサイト(http://www.kunou-ichigo.com/)に書いてあった。なにより、石垣から生えるいちごというのを見てみたかったのだ。どの場所で狩るかは、現地で決めることにした。

●久能いちご狩り
http://www.kunou-ichigo.com/

 東京から久能のいちご狩りに行くには、東名高速の清水IC(インターチェンジ)で下りればよい。清水ICへは、東京料金所から東名を真っ直ぐ行けばよいのだが、御殿場JCT(ジャンクション)で新東名高速に入り、新清水JCT~清水JCT経由で再び東名高速に戻って清水ICへ行くことにした。新東名高速や東名高速は何度も通ったことがあるが、新清水JCT~清水JCT間は通ったことがなかったためだ。

●【GW直前特別企画】エコなハイウェイ「新東名」をエコタイヤで走る(後編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120427_529633.html

 新東名高速開通直後にお届けした記事同様のルートで新清水JCTへ向かう。新東名高速経由のほうが距離的には遠回りになるのだが、道幅も広くとても快適。渋滞もなく、実にスムーズに東名 清水ICに到着した。

東名を西へと向かう。絶好のドライブ日和
厚木IC付近。往路は渋滞などなかった。早めに出かけるのが吉
御殿場JCT手前。アップダウンの少ない新東名で行くのがお勧め
新東名のほうがクルマが少なかった
新清水JCTを東名方面に向かい、清水JCTを清水・名古屋方面へと向かう

 清水ICからは、国道149号を南下。そのまま海に突き当たると国道150号となる。国道150号は左手に海を望む快適な国道で、天気もよくドライブ日和。すぐに久能のいちご狩りエリアに到着した。久能のいちご狩りWebサイトを見ると分かるように、この辺りは実に多くのお店が並んでいる。何回か近辺を往復し、「萩原農園」で狩ることに決めた。駐車場に止めやすかったのと、萩原農園であれば海を見ながらいちごを狩れると思ったためだ。

海沿いの国道150号
いちご海岸通りと名付けられた道を何度か往復して狩り場を検討
萩原農園にしてみました

●萩原農園
http://www.hagiwara-farm.com/

 まずは受付で入園料を支払い、取り皿とコンデスミルクを受け取る。後は係員の指示に従って階段を上り、ほぼ1つのビニールハウスを2人で占有できた。指定されたハウスに入ったら、狩りの始まりだ。といっても、石垣から生えているいちごをもいで食べるだけで、難しいことは何もない。あえて言えば、ハウスの中が蒸し暑く、長時間入っていられないことだ。いちごはこれで育つかもしれないが、実質的な蒸し風呂状態になる。そのため、3~4ついちごを狩ったら(もいだら)、ハウスの外に出て、海を見ながらいちごを食べる。ハウスの外はさわやかな風が吹いており、絶好のいちご日和だった。

きらきら輝くいちご。激しくおいしかったです
入園料を払って、取り皿とコンデスミルクを受け取る
下から見ると、段々畑のようにハウスが建ち並ぶの見える
とりあえず坂道を上っていく
途中振り返ると、このように海が見える
上っていくといちごが実るハウスが現れる
ハウスの中はいちごが大量に実をつけていた。スタッフが、いちごの状態を確認している
ハウスに入ると急にカメラのレンズが曇ってしまった。湿度が高く、蒸し暑い
石垣から大量に生えているいちご。あとはいちごを狩るのみ
狩ったいちごはこのようにコンデスミルクにつけて
赤と白のコントラストが……
おなか一杯になるまで、何個でも食べることが可能だ
ハウスの中は蒸し暑いので、ある程度まとまった量を確保して、ハウスの外で食べるのがお勧め

 いちごを存分に狩ったら(食べたら)、腹ごなしも兼ねて国道150号を西へドライブ。ノートでキラキラ光る海を見ながら走っていると、「渋滞とかあるのはイヤだけど、旅をするならクルマ旅だよな~」と思う。お気に入りの音楽などをかければ、心地よい空間を作り上げることもできる。

 国道150号を西進して安倍川を越え、少し進んだところを左へ(海のほうへ)曲がると用宗港に出る。ここでちょっとばかしノートの後席とラゲッジルームを撮影。参考までに国際線の機内持ち込み可能なグローブトロッター「18インチ トローリーケース」を後席やラゲッジルームに置いてみたが、その余裕はさすがグローバルコンパクトカー。運転席に座る筆者の身長は178cmなのだが、後席には写真のような空間が広がっている。大人4人が快適に旅をできる空間が確保されている。ただ、大人4人と荷物を載せると、高速道路の上り坂などではスーパーチャージャーをガッチリ効かせる必要があり、燃費への悪影響が見込まれる。安定して20km/L近辺の燃費を期待するには、大人2人と、子供2人くらいがお勧めだ。1.2リッターのコンパクトカーと考えると、大人4人で高速道路の坂道を加速していくだけでも、驚異と言えるのだが……。

いちごで満腹になったら、海沿いを西へドライブ。海がキラキラ
用宗港に到着
グローブトロッターの18インチ トローリーケースで積載性能を確認
機内持ち込み可能な最大サイズのトラベルケースと比較しても余裕空間が広いので、あれこれ便利に使える
ラゲッジルームの例。4個くらいは並べることができそうだ

 さて、用宗港に立ち寄ったのは撮影するためではない。用宗港はしらす漁で知られる港で、獲れたての生しらすを使った「とれたて生しらす丼」を食べられる漁協直営のお店があるのだ。その名は「どんぶりハウス」(まんまですね)。ただし、とれたて生しらす丼を食べられるのは、しらす漁を行っているときだけであり、1月半ば~3月下旬まではしらす禁漁のため「釜揚げしらす丼」となっていた。

漁協直営のどんぶりハウス。直営のため新鮮そのものだ
どんぶりハウスのメニュー。とれたて生しらす丼は出漁時のみ販売のため、レアな存在
左は釜揚げしらす丼、右は釜揚げしらすとまぐろの漬けとのハーフ&ハーフ丼「用宗丼(B)」

 この釜揚げしらす丼は大変美味しく、そのほかまぐろ漬け丼、ネギトロ丼もメニューにある。生しらすにこだわらなければ、こちらもお勧めだ。逆に生しらすにこだわる人は4月以降に訪れてほしい。そのほか注意点としては、営業時間が11時から14時と短いこと。晴れていれば海を見ながらしらす丼を堪能できることは間違いなしだ。

●静岡市 水産漁港課
http://www.city.shizuoka.jp/deps/suisan/

釜揚げしらす丼もまぐろの漬け丼も、どちらもお勧め。迷ったら2色丼の用宗丼を注文するとよい。4月からの出漁時はとれたて生しらす丼がメニューに加わる

復路は燃費を計測。そして、ノートとのお別れ

 復路は静岡IC手前にあるガソリンスタンドで給油、そして静岡ICから清水JCT~新水JCT経由で再び新東名へ。気温も高いため、NEOPASA駿河湾沼津でソフトクリームを食べて一休みしつつ東京へと向かった。

 途中大和トンネルを先頭とした渋滞に遭遇。休日のいつもの風景だが、圏央道 海老名IC~相模原愛川IC間の開通が3月30日、東名と中央自動車道の接続が1年後にあることを考えると、来年は見られないかもしれない。なんてことを考えると、大和トンネルの渋滞も味わい深いものになるから不思議だ。イライラしがちになる心を、発想の転換で乗り切りつつ渋滞を通過した。

静岡ICから東名へ。東京を目指す
新東名のほうが5分余分にかかるようだが、迷わず新東名に。運転が楽だからだ
清水JCT~新清水JCT間を走行中
新清水JCTで新東名に合流
新東名はフラットで走りやすいため、アクセル一定での燃費を意識した走行がしやすい。ゆるい下り坂ではアクセルを少し踏むだけで100km/h巡航が可能で、瞬間燃費30.0km/L以上をマークするのは容易だ
駿河湾沼津SAに立ち寄り
駿河湾沼津SAは海の見える、開放的なSA
駿河湾沼津SAにあるNEOPASA駿河湾沼津には多数の飲食店が入る
筆者のお勧めは横浜ポンパドウルのカレーパン
こちらはムッカ ヴァッカのソフトクリーム
おやつ休憩を終えたら、再び新東名へ

 東京の目的地は秋葉原。燃費確認のために給油したスタンドは、万世橋近くのセルフスタンドになる。給油方法は1度給油が止まるまでガソリンを入れ、少し時間をおいて2度目の給油を行うというもの。マルチファンクションモニターの燃費は23.5km/Lだったが、実燃費は、188.8÷6.61=28.562……で、約28.6km/L。相変わらず優秀な燃費値を叩き出す。この実用燃費の高さは、経済性が重視されるノートの美点と言える。静岡ICからの復路は下り坂の占める割合が多いとはいえ、大人2名+ちょっとした荷物搭載であることと、渋滞などがあったことを考慮するとさすがの一言。個人的には、アクセルペダルの踏み加減を表示するアクセルペダルガイドが、好燃費を記録する上で大変役に立っている。

御殿場JCTで東名に合流。御殿場ICには、東名最高標高454mの看板がある。ここから始まる下り坂をどう活かすか効率よい高速走行のポイントになる
御殿場ICから東京料金所までずっと下っていればよいのだが、厚木ICを底に再び東名は上り坂に。そして大和トンネルを先頭にしたおなじみの渋滞が始まる
この日の夕刻は5kmほどの渋滞だった。3月30日の圏央道 海老名IC~相模原愛川ICの開通で、この渋滞がどのように変化するのか楽しみだ
東京 秋葉原近くのセルフスタンドで給油
静岡IC手前から東京 秋葉原までの平均燃費は23.5km/Lが表示された。実燃費は、約28.6km/Lだった

 ノートを取材の足や長距離移動の足として使ってみて感じるのは、クルマとしての基礎がしっかり作り込まれていること。ボディー剛性が必要かつ十分あり、サスペンションの追従性も高い。また、ステアリングの操作感も、コンパクトカーらしからぬしっかり感がある。とくに、横川~軽井沢間の雪の旧国道を上った際には、タイヤの接地性の確かさを如実に感じた。FFらしからぬ、トラクション性能を発揮してくれたからだ。

 東北復興商店街へのロングドライブでは、それらが“不思議と疲れないロングドライブ”を実現。何も復興などしていない被災地を改めて実感した衝撃が大きすぎたせいもあったが、ロングドライブにおけるストレスは感じなかった。

 ノートのよさは、クルマとしての基礎がしっかりしているため、アクセル操作に気を使い、エコスーパーチャージャーエンジン「HR12DDR」を活かして走れば容易に好燃費をマークできることにある。また、その基礎力の高さゆえ、決して飛び抜けて速くはないものの、燃費などを考えつつ運転を工夫することが楽しいクルマだ。華やかさはないが、リアシートやラゲッジルームの使い勝手もよく、日常時使用において不満を持つことはないだろう。現代のコンパクトカーの能力の高さを実感した3カ月だった。

編集部:谷川 潔

http://car.watch.impress.co.jp/