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【WTCC日本ラウンド】ホンダ シビックWTCCを駆るノルベルト・ミケルズ選手がホンダの地元鈴鹿サーキットで今シーズン初優勝
イヴァン・ミューラー選手が2013年のワールドチャンピオンに
(2013/9/22 18:18)
FIA WTCC(世界ツーリングカー選手権)日本ラウンドが、9月21日~22日の2日間にわたり三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで開催された。今回のWTCC日本ラウンドのレース2は、WTCCが2006年にスタートしてから、200回目のレースにあたり、記念大会として各種のセレモニーも行われる中でレースが開催された。
レース1では、ポールポジションを獲得したホンダのサテライトチームZengo Motorsportのノルベルト・ミケルズ選手がそのまま独走し、他車に約5秒の差をつけて優勝した。2位はシボレーのアレックス・マクドーウェル選手、3位には予選4位からスタートしたイヴァン・ミューラー選手が入り、大手をかけていた2013年のドライバー選手権のチャンピオンを獲得した。
レース1の予選順位の1~10位までをリバースグリッドにして行われるレース2では、2番グリッドからスタートしたトム・コロネル選手(BMW)が、ポールからスタートしたメディ・ベナーニ選手を17周目の1コーナーでオーバーテイクし、その後は独走で優勝を果たした。レース1で全滅したワークスホンダは、レース2は確実に走りティアゴ・モンテイロ選手が3位、ガブリエーレ・タルクィーニ選手が4位で、地元レースで見事に表彰台を獲得した。
ホンダの地元であり、ホンダ所有の鈴鹿サーキットでポールから独走優勝したホンダのミケルズ選手
レース1
順位 | 号車 | ドライバー | マシン名 |
---|---|---|---|
1 | 5 | ノルベルト・ミケルズ | ホンダ シビックWTCC |
2 | 9 | アレックス・マクドウォール | シボレー クルーズ1.6XT |
3 | 12 | イヴァン・ミューラー | シボレー クルーズ1.6XT |
4 | 23 | トム・チルトン | シボレー クルーズ1.6XT |
5 | 14 | ジェームズ・ナッシュ | シボレー クルーズ1.6XT |
6 | 10 | ジェームス・トンプソン | ラーダ グランタ |
7 | 1 | ロブ・ハフ | セアト レオン WTCC |
8 | 15 | トム・コロネル | BMW 320 TC |
9 | 38 | マルク・バッセン | セアト レオン WTCC |
10 | 19 | フェルナンド・モンヘ | セアト レオン WTCC |
12 | 99 | 伊沢拓也 | ホンダ シビックWTCC |
33 | 33 | 谷口行規 | BMW 320 TC |
18 | 67 | 吉本大樹 | シボレー クルーズ1.6XT |
19 | 68 | 加納政樹 | BMW 320 TC |
昨日の予選で唯一の52秒台に入れ、ぶっちぎりでポールポジションを獲得したのが、ホンダのサテライトチームであるZengo Motorsportのノルベルト・ミケルズ選手。ハンガリー出身で、ツーリングカーでキャリアを積んできたミケルズ選手は、昨年のWTCCでプライベートチームから走るドライバーにかけられているチャンピオンシップ“ヨコハマトロフィー”のタイトルを獲得し、今年はその実績を買われてホンダファミリーの一員となった。
ミケルズ選手は、ローリングスタートとなる第1レースのスタートで抜群のスタートを切り、2位のアレックス・マクドウォール選手(シボレー)を1周目からどんどん引き離していき、そのまま危なげなくゴールし、今シーズンの自身初優勝、そして前レースでマニファクチャラーズ部門のタイトルを獲得したばかりのホンダに、地元レースでの優勝をプレゼントした。
2位のマクドウォール選手は、3位のイヴァン・ミューラー選手(シボレー)に激しく追い上げられたものの、結局2位の座を守り通した。スタートでチームメイトのトム・チルトン選手(シボレー)を抜いたミューラー選手は3位に入り、この結果を持って2013年のWTCCドライバー選手権チャンピオンの座を確定した。ミューラー選手のWTCCタイトル獲得は、2008年、2010年、2011年に次いで4度目となる。4位以下は、ミューラー選手のチームメイト、チルトン選手、ジェームス・ナッシュ選手(シボレー)、トム・トンプソン選手(ラーダ)、ロブ・ハフ選手(セアト)、トム・コロネル選手(BMW)、マルク・バッセン選手(セアト)、フェルナンド・モンヘ選手(セアト)。
期待された2台のワークスホンダは、やや期待外れの結果となった。ティアゴ・モンテイロ選手はスタートで予選6位から3位にジャンプアップしたものの、17周目の最終コーナーの手前でコースアウトして大きく順位を下げ、レース途中でぺぺ・オリオラ選手と8位を争っている時に押し出される形でタイヤバリアにクラッシュしリタイアに終わった。また、ガブリエーレ・タルクィーニ選手も、スタートから5番手を争っていたが、18周目に左フロントタイヤがパンクし、万事休す。その後タイヤ交換をして走り続けたものの、最終的には27位に終わった。
期待の日本勢は予選17位からスタートした吉本大樹選手が、ホンダシビックWTCCにのる伊沢選手をスタートで抜き、一時は14位を走る健闘を見せたが、レース後半にはタイヤが厳しくなってきたのか徐々に順位を下げていく残念な展開になり、最終的には18位でレースを終えた。伊沢選手は、前走車がリタイアしたことなどもあり、最終的に12位にまで順位を上げてレースを盛り上げた。谷口行規選手(BMW)は17位、加納政樹(BMW)は19位となった。
日本に縁の深いトム・コロネル選手がレース2で優勝、ホンダは表彰台の一角を占める
レース2
順位 | 号車 | ドライバー | マシン名 |
---|---|---|---|
1 | 15 | トム・コロネル | BMW 320 TC |
2 | 25 | メディ・ベナーニ | BMW 320 TC |
3 | 18 | ディアゴ・モンテイロ | ホンダ シビックWTCC |
4 | 3 | ガブリエーレ・タルクィーニ | ホンダ シビックWTCC |
5 | 14 | ジェームズ・ナッシュ | シボレー クルーズ1.6XT |
6 | 23 | トム・チルトン | シボレー クルーズ1.6XT |
7 | 7 | チャールズ・カキン | BMW 320 TC |
8 | 1 | ロブ・ハフ | セアト レオン WTCC |
9 | 38 | マルク・バッセン | セアト レオン WTCC |
10 | 26 | ステファノ・ダステ | BMW 320 TC |
16 | 68 | 加納政樹 | BMW 320 TC |
17 | 33 | 谷口行規 | BMW 320 TC |
22(リタイア) | 99 | 伊沢拓也 | ホンダ シビックWTCC |
24(リタイア) | 67 | 吉本大樹 | シボレー クルーズ1.6XT |
レース1終了後の30分後に行われたレース2では、レース1の予選順位のうち1位~10位までをリバースグリッドにしてグリッドが決定しレースが行われる。これによりレース2のポール・ポジションを獲得したのはメディ・ベナーニ選手(BMW)、2位がトム・コロネル選手(BMW)、3位がガブリエーレ・タルクィーニ選手(ホンダ)という順位でスタートすることになった。
比較的静かなレースになったレース1に比べると、レース2はスタートから荒れる展開となった。レース1のローリングスタートとは異なり、スタンディングスタートでスタートすると、10位からスタートしたノルベルト・ミケルズ選手(ホンダ)が7位からスタートしたイヴァン・ミューラー選手(シボレー)と接触し、ストレート脇のガードレールに押し出される形になったミューラー選手はそのままリタイヤすることになった。当たったミケルズ選手も、左のフロントを破損する形となり、ピットまで戻ったものの、リタイアすることになった。
レースはその後唯一のオーバーテイクが可能なポイントである第1コーナーまでがイエローフラッグで追い抜きができなくなったため、静かな展開となっていたが、8周目にイエローフラッグが解除されると、2位を走っていたコロネル選手が、トップのベナーニ選手に何度もオーバーテイクを仕掛ける展開となった。これに対して、3位、4位はタルクィーニ選手、モンテイロ選手とホンダワークス勢が続いていたが、前を走るBMW勢からは徐々に引き離されていき、途中でタルクィーニ選手とモンテイロ選手が順位を入れ替えたモノの、前との差は縮まらないというレース展開になった。
レースが大きく動いたのは17周目。1コーナーで、ベナーニ選手が進入をミスして大きく膨らむと、そこをコロネル選手は見逃さず、2コーナーの入り口でオーバーテイクに成功し、トップにたった。その後コロネル選手は後続を引き離すと、そのままゴールし見事に優勝を果たした。コロネル選手は、2年前の2011年、岡山国際サーキットで行われていた2008年にも日本ラウンドで優勝しており、日本でのWTCC優勝は3回目となる。2位はベナーニ選手。
期待されたホンダ勢は、そのまま3位モンテイロ選手、4位タルクィーニ選手の順でレースを終え、地元レースで表彰台の一角を占めることに成功した。なお、最終ラップの最終コーナーでモンテイロ選手は一時スローダウンしトラブルかと思われたが、レース後の記者会見でモンテイロ選手は「レースの序盤でガブリエレが僕を前に出してくれたので、そのお礼をしないといけないと思ってスローダウンして待っていたのだけど、いつまでたっても来なかったので、そのままゴールした」と述べ、トラブルではなかったと説明した。
日本勢は、伊沢選手と吉本選手はトラブルでリタイア、加納政樹(BMW)が16位、谷口行規選手(BMW)が17位完走という結果に終わった。