ニュース
フォルクスワーゲン、出力220PS&燃費15.9km/Lの新型「ゴルフ GTI」発表会
フォルクスワーゲンAGのデザイナー、マヌエラ・ヨーステン氏が来場
(2013/9/26 00:00)
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは9月25日、ゴルフのリアルスポーツモデルとなる「ゴルフ GTI」を発売した。最高出力220PSのターボチャージャー付き2.0リッターエンジンを搭載し、従来型のGTIよりも9PS高い出力を得ながらJC08モード燃費は15.9km/Lと従来より向上していることが特徴。価格は369万円。
7代目がベースのゴルフ GTIは、フォルクス・ワーゲングループの共通プラットフォームのMQBを採用し、他の7代目ゴルフ同様にボディーの軽量化に成功。車両のサイズは大きくなり、数々の安全装備を充実させ、パワーが向上しているにもかかわらず、車両重量は従来型から-10kgを実現した。
搭載するターボチャージャー付きの直列4気筒DOHC 2.0リッターエンジン「EA888型」はヘッド部を新設計とし、吸排気可変バルブリフトタイミングとして排気側もリフト量を2段階に変更。直噴に加え、マルチポイント噴射を備えるデュアルインジェクションシステムなどの採用により、最高出力は162kW(220PS)/4500-6200rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/1500-4400rpmを発生する。最大トルクの発生は、従来型よりも200rpm下になり、ドイツで行われた80-120km/h加速テストでは従来の6.0秒から1秒短縮の5.0秒を達成したと言う。
トランスミッションはフォルクス・ワーゲンお得意のデュアルクラッチトランスミッション「DSG」で、ハイパワー車向けの湿式多板の6速。駆動方式は2WD(FF)。ステアリングの切り込みによって累進的なギア比となるプログレッシブステアリングを採用するほか、コーナリング時に内側のタイヤの荷重が不足した場合にブレーキ圧を高めて空転を防止しアンダーステアを軽減させる電子制御ディファレンシャルロック「XDS」を搭載。
また、ゴルフ GTIとしては初めてBLUEMOTION TECHNOLOGYを採用し、アイドリングストップ機構などによりJC08モード燃費は15.9km/L(従来型のGTIは10・15モード燃費で13.0km/L)。安全装備については、非常時の自動ブレーキシステムを含むFront Assist Plusやアダプティブクルーズコントロール、Lane Assistなど、7代目ゴルフに採用された装備を網羅している。
エクステリアはノーマルのゴルフに対し、専用バンパー、ハニカムグリル、ヘッドライトまで含めた横の赤いラインなどが特徴。LEDテールライト、LEDフォグライトも備える。足下は5本スポークの専用ホイールとなり、オプションのDCCパッケージ装着車は一部ブラッククロームの18インチホイールとなる。赤く塗られたブレーキキャリパーも備わる。
インテリアはGTIならではの装備として、タータンチェックのスポーツファブリックシートや、ステアリングホイールなどインテリア各所の赤いステッチ、赤い間接照明、専用ステアリングホイールなど装備する。
なお、ダッシュボードにオーディオ操作や車両の設定ができる液晶モニターを搭載しているが、カーナビゲーションは非搭載。ナビゲーションシステムの搭載は、現在のところ他のゴルフと同じようにディーラーオプションでオンダッシュタイプのディスプレイをエアコンの吹き出し口の上部に装着する方法となっている。
本国からデザイン部門担当者が来日
ゴルフ GTIの発表に合わせ、フォルクスワーゲンAGからデザイン部カラー&トリム シニアデザイナーのマヌエラ・ヨーステン氏が来日し、ゴルフのデザイン現場を説明した。
マヌエラ・ヨーステン氏は、ボディーカラーやインテリアの模様について説明を行い、GTIで使われるタータンチェックのシート地も代を重ねるごとに進化しているとし、「今回の7世代目のGTIでは立体的に見える素材を積極的に取り入れた」と説明した。マヌエラ・ヨーステン氏によると、はじめは別のタータンチェックの素材を考え、それを気に入っていたと言うが、少しファッショナブルすぎて不採用となった。実際に採用されたのは“クラーク”と呼ばれるもので、「スポーティーでクールなクラークの方が男っぽくて、もっともエモーショナルなゴルフに適している。新しいインテリアとマッチしている」と評価した。
また、ゴルフのボディーカラーについても触れ、「我々デザイナーのお気に入りの色は、ゴルフの明快なラインを立体的に見せてくれるオリックスホワイト」と述べるとともに、TV-CMをはじめ広告やカタログで登場する薄い青色のカラーについては「デニムブルーを連想させながら、クルマのカジュアルなキャラクターにもマッチする現代的なパシフィックブルー」と説明した。
新型ゴルフは乗り換えでダウンサイジングが41%
今回はGTIの発表会だが、ベースとなる新型ゴルフの現時点での販売実績も報告された。
代表取締役社長の庄司茂氏は「ゴルフの完成度に加え、TV-CMにサザンオールスターズという援軍を加え、日本人に親しみやすさが増した効果もあり、新型ゴルフの累計受注は今月、1万台に到達する見込み」と好調ぶりを話すとともに、「フォルクスワーゲングループは今年、新しい記録に挑戦している。2001年に記録した過去最高の年間登録台数6万1121台を超えて、記録を塗り替える」とし、ゴルフ、ポロ、up!にビートルを加えた“3プラス1”の車種で拡販を行っていくとした。また、庄司氏は年内にビートルのスポーティバージョンを投入するとし、「ビートルの世界はまだまだ広がる」と、こちらの販売拡大にも自信を見せた。
マーケティング本部長の正本嘉宏氏は、新型ゴルフについて6月末の発売後3カ月で累計1万台を超え、歴代でもっとも成功したモデルと評価。「販売初期でも国産車からの乗り換えは47%となり、今後ますます国産車からの乗り換えが期待できる」とした。また、上級クラスからの乗り換えとなる“ダウンサイジング”ユーザーは41%となり、購入時の競合車種も同クラスの国産ハイブリッド車や、輸入コンパクトプレミアムが多いとした。
新型ゴルフの購入理由は、デザイン、先進の安全装備、質感の高さなどさまざまで、キャッチコピーでもある「好きな理由はみんな違う」という状態。それについても正本氏は「クルマに求められる、ありとあらゆる点が評価されている」と自信を見せた。