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2シーターコンパーチブル、ジャガー「F タイプ」発表会

E タイプ以来50年ぶりの2シーターコンパーチブル

ジャガー F タイプ
2013年5月24日発表

 ジャガー・ランドローバー・ジャパンは5月24日、2シーターコンパーチブル「F タイプ」を発表した。ジャガーの2シーターコンパーチブルは「E タイプ」以来約50年ぶりの登場。近年のジャガーブランドの上級車にならってオールアルミ製のボディーを採用、エンジンは3.0リッターV型6気筒と5.0リッターV型8気筒の2種類が用意され、価格は950万円から1250万円。

3.0リッターと5.0リッターの2タイプ

 国内に導入されるF タイプはスーパーチャージャー付きの3.0リッターV型6気筒DOHCエンジンの「F-TYPE」と、スーパーチャージャー付き5.0リッターV型8気筒DOHCエンジン「F-TYPE V8 S」の2グレード。「F-TYPE」の最高出力は250kW(340ps)/6500rpm、最大トルクは450Nm/3500rpm。「F-TYPE V8 S」の最高出力は364kW(495ps)/6500rpm、最大トルクは625Nm/2500rpm。エンジンはいずれもガソリン直噴システムを採用する。

トランスミッションはどちらも電子制御8速ATで、各段のギア比の差が小さく、スポーツカー向けの変速比を設定、カーブ走行を「コーナー・レコグニション」が検知すると、変速比を維持してカーブを走り抜ける機能や、追い越し動作を検知すると、加速に備えて低めのギアを維持するなどの機能がある。

 また、最近のジャガー車にあるようなダイヤル式のシフトレバーではなく、センターコンソールにシフトレバーがあり、マニュアルで変速が可能。ステアリングホイールにもパドルを搭載し、こちらでも変速することができる。

 駆動は後輪のみのFRレイアウトを採用、サスペンションはダブルウィッシュボーン式。「F-TYPE V8 S」には車体の動きを1秒間に100回検知して減衰量を調整する「アクティブダンピング」が搭載される。そのほか「F-TYPE V8 S」には、後輪へのトルク伝達を調整しトラクションを最大化する「電子制御アクティブディファレンシャルコントロール」も搭載。前後の重量配分は50:50。

 F タイプのボディーサイズは4470×1925×1310mm(全長×全幅×全高)で、重量は1730kg(F-TYPE)、1810kg(F-TYPE V8 S)。オールアルミ製のモノコックボディーはジャガーとしては第4世代にあたり、既存のジャガー XKと同様の強度を維持しながら大幅な軽量化を実現、F タイプのホワイトボディは261kgとなったという。

 また、ボディーパネル用のアルミ合金も開発、従来、アルミボディーでは表現しにくかった折り目のあるボディラインを可能とし、既存メタル同様の堅牢性を可能にした。ボンネットも1000tプレス機で一体成型しているという。

 エクステリアデザインは2本の“ハートライン”によって構成される。1本はグリル開口部のブレード部分から始まり、フェンダートップから、ドアラインを抜けリアフェンダー中で消滅する。もう1本はドアの後部からはじまり、リアフェンダー上部を通り、そのままテールまで続く。

 デザインと空力のバランスとるため、ダウンフォースが不足しがちなテールに60マイル/h(約97km/h)で自動上昇するアクティブリアスポイラーを装備、40マイル/h(約64km/h)で自動的に下降する。ドアハンドルはリトラクタブル式で、乗降時以外はボディーライン内に収納される構造を持っている。

 F タイプのルーフは電動で開閉できる。開閉時間は12秒間で、最大50km/hの速度で走行していても開閉操作が可能。

 F タイプのボディーカラーのバリエーションは全13色。ホイールは全10タイプから選択可能。シートはスポーツシートと、パフォーマンスシートの2タイプで、それぞれに数多くの種類のインテリアトリムが選択可能。

F-TYPE V8 S、パフォーマンスシート、オプションのホイールなどを装着している
F-TYPE、3.0リッターエンジンを搭載、シートはスポーツシート、オプションの19インチホイールなどを装着している

ブランドの情熱を再び呼び覚まし、然るべきポジションを取り戻すもの

 同日、開催された発表会でジャガー・ランドローバー・ジャパンのラッセル・アンダーソン代表取締役社長がFタイプを「ジャガーブランドの情熱を再び呼び覚まし、然るべきポジションを取り戻すもの。ジャガーがスポーツカー市場に帰ってきたことを示すクルマである」と位置づけた。

 アンダーソン氏はまた「スポーツカーは究極のデザインステートメント。性能とスタイル、パーソナリティの表現」と強調、Fタイプのデザインを「ジャガーデザインの価値体系に本当に忠実なスポーツカー。線の美しさ、形の清らかさを持ち、大胆で自信に溢れ、何よりもダイナミック」とし、自ら2本の“ハートライン”によって構成されるエクステリアデザインを説明した。

ジャガー・ランドローバー・ジャパンのラッセル・アンダーソン代表取締役社長
日本市場への導入
発表会場は赤を基調としたもので、スポーツカーらしさを演出
会場には対比としてE タイプも展示された

 そして、ジャガーの創業者であるウイリアム・ライオンズ卿が掲げた「すべてのジャガーは速そうに見えなければならない。じっと止まってるときもだ」という理想を体現していることも強調した。

 F タイプの詳細については、同社マーケーティング・広報部 ディレクターの作田昌子氏が説明。Fタイプでスポーツカー市場に参入する理由を「ジャガーというブランドのパフォーマンスに対するマーケット中の信頼性を高めること。新しいセグメントへ参入で新しい顧客層の拡大、長い間不在にしていたホームグラウンドのようなセグメントに復帰するということで本来のブランドらしさを豊かにする」と述べた。

 作田氏はスポーツカーについて「見た目がカッコよくないと話にならないが、その上で、デザインそのものが、スポーツカーとしての高いパフォーマンスを裏打ちするようなものでなければならない」と訴え、スタイリングを説明する中で、同社デザイナーであるイアン・カラムが絶対に譲らなかった点は低いテールだとし、本来は高速安定性にネガティブに採用する低いテールは、自動で上昇するアクティブリアスポイラーを搭載することで実現したと説明した。

 また、Fタイプの正式受注開始は発表会のこの日から行われるとし、オーナーへの納車は6月下旬から7月初旬ごろから開始されると発表された。

マーケーティング・広報部 ディレクターの作田昌子氏
スポーツカー市場参入の理由
国内導入は2つのグレード
自動上昇するアクティブリアスポイラーを装備
ドアハンドルはボディー収納式
ジャガーが多く採用してきた軽量なアルミボディー
剛性を高めたボディー
ジャガーブランドのタイプ別ポジショニング
F-TYPE、F-TYPE V8Sの特徴
車両の軽量化の内訳
アルミボディーの特徴
シフトレバーが従来スタイルが復活
F-TYPE V8Sにオプションのコンフィギュラブルダイナミクス

過去最高の売上台数を記録、製品開発は品質向上に重点

 発表会では、アンダーソン氏がジャガー・ランドローバーの業績についても説明、国内については言及がなかったもののグローバルでの業績が好調であることを強調した。

 2012年が全体で前年比30%増となったほか、今年3月と、2013年第1四半期の実績で示され。3月の5万3772台、第1四半期の11万5504台が過去最高の売上台数だったことを強調した。

 特にジャガーが好調な成長とし、3月には前年比28%増の9856台、四半期では31%増の2万210台。一方、ランドローバーは3月が前年比14%増の4万3916台、四半期では15%増の9万5294台。ランドローバーのこの数字は過去最高だという。さらに2013年は8つの新型およびリフレッシュモデルの投入を予定といい、売上増加が見込まれるとした。

 また、2013年の製品開発への投資は27億5000万ポンドとし、グリーン技術の研究開発等に投資するほか、商品の幅を広げ、世界でのプレゼンスを高めていく予定とした。

 品質向上にも重点を置き、クオリティチームが商品開発のプロセスの中心に位置すると説明、その結果、J.D.パワーの調査結果では顧客満足度が高くなっているとした。特にイギリスではジャガープランドが顧客満足度調査が1位となり、トヨタのレクサスが12年間にわたってトップだった牙城を崩したことを強調した。

2013年の製品開発への投資は27億5000万ポンド
顧客満足度調査の結果
グローバルでの販売実績
ジャガー E タイプも展示された。これは初期のころのモデル
ジャガー E タイプ。フロントグリルやフェンダーアーチのある後期に製造されたモデル

(正田拓也)