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フォルクスワーゲン、GTIブランド誕生40周年を記念したイベント「GTI Meeting Japan」レポート
2016年9月12日 13:47
- 2016年9月9日 開催
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは9月9日、千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイにて、同社のスポーツモデルの代名詞である「GTI」ブランドのデビュー40周年を記念したイベント「GTI Meeting Japan」を開催した。
GTIブランドは1976年にデビューした初代「ゴルフ GTI」から始まったもので、その後の歴代ゴルフはもちろん、「ポロ」や「up!」(日本未導入)にも受け継がれ、GTIの名前を冠したフォルクスワーゲンのクルマは世界各国で人気となっている。
日本でも1月にGTI生誕40周年記念車の「ゴルフ GTI クラブスポーツ トラック エディション」を発表。それに続いて「ゴルフ GTI クラブスポーツ ストリート エディション」が発売され、GTIブランドのスポーツイメージはいっそう高まった。その流れをさらに大きくしていくために開催されたのが今回の「GTI Meeting Japan」である。
袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキットで行なわれた「GTI Meeting Japan」は走行イベントを中心に構成されていて、内容はサーキット走行クラス、最新フォルクスワーゲン車をサーキットで試乗できるドライビングエクスペリエンス、そしてプロドライバーが運転するゴルフ GTI クラブスポーツなどに同乗できるサーキットタクシーなどが実施された。ちなみにイベントへの来場者は約500人、参加台数は240台と主催者から発表されている。
コースがいったんクローズしたお昼の時間帯は、パドックでステージイベントが開催されたのだが、そこに登場したのがフォルクスワーゲン グループ ジャパンの代表取締役であるティル・シェア氏。シェア氏からは「ゴルフ GTIは誕生してから40年が経ちました。そもそもGTIが生まれたいきさつですが、これはフォルクスワーゲンのエンジニアが日々の通常の業務をこなしたあと、エンジニアの趣味的なプロジェクトとして作りあげたものなのです。つまり正規のクルマ開発ではなかったのですが、そのときの彼らは妥協しないことをモットーに、自分たちが目指すクルマを製作していたのです」と紹介があった。
続いて「初代GTIは当時最先端だった燃料噴射システムや素晴らしいスポーティな内装、外装を持っていました。そしてなによりもドライバーのハートを揺さぶる走りのよさを持つクルマに仕上がっていました。それを見た当時の経営陣は5000台なら作ってもいいという許可を出し、5000台限定で初代GTIがデビューしたのです」という興味深い話をするとともに、「そして世に出たGTIはアウトバーンでの速さも話題となり、“アウトバーンを民主化したクルマ”とも呼ばれました。その評判はすぐさま世界へ広がって各国で人気車となり、ホットハッチという呼び名を生むきっかけにもなりました、それ以降、GTIは世代を重ねるごとに進化。常に時代の一歩先を行くスポーツモデルとして定着しました。また、ルポ、ポロなどでもモデルバリエーションを広げながらも、GTIとしてのDNAを確実に受け継ぐことで、他車の追従を一切許さない絶対的なブランドに成長しました」と語った。
このようにGTIはフォルクスワーゲンにとって大事なブランドではあるが、「それだけの存在ではなく、世界中のファンの皆さんが築き上げてきたフォルクスワーゲンの大事なカルチャーであります。こうしてユーザーとのいい関係があったからこそ、各世代において常にファンの期待を超えるGTIを作り続けてきました」と語り、さらに今回のイベントについては「日本でも60年の長い時間に渡ってユーザーの皆さんとともに歩んできたフォルクスワーゲンですが、GTIの40周年というこのタイミングをきっかけを通じて改めてフォルクスワーゲンのクルマ作りを体感していただきたいという思いから企画したものであります。GTIを愛する仲間と楽しむ、走りを楽しむ、そしてそれぞれの個性を認め尊重し合う、これこそGTIファンが作りあげてきたブランドカルチャーであります。そして私どものかけがえのない財産でもあります」と付け加えた。
続いてステージに登場したのは、モータージャーナリストの中谷昭彦氏とレーシングドライバーの荒聖治選手。この2人によるGTI40周年記念トークショーが開催された。
中谷氏は、以前開催されていたゴルフのワンメイクレース「ポカールカップ」でシリーズチャンピオンを獲得した経験を持ち、フォルクスワーゲンエンジン搭載のF3でのレース参戦経験もある。荒選手は父親がポカールカップ出場車両のメカニックをやっていたことからサーキットへ同行していて、それでレースやドライバーに憧れを持つきっかけになったという。その後、レーサーとなりポカールカップへ出場している。
ただ、荒選手が参戦したころには中谷氏はポカールカップに出ていないので、一緒に走ったことはない。そのため、中谷氏の車載ビデオなどを見て走りを研究していたということだった。ちなみに荒選手いわく「当時のゴルフはフロントタイヤをうまく使うととても速く走れるクルマだった」とのことだ。
中谷氏は以前、自動車雑誌の編集もやっていたが、当時の編集長が乗っていたのがゴルフで、取材のときなど一緒に乗るたびに「いいな」と感じていて、その乗り味等が自分なかのクルマを判断する基準の1つになったという。また、以前から国産車でFF2ボックス車はたくさん発売されているが、出るたびに「ゴルフを超えた」というキャッチコピーがプレスリリースなどによく使われていたが、乗ってみるとそうではないと思うことが常にあったという。もちろん国産メーカーのクルマも常に進化をしているが、ゴルフもまた然りなので「未だにそれが続いているのでは」ということだった。
荒選手は海外でも活躍するドライバーという視点から、「WRCなどのトップカテゴリーでの挑戦ももちろんですが、レースを支える大事なポジションである入門クラスのワンメイクレースに力を入れている部分に非常に魅力を感じています」と語っていた。
さて、今回会場に用意されていたゴルフ GTI クラブスポーツ ストリート エディションには中谷氏も荒選手も事前に試乗しており、トークショーではそのインプレッションについても語られた。
中谷氏からは「やっぱり走りの質感が向上しています。路面追従性というんですが、路面が荒れていたりうねっているところでもクルマが安定していて、路面がよくないところでも4輪駆動ではないのにトラクションがよく掛かるし、ハンドルを切った方向にきちっと曲がる。クルマの基本的な構造がすごくよくできているということが、乗ってすぐ分かる」とコメント。
また、荒選手は「乗った印象はまず何より速いです。ノーマルのGTIも速いクルマですが、ゴルフ GTI クラブスポーツ ストリート エディションはサーキットでのアベレージスピードのレベルがグッと上がったのかなという感じです。その速い速度域のなかでも乗り味が自然です。パワーがあるのでホイールスピンさせない制御とかが入っているのですが、それが違和感のあるステアフィールではなく、制御が入りながらも狙ったところにしっかりいけるような自然なフィールになっているところはすごいなと感じました」ということである。
トークショーのあとは中谷氏と荒選手がストリート エディションとトラック エディションをドライブし、そのクルマに同乗できるサーキットタクシーがはじまった。ピットロードに並んだ2台のゴルフ GTI クラブスポーツシリーズは、シェア氏が振り下ろすスタートフラッグを合図にピットアウトしていった。
このサーキットタクシーには当然、同乗を希望する方が多かった。そこで同乗者は抽選で選ばれたわけだが、できるだけ多くの人に乗ってもらおうということから、助手席だけでなくリアシートにも乗車する4名乗車という体制が取られた。これは参加者にはうれしいことだが、クルマにとっては大人4人分の重量は加速、減速、コーナリングのすべてにおいて厳しいはず。しかし、走行写真を撮るためしばらく走りを見ていたが、そんなことを感じさせないスムーズで速い走りだったし、なにより驚いたのがその条件で走り続けられるという耐久性の高さだ。同乗走行スタート時に撮影したデータの記録時間がだいたい13時で、その後、コースを撮ったりほかのコンテンツを撮ったりした後、ふたたびピットに戻ったところ同乗走行はまだ続いていて、そのときの撮影データの時間を見ると14時30分。どこかで少しは休憩を入れたのかもしれないが、それでも約1時間半もの間、サーキットを走り続けるタフさはすごいのひとこと。
サーキットタクシーと同時にコースではゴルフ GTIやポロ GTI、それにゴルフ GTEなどに試乗できるドライビングエクスペリエンスが開催。さらにサーキット走行クラスも午後の部が開催された。これらの走行は袖ヶ浦フォレストレースウェイを外周路と内周路に分けて行なわれ、速度差のあるクルマが同一コースにいない設定になっていた。また、午後の走行クラスはすべてインストラクターが隊列を先導するスタイルで行なわれるなど、安全を重視した体制で実施されていた。
そのほかのイベント内容は写真で紹介するが、「GTI Meeting Japan」はクルマを速く走らせたいと思っている人に「どうやったらいいか」を伝え、「楽しく走ってもらう」ことに主眼を置いて開催されていた印象。参加した人の満足度は高かったのではないだろうか。