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【CEATEC JAPAN 2013】自動車関連ブースリポート

EV向けのバッテリや充電技術などを展示

トヨタのコンセプトカー「i-ROAD」
2013年10月1日~5日(CEATEC JAPAN 2013)

 IT・エレクトロニクス技術の総合展示会「CEATEC JAPAN 2013」が、10月1日~5日までの会期で千葉県の幕張メッセで開催されている。4K/8KテレビやスマートフォンといったIT関連技術が目立つ展示会だが、自動車関連技術についても電気自動車などを中心にさまざまな展示が行われている。ここではそうした情報を中心にリポートしていく。

トヨタ自動車

 トヨタブースは、愛知県豊田市で実施中の都市交通システムの実証実験「Ha:mo(ハーモ)」を中心とした展示内容。同実験内で行われている小型EVシェアリングサービス「Ha:mo RIDE(ハーモ・ライド)」に来年から投入予定のコンセプトカー「i-ROAD」を日本初公開した。このほか、ビッグデータを使用した交通情報サービスの「マルチモーダルルート案内」、トヨタホームによるスマートハウスの展示なども行っている。またホール7では1人乗りモビリティ「Winglet(ウィングレット)」の試乗会も開催している。

パーソナルモビリティのコンセプトカー「i-ROAD」。来年から「Ha:mo RIDE」に投入され、実際に乗ることが可能になる
コーナーでは車体を傾けて横Gを低減する
すでに市販が開始され「Ha:mo RIDE」でも使用されているトヨタ車体の超小型EV「コムス」も展示
トヨタの非接触充電システム。2014年から日米欧で実証実験を開始する予定
1人乗りモビリティ「Winglet」の試乗会も開催

TDK

 TDKは先進車両用の電子部品を実車サイズのモックアップに搭載して展示。開発中のワイヤレス充電器やチャージャー電源、バッテリーの電気を12Vに電圧変換する世界最小コンバータなどが展示されている。

TDKブースに展示してあるEV用ワイヤレス給電装置。車載側の受動コイルがA4サイズに小型化されているのが特徴
EV用モータなどに使われるレアアースフリーの磁石

三菱電機

 三菱電機は準天頂衛星システムなどの航空宇宙分野に関連した展示に大きなスペースを割いている。準天頂衛星システムは「日本版GPS」とも呼ばれ、日本のほぼ真上に位置する衛星を利用するため死角が少なく、衛星からGPSの誤差を補正する信号を送信するシステムなので測位誤差が数cmに収まるようになる。日本のほぼ真上に衛星が位置する状態を保つため、複数の衛星を打ち上げ、そのいずれかが常に日本の真上に位置するようにする。初号機である「みちびき」は2010年に打ち上げが完了し、2017年に3機を追加して4機体制とする予定で、最終的には7機で日本の上空をカバーすることになる。衛星を使った自動運転支援などの用途も期待されている。

三菱電機が展示している準天頂衛星の初号機「みちびき」の1/24スケールモデル
最終的には7機の衛星を使うことになる
自動運転の支援などにも利用される
衛星搭載用のリチウムイオンバッテリー。従来のニッケル水素バッテリーとの比較で重量が1/2、容積が1/3になっている
衛星に使われる超軽量アンテナ反射鏡面の実物。3軸織りのCFRP製とすることで軽量化

デンソー

 デンソーブースには、新開発の「定置型DC普通充電器 ENERGY TUBE」「LEVピコグリッドシステム ENERGY HUB」を展示。「定置型DC普通充電器 ENERGY TUBE」はPHVやEV用の据え置き型DC普通充電器で、DCで直接充電できるため充電器の車載が不要になるというもの。「LEVピコグリッドシステム ENERGY HUB」は小型EVを電力源として使用できるもので、災害時の非常用電源などにも活用できる。

「定置型DC普通充電器 ENERGY TUBE」
「LEVピコグリッドシステム ENERGY HUB」

富士通

 富士通はドライバーを見守る技術として眠気検知技術を参考出品。クリップタイプの光学センサーを耳たぶに取り付けることで、血液中のヘモグロビンの動きなどを検知して心拍数などを測定。ドライバーの眠気を感知できる。

富士通の眠気検知技術

日立金属

 日立金属のブースでは、PHVやEV用に使われているパーツ類を多数展示。ハイブリッドカーなどのモーターに使われている「NEOMAX磁石」の磁力を体感できるコーナーも設置されている。

ハイブリッドカーなどのモーターにも使われるNd-Fe-B系焼結磁石「NEOMAX」シリーズ
小型ハイブリッドカー用駆動システムのカットモデル
NEOMAX磁石の強度を紹介するデモンストレーション。人間の手のひらを通しても、これだけのパチンコ玉がくっついてしまう
鋳造によるEV用アルミバッテリーケース

アルプス電気

 アルプス電気は車載向けのインプットデバイスとして、ドライバーの視線検知などさまざまなセンサーを利用して車内機器の操作を補助する様子をモックアップでデモンストレーション。ワイヤレスで接続されたスマートフォンをモーションセンサーを使って身振り手振りで操作したり、非接触センサーによってドライバーの体調まで調べることが可能。

アルプス電気が展示していた「Epistemic Cockpit」
手のひらが投影されている位置にスマートフォンを置くと、モニタへのワイヤレス接続と充電が自動的に開始される
視線検出をしており、あまり長くモニタを見つめていると警告が発せられる
モニター上部に取り付けられたモーションセンサーによって手を振ることでスマートフォンの操作ができる
3種類の非接触センサーでドライバーの体調を検知

その他

バッテリメーカーの電源設計ブースには、EV化されたデロリアン(DMC-12)が展示されていた。同社が開発した150V-60Ahのリン酸鉄系リチウムイオン電池を搭載するのが特徴
コクピット
トランクルームのバッテリ
モーター
日本航空電子工業は、新型フィットにも採用されている車載用タッチパネルを展示。車載用として耐熱性能はもちろん、静電容量方式ながら手袋をしている状態でも快適な操作が可能になっている
フォーラム8は「UC-win/Road」ドライブシミュレータシステムを展示。車両システムや交通システムなどさまざまな研究開発に使われる
パナソニックブースでは「PROJECT CARS」を使った4Kテレビの試遊台も用意

(清宮信志)