メルセデス・ベンツ、「ドリフトモード」搭載の“Eクラス史上最速”モデル「メルセデスAMG E 63 S 4MATIC＋」

「メルセデスAMG E 63 S 4MATIC＋」

　メルセデス・ベンツ日本は5月31日、アッパー・ミドルセダン「Eクラス」のハイパフォーマンスモデル「メルセデスAMG E 63 S 4MATIC＋」を発売した。ステアリング位置は左右から選択でき、価格は1774万円。

　ベースとなるEクラスが持つアッパー・ミドルセダンとしての上質な内外装デザインや先進運転支援システムなどを受け継ぎつつ、パワートレーンや足まわりなど、走行に関わるポイントをメルセデスAMGの手で徹底的にブラッシュアップ。

メルセデスAMG E 63 S 4MATIC＋の走行イメージ

　エンジンはメルセデスAMGが完全自社開発したV型8気筒DOHC 4.0リッター直噴ツインターボ「M177」を採用。2シータースポーツモデル「メルセデスAMG GT」にも搭載されているこのエンジンは、2基のターボチャージャーをV型シリンダーバンク内に配置する「ホットインサイドV」レイアウトを用い、吸排気経路を最適化しつつ、ツインスクロールのタービンを使って低回転域から優れたレスポンスを実現。アルミニウムクランクケースと鍛造アルミニウム製ピストンを使って軽量化と高強度を両立させ、シリンダーウォールにはスチールカーボン材を溶射コーティングする「NANOSLIDE 摩擦低減加工」を施してフリクションロスの低減も図った。

　最高出力450kW（612PS）/5750-6500rpm、最大トルク850Nm（86.7kgm）/2500-4500rpmを発生するこのエンジンに、湿式多板クラッチを使って素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現する電子制御式9速AT「AMGスピードシフトMCT」、前後トルクを50：50～0：100（前後）で可変配分する4輪駆動システム「AMG 4MATIC＋」などを組み合わせることにより、0-100km/h加速はセグメントトップとなる3.4秒を実現している。

最高出力450kW（612PS）/5750-6500rpm、最大トルク850Nm（86.7kgm）/2500-4500rpmを発生する「M177」エンジンは、V型シリンダーバンク内にターボチャージャー2基をレイアウト「ホットインサイドV」を採用

“63シリーズ”として初めてとなる9速トランスミッション「AMGスピードシフトMCT」は、シフトダウン時に自動ブリッピングや1速飛ばした変速なども可能。4輪駆動システム「AMG 4MATIC＋」には前後トルク配分を0：100に固定してサーキット走行などに対応する「ドリフトモード」を新搭載した

　足まわりではベースモデルの「AIR BODY CONTROLサスペンション」をベースに、メルセデスAMGが進化させた「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」を装備。走行状況ごとに4輪それぞれを電子制御する「連続可変ダインピングシステム」を採用し、センターコンソールに設置されたスイッチで「Comfort」「Sport」「Sport＋」の3種類からモードを選択して日常シーンでの快適な乗り心地からハイペース走行でのダイナミックな走りを切り替えられる。さらに高速走行時には車高を下げて走行安定性を高めたり、コーナーリングやブレーキングを行なうときにスプリングレートを硬くしてドライビングをアシストしてくれる。

　また、センターコンソールには「Comfort」「Sport」「Sport Plus」「Individual」「RACE」の5種類をスイッチ操作で切り替え、エンジン特性や指すペン旬設定、ステアリング特性、3ステージEPSなどをプログラム変更する「AMGダイナミックセレクト」も用意されている。このほかにも磁性流体エンジンマウントでドライブトレーンのロールモーションなどを状況ごとに制御する「AMGダイナミックエンジンマウント」、3つの連続可変エグゾーストフラップで排気音を変化させる「AMGパフォーマンスエグゾーストシステム」、限界領域でのコーナーリングスピードを向上させるため、走行状況に応じてロッキング機構を電子制御してトラクションを高める「電子制御AMGリミテッド・スリップ・デフ」といった各種デバイスが与えられている。

スプリングレートなどを切り替えて乗り心地や走行性能を変化させる「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」、走行状況に応じてアシスト量を可変させる「AMG Sport speed-sensitive ステアリング」を採用。ブレーキも「AMG強化ブレーキシステム」となる

通常走行ではドライブトレーンからのノイズや振動をしなやかに動いて吸収し、ハイスピードコーナーリングといった状況下では硬度を高めてクイックなハンドリングを実現する「AMGダイナミックエンジンマウント」

　外観のポイントともなっている鍛造仕上げの「マットブラックペイント20インチAMGクロススポークアルミホイール」はフロント9.5J×20、リア10J×20という大型サイズで、フロント側はトレッド幅が拡大されていることもあり、フェンダーはベースモデルよりワイド化されてよりアグレッシブな雰囲気を演出する。

　インテリアでもフロントシートのラテラルサポートが強化され、シート表皮にはブラック、ナッツブラウン、マキアートの3色を用意するナッパレザーを設定。さらにダッシュボード、ベルトラインにもナッパレザーが使われ、IWCデザインのアナログクロックを装着してスポーティさとともに高級感が演出されている。

下側をフラットした「AMGパフォーマンスステアリングホイール」を採用。ダッシュボードなどはナッパレザーとなり、カーボンの加飾パネルと合わせてスポーティさや高級感を高めている

ラテラルサポートを強化したフロントシート。シート表皮にはナッパレザーが用いられ、ヘッドレストのAMGエンブレムやクリスタルグレーのシートパイピングが内装のアクセントとなっている