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フォルクスワーゲン、“ゴルフを超える”の精神で改良された新型「ゴルフ」発表会

PHV「ゴルフ GTE」、EV「e-ゴルフ」の年内導入を予告

2017年5月25日 開催

新型ゴルフとフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のティル・シェア氏

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは5月25日、新型「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」「ゴルフ オールトラック」の発表会を都内で開催した。マイナーチェンジとなる今回の新型モデルは5月29日に発売される。概要については「フォルクスワーゲン、『ゴルフ』『ゴルフ ヴァリアント』をマイナーチェンジ。“デジタルメーター”など最新装備採用」を、試乗インプレッションについては「フォルクスワーゲン『ゴルフ』『ゴルフ ヴァリアント』(2017年マイナーチェンジ)」を参照いただきたい。

 約4年ぶりの刷新となった新型ゴルフシリーズでは、前後バンパーのデザインを刷新するとともに、フェンダーの奥まで切れ込んだ新形状のヘッドライトを採用。また、ハッチバックモデルが装備するLEDテールランプにはウインカーが流れるように光る「ダイナミックターンインジケーター」をフォルクスワーゲンとして初採用した。

 インテリアでは、12.3インチの大型ディスプレイを用いたデジタルメータークラスター「Active info Display」や、ジェスチャーコントロール機能を搭載した純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」といった装備を新たに設定するとともに、渋滞時追従支援システム「Traffic Assist(トラフィックアシスト)」といった先進安全技術も盛り込まれている。

発表会会場にはベースのゴルフをはじめ、ヴァリアント、GTI、R、オールトラックが並べられた
新型ゴルフ
直列4気筒DOHC 1.4リッターターボエンジンに7速DSGを組み合わせる「ゴルフ TSI ハイライン」。ボディサイズは4265×1800×1480mm(全長×全幅×全高)。最高出力103kW(140PS)/4500-6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmを発生し、JC08モード燃費は18.1km/L。価格は325万9000円
新型ゴルフ ヴァリアント
「ゴルフ TSI ハイライン」と共通のパワートレーンを搭載する「ゴルフ ヴァリアント TSI ハイライン」。ボディサイズは4575×1800×1485mm(全長×全幅×全高)。JC08モード燃費は17.3km/L。価格は339万9000円
新型ゴルフ GTI
直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンに6速DSGを組み合わせる「ゴルフ GTI」。ボディサイズは4275×1800×1470mm(全長×全幅×全高)。最高出力169kW(230PS)/4700-6200rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1500-4600rpmを発生し、JC08モード燃費は14.6km/L。価格は399万9000円
新型ゴルフ R/ゴルフ R ヴァリアント
直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンに7速DSGを組み合わせる「ゴルフ R」と「ゴルフ R ヴァリアント」。DSG仕様の最高出力は228kW(310PS)/5500-6500rpm、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/2000-5400rpm(ハッチバックの6速MT仕様は最大トルク380Nm)を発生し、JC08モード燃費はともに13.0km/L。価格はゴルフ Rが559万9000円、ゴルフ R ヴァリアントが569万9000円
Rは12.3インチの大型ディスプレイを用いたデジタルメータークラスター「Active info Display」を標準装備
ジェスチャーコントロール機能を搭載した純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」も標準装備される(TSI トレンドラインをのぞく全車にオプション設定)
ゴルフ オールトラック
直列4気筒DOHC 1.8リッターターボエンジンに6速DSGを組み合わせ、4輪を駆動する「ゴルフ オールトラック 4MOTION」。ボディサイズは4585×1800×1510mm。最高出力132kW(180PS)/4500-6200rpm、最大トルク280Nm(28.6kgm)/1350-4500rpmを発生。JC08モード燃費は13.5km/L。価格は359万9000円

“ゴルフを超える”という伝統を継承

 発表会では、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のティル・シェア氏が挨拶を行なうとともに、新型ゴルフの概要を営業本部長の長谷川正敏氏が説明した。

ゴルフの歴史を振り返りながら挨拶を行なったフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)ティル・シェア氏
新型ゴルフについて解説したフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 営業本部長 長谷川正敏氏

 はじめに登壇したシェアCEOは、まず同社が2020年にインポーターブランドのリーダーになることを目標に掲げている中期戦略「Road to 2020」について紹介を行ない、“基礎強化”を図ったステージ1(2016年~2017年)から“反転攻勢”にかかるステージ2(2017年~2018年)に入ったと説明。その反転攻勢の主な柱について、「まず商品力の高い車種を導入すること。今年のはじめに新型ティグアンを、続いて新型up!を、そして今回新型ゴルフを導入した」と述べるとともに、「お客様満足度におけるリーディングインポーターを目指すにあたり、もう1つの主要な柱になるのが販売のパートナーとともにお客様に寄り添うこと。お客様のために魅力的な新商品を継続的に提供しつつ、積極的にショールームの外に出ていきお客様との接点を増やしていくことが重要で、今週末にはお台場で大規模なカスタマーイベント『Volkswagen Day 2017』を開催する。フォルクスワーゲンブランドのことをすでに知っている方も、初めて興味を持っていただける方も私たちのブランドおよび商品を体験いただけるイベントになっている」と5月27日~28日に行なわれるイベントにも触れ、その開催意義などを語った。

 また、ゴルフについては「新型ゴルフは私たちの商品構成における中心モデルになる。初代ゴルフが43年前にラインオフして以来、ゴルフは常にピープルズカーブランドの中心にい続けてきた。ゴルフの累計販売台数は3300万台を超え、日本でも発売されてから42年間で約85万台がお客様の手に渡っている。ゴルフは、それまで屋台骨的なモデルだったビートルの代わりに相応しいモデルにならなければならないという非常に高いハードルを越えなければならなかった。ビートルはフォルクスワーゲンの原点であり、長年にわたってフォルクスワーゲンの象徴だったため、その後継であるゴルフの誕生は決して容易ではなかった。しかし初代ゴルフはフォルクスワーゲンブランドの新たな象徴となり、しかも当時あまりにもインパクトが大きかったためコンパクトカーの代名詞になった。実際、ヨーロッパではコンパクトクラスのことを“ゴルフクラス”と呼び始めたのです」。

「そして2代目以降もゴルフにとってのチャレンジは決して楽ではなく、ゴルフの強力なライバルは常にゴルフだった。つまり、ゴルフを超えることこそが世代を重ねていくたびに課せられた挑戦だったのです。生まれ変わりながら自らを超えていくために、ゴルフは安全技術という分野を中心に革新的な技術をより多くの人々の手にお届けするという伝統を築き上げてきたが、今回の新型ゴルフも革新技術で“ゴルフを超える”という伝統を継承している」とし、今回の新型ゴルフで採用されたジェスチャーコントロール機能を搭載した純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」や、渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」、歩行者検知機能を追加したプリクラッシュブレーキシステム「Front Assist」の採用などをアピール。「ゴルフ7はMQB(モジュラートランスバースマトリックス)を採り入れ、世界に衝撃を与えた。このクルマを超えることは難しいと考えられ、もしかしたらこれが最後のゴルフになるかもしれないという声もあった。今回の新型ゴルフもよいものをキープしながらゴルフをさらに超えた、という評価をいただけますことを願っている」として挨拶を締めくくった。

中期戦略「Road to 2020」について
2017年に日本市場に導入したモデル
フォルクスワーゲンの日本法人としてさまざまなカスタマーイベントを開催している
5月27日~28日に東京 お台場で「Volkswagen Day 2017」を開催
「Volkswagen Day 2017」のなかで体験試乗キャンペーン「Try! Try! Try! Volkswagen」のキックオフイベントも行なわれる
各種サービスを提供する「フォルクスワーゲン オーナーズ パス」や、ドイツの老舗チューナーであるエッティンガーが製作したエアロの販売など、正規ディーラーではさまざまな取り組みを行なっている
歴代ゴルフのスケッチ
初代ゴルフがラインオフしたのは43年前の1974年

 新型ゴルフの概要を紹介した営業本部長の長谷川正敏氏は、まずゴルフの歴史を振り返り、「初代ゴルフの登場は1974年。革新的で優れたパッケージで人々を驚かせ、FFコンパクトハッチというジャンルを確立した。その後、2世代目以降ではABS、衝突安全ボディ、エアバッグの搭載、ESCの採用、レーザー溶接による高剛性ボディといった今では当たり前の技術を競合に先駆けてゴルフで採用することで、コンパクトクラスのなかでのポジションを確固たるものに築き上げてきた」。

「昨今のダウンサイジングエンジンの先駆けとなったTSIエンジンや、効率やドライバビリティに優れたDSGトランスミッション、そして7代目ではMQBプラットフォームを初採用して上級クラスを凌駕する走行性能や品質、さらにはクラスレスのクルマへと進化してきた。このようにいつの時代もリードする明確な開発コンセプトをもって、新しいテクノロジーを多くの方々に広める伝統と革新に支えられた最高の実用車として、世界中の人々に愛されるクルマ、それがゴルフです」と述べるとともに、新型ゴルフでは卓越した走りの基本性能や品質管はそのままに、Discover Proの採用に代表される「デジタル化」と、「Traffic Assist」の採用に代表される「先進・上級装備の標準化」という2点がポイントとして挙げられた。

ゴルフの累計販売台数は3300万台を超え、日本でもこれまで約85万台を販売
新型ゴルフは「デジタル化」「先進・上級装備の標準化」がポイント
新型ゴルフと競合他車の比較。ゴルフが先進・上級装備で勝っていることをアピール

 具体的に、今回の新型ゴルフで採用された12.3インチの大型ディスプレイを用いるデジタルメータークラスター「Active info Display」は「パサート GTE」「ティグアン」に続いての採用となっており、「なかでもナビゲーションモードではDiscover Proと連動したマップを大きく表示でき、優れた視認性や先進性を体感できる」とアピール。また、Discover Proの画面は従来の8インチから9.2インチにサイズアップするとともに、ハードキーやダイヤルを廃止してフラットな全面タッチスクリーンに一新。解像度も従来の800×640ピクセルから1280×640ピクセルへと進化したことを報告。合わせてDiscover Proのジェスチャーコントロール機能については「スクリーンにタッチすることなく、手のひらを画面にかざして左右にスワイプするだけでメニューやスクロール、ラジオの選曲など画面の操作が可能。これにより、画面を注視することなく安全かつスムーズに画面操作が行なえるようになった。さらに同乗者がラジオや各メディアの操作、目的地検索を行なうことが可能なスマートフォン向けアプリも、新型ゴルフを発売する5月29日に各ストアから配信する予定。これにより、昨年から強化しているオンラインサービス『Volkswagen Car-Net』と相まって、インフォテイメントシステムとスマートフォンの連携が一層増し、より利便性が向上することになる」とアピールした。

 エクステリアでは、フロント/リアバンパ―デザインを変更してよりワイド感を強調させたほか、新デザインのLEDヘッドライトやLEDテールランプで先進性を表現。ハッチバック車にはウインカーが流れるように光る「ダイナミックターンインジケーター」をフォルクスワーゲンとして初採用している。

 一方、安全装備についてはレーンキープアシストシステム「Lane Assist」と全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)を組み合わせた渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」を、コンフォートライン以上のグレードに標準装備。このTraffic Assistについて、長谷川氏は「さまざまなアシストシステムを高度に連携させることで、近い将来に実現が期待されている自動運転を見据えた最新の運転支援システムの1つになる」と自信をのぞかせた。加えて歩行者検知機能を追加したプリクラッシュブレーキシステム「Front Assist」の採用と合わせて「今まで上級クラスのモデルにのみ装備されていた機能だが、新型ゴルフに採用することでこれまで生まれるたびに行なってきた先進・上級装備の標準化を今回も実現している」と述べた。

デジタルメータークラスター「Active info Display」
Discover Proの画面は8インチから9.2インチにサイズアップ
Discover Proはジェスチャーコントロール機能が備わる
ハッチバック車はウインカーが流れるように光る「ダイナミックターンインジケーター」をフォルクスワーゲンとして初採用
渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」をコンフォートライン以上のグレードに標準装備
プリクラッシュブレーキシステム「Front Assist」では歩行者検知機能を追加
GTIの出力は従来から10PS向上
ゴルフ R/ゴルフ R ヴァリアントでは30PSアップとともに、トランスミッションに新開発の湿式7速DSGを採用
新型ゴルフシリーズのカラーラインアップ
ハッチバックのプライスリスト
ヴァリアントのプライスリスト
オプションの価格一覧

 そのほか長谷川氏はプラグインハイブリッドの「ゴルフ GTE」、EV(電気自動車)の「e-ゴルフ」を今年導入することを予告するとともに、「最先端のテクノロジーをコンパクトカークラスのゴルフに惜しみなく投入して進化させたのが、こちらの新型ゴルフ。『ゴルフを超えるのは、いつもゴルフ』という言葉があるとおり、新型ゴルフは伝統と革新を見事に融合させて進化を遂げた。コンパクトカークラスのスタンダードをさらに高いレベルへと引き上げる、まさに未来につながるプレミアムコンパクトカー。自信作である新型ゴルフは、間違いなくフォルクスワーゲンの反転攻勢を加速させるものと期待している」としてプレゼンテーションを終えている。

ゴルフを超えるのは、いつもゴルフ
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