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日産「ノート」でエコドライブにチャレンジしてみた
名古屋往復で目指せ燃費27.0km/L!
(2013/2/8 11:59)
日産自動車は、排気量1.0リッター以上のガソリンエンジンを搭載する登録車でクラスNo.1の燃費を誇る「ノート」でロングランし、その燃費を競うという「ノート エコドライブチャレンジ」を1月24日、25日に開催。同イベントに、Car Watchチームとして参加したので、本稿ではその模様をお伝えしたい。
ノート エコドライブチャレンジは2日間にわたって行われ、初日は横浜の日産本社から名古屋まで行き、翌日は名古屋から日産本社まで帰ってきて、そのトータル燃費を競うというもの。参加したのは日産1チームと自動車メディア18チームの全19チーム。Car Watchチームは、ノートがお気に入りの私、岡本幸一郎と、エコよりも速さを追求し、日産車を愛車とする編集部の小林だ。
想定外の事故で時間も燃料も無駄に!?
初日の朝、日産本社にて集合。全体のスケジュールの説明、商品企画本部 商品企画室 チーフ・プロダクト・スペシャリストの水口美絵氏の挨拶に続き、開発者の三由氏からノートでのエコドライブのコツを伝授してもらう。そして、ギャラリー横の車寄せで記念撮影をした後、車両を受け取り、いざ出陣!
本気で燃費を出すとなるとやり方はいくらでもあるのだが、とにかく公道を走る以上、周囲の交通に迷惑をかけないことをまず最優先するよう心がけた。走行ルートは、推奨コースが一応あるのだが、初日の目的地であるノートのエンジンを生産している愛知機械工業に15時までに着けばどのルートを辿ってもOK。ただし15時を過ぎると、ペナルティとして1分につき0.1km/Lが結果からマイナスされるというルールだ。
ちなみに我々の目標燃費は27.0km/L。深い意味はないが、ノートのJC08モード燃費である25.2km/L(S DIG-S)は少なくとも超えたいということと、目標が高いほど燃えるということで。しかし、詳細は後述するが、他チームは驚くべき燃費を叩き出したのであった……。
とりあえず我々は、推奨どおりのルートで首都高速 神奈川線のみなとみらいから高速に乗り、横浜町田IC(インターチェンジ)から東名高速に入った。せっかくの機会なので、ドライブの楽しさをお伝えできればと思い、主だったSA(サービスエリア)に立ち寄ってそれぞれの名物でも記事で紹介しようかなどと考え、走り出して間もないものの早くも海老名SAへ。この時点で平均燃費は26.7km/L。わるくないぞ。
ところが、海老名SAに寄ったのは結果的に大きな間違いだった。我々が海老名SAに滞在したわずかな間に、何と厚木IC先で事故が発生し、車線規制により大渋滞が発生してしまったのだ。およそ30分という貴重な時間を無駄にした上、燃費もみるみる落ちて、21.6km/hまで下がってしまった。ガックシ……。
あとで調べた限りでは、海老名SAに立ち寄ったチームは我々のみ。つまり渋滞にハマったのも我々だけだったようだ。ようやく渋滞を通過して、気を取り直してエコドライブ再開。ここから挽回だ。御殿場ICをすぎて新東名高速道路へ。
目指せ燃費27.0km/L!
考えてみると、新東名は何度か走っているけれど、名古屋まで行くのは初めてだ。新東名はスピード違反の取り締まりが盛んだという話をよく耳にするが、今回はその心配はないか(笑)。
速度は概ね80km/hプラスαを目安に走行。下り坂はエンジンブレーキがかかることを覚悟で、アクセルをオフにして燃料カットを狙うよりも、「N」レンジでコースティングしたほうが燃費には有利かとも考えたが、決してオススメできる方法ではないと思ったので普通にアクセルオフにした。
上り坂が見えたら、坂で車速が落ちてアクセルを大きく踏み込む必要がないよう、まだ平坦なうちに少し加速気味で走っておいて坂に備える。そして坂の途中では、アクセルの踏み込み量を表示するエコペダルガイドのグラフが半分よりも下にならないよう気をつけた。あとは基本的なことだが、アクセルペダルを踏み込むときには優しくふんわり操作するよう心がける。このときもエコペダルガイドでグラフが急激に変化しないかどうかチェック。エコペダルガイドは自分の操作を視覚的に確認できるから役に立つ。
そうこうしているうちに、新富士JCT(ジャンクション)あたりでようやく燃料計の目盛りが1つ下がった。走行距離は約115km。ノート、大したものだ。もし渋滞に捕まってなかったら、もっとよかったはずだ。
やがて平均燃費は徐々に回復し、走行距離150kmほどのNEOPASA(ネオパーサ)清水のあたりで燃費は24.0km/L目前になり、燃料計は2目盛り下がった。さらに走行距離200km以上の掛川PA(パーキングエリア)のあたりで24.5km/L、3目盛りという感じ。目指せ、27.0km/L!
ところが今度は、気になる別の問題が発生。そう、時間との戦いだ。15時なら余裕だと思っていたが、海老名SAで時間を使い、そのあと約30分も渋滞にはまったせいで、予想以上に残り時間がなくなっていた。カーナビの到着予想時刻を見ると、15時をだいぶ超えている。15時からは愛知機械工業の工場見学も予定されているので、遅れるわけにはいかない。
浜松SAで走行距離231.9km、燃費24.5km/L。そこでドライバーを小林と交代し、やむなく燃費悪化を覚悟でペースアップしてもらう。といっても、決して制限速度を超えるようなことはないが。燃費の表示は上昇が止まり、24km/L台中盤をなんとか維持。そして伊勢湾岸道へ。14時30分ごろ目的地が近づくと、前方にちらほらライバルたちのノートが見えてきた。みんな徹底してエコドライブしている模様だ。
名古屋南ICで高速道路を降りて、目的地の愛知機械工業までは一般道を数km走る。14時55分、初日のゴール地点での結果は、走行距離341km、燃費24.5km/L。不運に見舞われたとはいえ、JC08モード燃費を上回ることができなかったのは実に悔しい。
ちなみに中間報告では、24.5km/Lというのはブービー賞。全19チーム中で18位だ。我々よりも成績のわるいチームがあることのほうが意外だったのだが、聞いたところ、「あまりエコドライブを意識せず、普通に踏んだ」らしい。一方トップクラスのチームは、30km/L近くを達成している。これはスゴイ……。
工場見学後は宿泊地へ。ここでもう1つ失敗をしでかしてしまった。ライバルチームの大半は、そのままホテルに直行して、ゴール地点から燃費をほとんど落とすことなく到着した様子だったのに対し、我々は写真撮影(ノート エコドライブチャレンジでフォトコンテストが組まれていた)のため、名古屋市内で景色のいいところを探してチョコマカと走り回ったのだ。もちろんエコドライブを心がけていたのだが、やはりストップ&ゴーの多い市街地の走行が燃費にいいわけはなく、そうこうしている間に燃費はさらにダウンして、ホテル到着時には23.3km/Lに。もちろんこれもトータル燃費に含まれるわけだ。
こうなったものはしょうがない。初日の結果がわるいほど2日目に頑張り甲斐があるってもんだ。どこまで伸ばせるか、いざ2日目!
復路は俺にまかせろ!
朝の名古屋市内の通勤渋滞の影響を若干受け、燃費を23.1km/Lまで落としつつ、名古屋高速へ。そういえばお土産を買ってなかったので、購入のため伊勢湾岸道の刈谷ハイウェイオアシスに立ち寄る。この時点での燃費は23.4km/L。交通の流れに迷惑をかけない程度に、徹底的にエコドライブを心がける。そして新東名を目指す。
復路の浜松SAあたりで、24.0km/hに復帰、走行距離469km、燃料計はちょうど半分。走っているとかなり横風が強いことが分かったし、強風注意との表示も出されていた。我々を抜いていったトラックが、目の前で風に煽られて姿勢を乱している。
そんなときでもノートは、適度にルーフにかけて絞り込まれた空力に優れるボディー形状のおかげで、あまり横風の影響を受けることなく走れる。安定性がなかなか高いおかげでロングドライブでも疲れ知らずだ。この日は筆者のみがドライブを担当したが、微妙な操作を続けたせいで右足は疲れたけれど、いわゆる疲労感は小さいと思う。目の前に長い上り坂があるときなど、アクセルを踏めばスーパーチャージャーが効いて、ものともせず上っていけることは重々承知しているのだが、この日はグッとガマン。エコペダルガイドが、どんなときも半分より下を指すことがないよう心がけた。
それでも副変速機付きのCVTが変速比を上手いこと調節して、意外とスムーズにクルマを前に進ませてくれる。新富士JCTの手前で25.0km/Lへ。走行距離は569km。これは順調ってことだろうか……?
結果はJC08燃費を何とか抜いて25.9km/L
それにしても富士山がキレイだ。初日は雲に隠れていたのだが、2日目は見事な姿を披露してくれた。何かイイことありそうな予感!?(笑)。燃費は徐々に上昇して、なんとかJC08モード燃費の25.2km/Lに達したのが都夫良野トンネルのあたり。走行距離625km、時刻は13時40分。
そこからさらに伸びつつあるところで、横浜町田ICで東名を降りた。燃費は25.7km/L、残り時間30分、カーナビのガイドどおりに横浜の日産本社を目指す。最後の最後、ちょっとだけ燃費は伸びて、燃費は25.9km/L。
果たしてこれがどのくらいの順位にいるのか読めなかったのだが、結果は前半よりも少し上がって15位に。トップチームはなんと30km/Lオーバーというから大したものだ。しょっぱなでつまづき、あせってその後もグダグダだった初日の往路の成績が響いて、やっぱり不本意な結果に終わってしまったわけだが、もし帰路だけで計測したなら、まずまずの成績だったような気もする。
今回はおそらくスーパーチャージャーは一度も作動しなかったはず。もし機会があれば、その際はぜひまたチャレンジしてみたい。そのときは、本気で上位を狙いたい。それでもノート、失敗続きでもこれだけの燃費で走れたというのは立派なもんじゃないだろうか。
そして、新しいノートの魅力の1つだと思う骨太な走りは、ロングドライブでこそ真価を発揮することを改めて認識させられた次第である。