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「撮ってみましたF1日本グランプリ 2013」【後編】
(2013/11/12 11:53)
前編(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131107_622267.html)では金曜日のFP1、FP2と久々の車中泊の模様をお届けした。後編は予選が行われた土曜日と決勝が行われた日曜日の撮影記をお届けしたい。内容は撮影以外に、移動であったり私的な話しであったり、書いてる筆者自身「読者の役に立つのか」と疑問に思うものなので、不要な部分は適当に読み飛ばしていただければと思っている。
鈴鹿のF1皆勤賞の筆者の経験では、鈴鹿から名古屋方面へ向かうのに一番混むのは金曜日の夕方。これは平日の帰宅ラッシュと重なるためだ。名古屋方面から鈴鹿へ向かうのに一番混むのは土曜日の朝。これは3日間のイベントだが、やはり土日で観戦する人が多いためだ。
あくまで抜け道を使うことが前提で、筆者の使うみえ川越IC(インターチェンジ)→23号の場合、みえ川越ICは土曜日がピーク、四日市市内は金曜日がピーク、夕方はサーキット周辺に限ればレース終了後がもっとも混む時間となる。
昨年の例で言うと、土曜日の朝はみえ川越ICの手前1km付近から渋滞していた。なので金曜日の夜に車中泊をすると、混雑する金曜日夕方の鈴鹿→名古屋、土曜朝の名古屋→鈴鹿の渋滞を避けることができる。
土曜日
車中泊は季節外れの暑さのせいで蚊の襲撃を受けることとなったが、それ以外は特に問題はなく朝を迎えることができた。起きてあらためてまわりを見ると、筆者と同じ駐車場内にも、隣の駐車場にもテントを張って泊まっている方がいた。
ステップワゴンで一緒に寝た友人A氏に「セブンイレブンのトイレ、ウォッシャー付きなかあ」と聞くと「あったよ。でも新しいマックスバリュもあるんじゃない」ということで、まだRX-8で寝ていたI氏を起こして、昨晩近所にできていたことを知ったマックスバリュ鈴鹿住吉店にクルマで買い出しに出掛けた。
買い出しをする前にまずはトイレ。その品質はこれまで買い出しをしていた鈴鹿中央店より格段に上、期待通りウォッシャー付だった。洗面道具も持って行ったのでメガネをコンタクトレンズに替え、それから68円のおにぎりなど、朝食、昼食を多めに購入。店舗の隅にはイートインコーナーもあり、テーブルはもちろん電子レンジなども設置されているので、現地宿泊の人には強い味方になりそうだ。ちなみに調べてみると鈴鹿住吉店のオープンは2008年。F1が再開された2009年には営業が始まっていた。筆者のルートから外れていたため気付かなかったということだ。
金曜日のFP1は10時からセッション開始だったが、土曜日のFP3は11時から。この日の予定は前日撮れなかったヘアピンとスプーンの進入側。1時間前にはヘアピンに着くようにと駐車場を出発。この日はヘアピンに近く、アップダウンも少ないシケインゲートに自転車を駐め会場入りした。
シケインゲートから入場するとすぐに130Rにたどり着く。今年から仮設スタンドがなくなったので撮影&観戦ポイントの復活を期待したが、130Rの立ち上がり側に数m幅の柵越しにコースが見える場所があるだけだった。設置された柵が土手の先から少し離れていることもあり、撮影ポイントとしては不向きな印象だ。
セッション開始1時間20分前にヘアピンに到着。すでにヘアピン常設席の下のカメラマンエリアに隙間はなかった。作戦変更でスプーンに向かうことにしたが、スプーンは直前に行っても撮る場所は確保できるのでヘアピン正面のカメラマンエリアや常設席、常設席のスプーン側のカメラマンエリアの様子を確認してからスプーンへ移動した。
金曜日はスプーン1つ目から2つ目にかけて撮影したので、土曜日は進入からスプーン1つ目を撮影する。スプーン進入のブレーキングを真横から撮るポイントは、撮る人が少なく撮影場所の確保が簡単なので後回しとし、スプーン1つ目へステアリングを切り込む位置から1つ目のクリッピングまでを先に撮ることにした。
のどかなスプーンも土曜日となり、前日の2~3倍のお客さんが入っている。とは言え観戦や撮影場所に困ることはなく、完全指定席で幕に覆われた2009年などを除けば25年間変わらぬ風景だ。ちなみに決勝日の様子を録画でチェックしてみると(10周目に空撮で進入からM席まで映っている)、進入側は土曜日と同じか少なめ、カメラマンエリアは土曜日より少なめ、M席の手前は土曜日と同じかやや多めといった印象で、やはり決勝日ものどかなスプーンは変わらない。これからも、この雰囲気を維持してもらいたいと思っている。
2段になっている土手の上段で撮影開始。まずはスプーン1つ目へ切り込むところからクリッピングまでを撮影。前日は300mmのレンズだけで撮ったが、この日は70-200mmのズームを使用、200mmにズームしてシャッター速度を1/125秒で流し撮りを行った。
クリッピング側は斜め後ろから流し撮り。最初は進入側から1/125秒でそのまま連写。その後は1/60秒に落として撮影を続けた。フレームの隅にROLEXの緑の看板が微妙に入るのが物足りなく、もう少しハッキリとフレームに入れるために土手の上段から金網越しギリギリの斜面まで降りてみた。そこそこ斜度のある斜面で足場はわるくなったが、絵のバランスはよい感じ。シャッター速度も1/30秒に落として撮影した。
セッションも後半になったので、スプーン進入のブレーキングを真横から撮るポイントに移動。金網の上から撮れる位置まで降り、ここも足場のわるい斜面での撮影となった。ここから正面の旧N席付近を見ると前日より数倍の観客。カメラマンエリアとM席の間は前日より少し多い感じだ。先ほどまで撮っていた場所を見ると土手の上段、中段は大勢のカメラマンが見えるが、その下の斜面はパラパラ撮っている人がいる程度だった。
レンズはここも70-200mmのズームを使用。120mmくらいにズームし、目の前のマシンはシャッター速度を1/125秒、走り去ったマシンは1/30秒で撮ることにした。欲張りな筆者は目の前のマシンを1/125秒で撮った後にシャッター速度を瞬時に1/30秒に変更、同じマシンを斜め後ろからスローシャッターで撮る作戦に出たがしっくりこない。二兎を追う者は一兎をも得ずで上手く撮れていない感触。ほどなくセッション終了が近づき、マシンが連続して走ってくるので欲張り作戦は中止して別々に撮ることにした。
今回は途中で諦めたが、通過するマシンを途中でカメラの設定を変えて撮る方法は、上手く行くと撮影効率を上げることができる。人差し指でカリカリとダイヤルを回すだけだが、1アクションで変更できるステップには限界がある。2回カリカリ、カリカリと変更すると誤差が増えるのでできれば1アクションにとどめたい。1アクションで変更できないときはシャッター速度のステップを1/3から1/2に設定変更すれば1アクションで大きくシャッター速度を変更することが可能だ。
余談だが、筆者が30年ほど前に初めて買った一眼レフはキヤノンのA-1。当時のカメラはシャッター速度の刻みが1/30秒、1/60秒、1/125秒と1段ずつだった。1/125秒でそこそこ流し撮りができるようになったが、1/60秒になると極端に難しくなる。その中間の1/90秒という設定が欲しいと思っていた。
記憶は不確かだが、そのころ発売されたT90はシャッター速度が1/2段刻みで1/60秒、1/90秒、1/125秒となっていた。その後のEOSシリーズにつながる画期的なカメラだったこともあり、興味津々の機種だったと記憶している。次に気になったカメラはEOS RT。ミラーの代わりにペリクルミラーという固定されたハーフミラーがあり、ミラーアップなしで撮影できるので、連写しても像が消失しない画期的なカメラだった。
ミラーアップによる消失がなければ、連写した際の追従性がよくなり流し撮りの成功率が上がるのではと期待した。当時はフィルムだったので、ハーフミラーで光量が失われる分、露出が他のカメラと異なる仕様だったが、デジタル化された現在ならその点はカメラ内で調整が可能、今でもこの方式はEOS 7D RTみたいな感じで復活して欲しいと思っている。
前日に続き土手の下段まで降りて撮ったのでジーンズと靴には大量のひっつき虫。注意深く避ければ被害は食い止められたと思うがセッション中は時間優先ですっかり忘れていた。「苦労して取ったのにまたやっちゃったよ」と、学習効果がない自分にガッカリした。
FP3が終了したので次は3回目のヘアピンだ。12時にFP3が終了し、14時から予選開始なので2時間ほど前ならヘアピンの常設席下も隙間があることを期待した。ところが行ってみると今度も隙間なし。東京のターミナル駅のように、電車が終点駅に到着すると片側のドアが開き乗客が降り、ほどなく反対側のドアが開き折返しの始発にホームから乗客が乗り込むように、FP3が終わるとカメラマンが移動し、数分で次のカメラマンに入れ替わったのかと疑問を感じるほどだ。
実際にはFP3も予選も同じ場所で撮られる方が多いのだろう。筆者のイメージでは、この撮影ポイントなら成功率はかなり高いので、10分~20分撮ればすべてのマシンを撮りつくせると思うのだが……。結局、常設席下は諦め、すぐ左側の土手で撮ることにした。
セッション開始まで2時間弱もあるので、スタンド裏の喫煙所で一服。隣の売店に向かう途中で2009年のF1で知り合った小林さんと、その友人でWTCC&F1鈴鹿サーキット撮影ガイド(最終回)にデグナーの写真を提供いただいた松本さんとバッタリ。しばし雑談で時間をつぶすことができた。
参考までに、小林さんは名古屋市内にホテルを取り車で往復、松本さんは車中泊、ついでに昨年レース後にシャンパンで可夢偉の表彰台を祝っていた鈴木夫妻は四日市のホテルに宿泊。皆それぞれのスタイルで観戦している。
予選Q1は常設席内の右側の土手で撮り始め、途中で最上段を横断して左側の土手に移動して撮り、Q2は正面のカメラマンエリア、Q3は進入側のカメラマンエリアとインターバルを利用してヘアピンの3エリアから撮る作戦だ。
予選Q1。常設席の右側土手の下段で撮影開始。近くにはSUPER GTでお見かけするベテランさんなど5人ほどがいたので、お互いに被らないように「ここで撮って大丈夫ですか」「もう少し上でお願いします」みたいな感じで微妙に立ち位置を調整。常設席下よりは少し高めの位置から隙間なく並んでいるカメラマンの頭越しに撮り始めた。
この撮影はそれ程難しくない。立ち上がってくるマシンを撮り終えて、200R、スプーン方面に遠ざかるマシンを背面から撮ってみた。この位置でこの方向を撮るのは初めて。まわりのほとんどのカメラマンがヘアピン方向にレンズを向けているのに、自分だけ反対を向いているのは微妙に違和感があった。撮った写真を見ると、もう少しシャッター速度を落とした方がよかったかと反省。来年以降の課題としよう。
そうこうするうちに、ベルニュが目の前で停まりマシンが炎上したので取り敢えずシャッターを切った。前日もタイヤが取れたマシンを撮っているので、珍しくアクシデント写真をフォトギャラリーに掲載した。連写した中に消化器の泡? が飛び散る写真があってどちらにしようか迷ったが、炎が目立つ点とドライバーの姿勢が絵的に優っていたので消化器噴射前の写真を使用した。
短い予選セッションの途中で観客席の最上段を横断して左側の土手へ。ヘアピンのクリッピングを抜けるマシンを鉄板な撮影。すでに上位チームはタイムを出してピットで待機。時間があれば進入やクリッピングをスローシャッターで撮ったり、立ち上がっていくマシンを斜め後ろから撮ったりもできたが時間切れとなった。
予選Q2は久しく撮っていないヘアピン正面のカメラマンエリア。ヘアピンのこのあたりの金網はつや消し黒にペイントされていて、金網越しの撮影に配慮されているので多くのカメラマンが金網に貼り付いて撮影していた。
筆者はクリッピング付近は先ほど撮った左側の土手と大差ないので、斜面の中段で立ち上がっていくマシンを斜め後ろから撮影することにした。昨年はFP1に撮ったので思いっきり逆光となり、引退するシューマッハをよい感じで撮ることができたが、今年は午後なので太陽の方向が違う。普通に撮ったのだが、後から写真を見るとステアリングの液晶表示が写っていることに気付いた。200mmのレンズで撮っているが、300mm、あるいはエクステンダーを付けてアップにし、シャッター速度も1/500秒くらいに上げれば、ステアリングの表示が読み取れる写真が撮れるかもしれない。これは来年以降に向けて大きな収穫となった。
Q2の最後はエリア内の進入側の最下段に移動。今まで気付かなかったがマーシャル用に金網にホールがあったので、最下段に座ってこのホールから進入してくるマシンを撮ってみた。背景はイマイチだが、なかなか低い位置から撮れるので面白い撮影ポイントだ。ただし、運わるくマーシャルが目の前に立つと撮れなくなるので、撮れたらラッキーくらいに考えた方がよいだろう。
予選Q3は進入側のカメラマンエリア。入るときに係の方から「コンクリートの上には乗らないで下さい」と釘を刺されてガッカリ。昨年と同様、エリアの背後にある壁の上に乗る気満々だったが、確かに微妙に危険な高さなので仕方ないだろう。
壁に乗らないと進入してくるマシンにフェンスが被ってしまう。金網の部分は仕方ないと思うが、有刺鉄線の部分は切り落として欲しいものだ。Q3は時間も短く台数も少ないうえに、タイヤ温存で1アタックしかしないチームもあるのでシャッターチャンスは少ない。
まずは進入から立ち上がりまでを70-200mmで撮影。進入からクリッピングの先まではそこそこな絵となるが、立ち上がっていくマシンは筆者のセンス不足で絵的にイマイチ。進入でよい感じに撮れたハミルトンも金網が被ってガッカリ。ラストアタックが終わってピットへ戻るインラップに入ったところで、300mmのレンズを装着したカメラを持って最下段に降りてクリッピング付近をアップで撮りセッション終了となった。
この日は朝から西コースにいたので予選後にメディアセンターへ向かうことにした。自転車でシケインゲートの駐輪場から正面ゲートへ移動。遊園地を抜けてパドックトンネルをくぐってパドックへ。レッドブルとトロロッソチームの前に、昨年まではレッドブリテンが置かれていたが、今年は冷やしたレッドブル(缶ドリンク)も追加された。
両方ゲットしてメディアセンターに入ろうとすると、サーキットのスタッフが赤絨毯を撤収していた。セッション終了後の囲み取材は、この絨毯で作られたエリアに各ドライバーが集まって行われる。毎日、設置と撤収をしているようだ。
パドックは国内のレースではパドックパスで入場した方が大勢いるが、F1の際はかなり少なめ。前日、疲労困憊でロッカーに預けたパソコンなどを回収。日曜日はピットウォーク、ドライバーズパレードが最初の撮影となるため、300mmの望遠レンズや一脚などはロッカーに預け駐車場に向かった。
正面ゲートから道伯町までは緩やかな下り坂でペダルほとんどこぐ必要がなく快適だ。駐車場に向かう途中でGPコレクションをチラ見。友人が待つ駐車場に戻った。
抜け道を使えば土曜日の名古屋方面への渋滞は少なめ。日曜日の朝も道は空いているしレースは15時スタート。イベントはあるが遅めの時間なので5時起きするほどの必要もない。と言うことでこの日は友人A氏と名古屋へ戻ることにした。友人I氏はこの日も車中泊。前夜祭を見るとのことだった。
予選終了後にすぐに帰宅すれば15時半くらいに出発できたと思われるが、パドックに寄ったので駐車場を出たのは16時45分。道伯町から平田町へ向かう道は渋滞していたので稲生高校側に向かい左折してゴソゴソとサーキットを離れ、富士電機の南側を通過、南玉垣町北の交差点の手前で23号に合流。
最初は快調に流れたが、柳ランプウェイの先で渋滞したので、ガードレールの切れ目から側道に入り、23号の下をくぐって海側の道にシフトし、そのまま四日市市内まで順調に移動した。JR四日市駅の前を17時半に通過。四日市競輪の先で23号に戻り、17時48分にみえ川越ICから高速に乗り18時に名古屋市内、名港潮見ICを降りた。駐車場を出て1時間15分、ほぼ予定どおりの時間で到着した。ちなみに高速の乗り降りの時刻はETCの情報、その他の時刻は信号で停止した時などにカーナビの画面をスマホで撮影し記録している。
日曜日
日曜日はケータイWatchの編集長が取材で鈴鹿サーキットにくるとのことでピックアップを依頼された。編集長の乗る新幹線の名古屋到着が8時11分、近鉄の白子駅着が9時22分。あれこれ考えたが、白子駅でピックアップすることとした。
友人A氏を8時に地下鉄堀田駅で乗せ、8時17分に名港潮見ICから高速に乗り、「鈴鹿インター渋滞50分」の電光掲示板をチラ見してみえ川越ICを8時28分に降り23号に合流した。この日の23号は渋滞もなく、9時前に白子駅付近に到着。「やっぱ高速道路より速い23号」などと思いつつ、早く着きすぎたのでガソリンスタンドで給油、駅周辺の様子を撮影し電車の到着を待った。
編集長を乗せ、県道41号を道伯町の方へ向かうと、前を走るサーキットへのシャトルバスが一般のクルマは通行できない建設途中の中勢バイパスへ消えていった。おそらく稲生高校のあたりまでショートカットするのだろう。このあたりも市がF1というイベントを支えている感じがして微笑ましい。
筆者達はこの日もマックスバリュ鈴鹿住吉店で買い出し。編集長も「参加します」とのことで、おにぎりが68円、トイレはウォッシャー付きという情報を伝えた。店内はF1客を狙って大量のパンや弁当が置かれていたが、なんと68円おにぎりはほぼ完売。98円のおにぎりは残っていたが少々ガッカリした。
駐車場から編集長は徒歩、我々は自転車でサーキットに移動。正面ゲートから入り売店やGPスクエアの様子を見てパドックへ向かった。友人達は決勝をJ席で観戦。3人分のチケットを買っているが、筆者は今回も1度も自分の席には行っていないので「3人掛けに2人は広くて快適」とのことだった。ケータイWatchの編集長はこの記事(http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20131015_619406.html)の取材のため鈴鹿に来ていた。
レースは15時スタート。その前に行われるピットウォークやレジェンドF1、ドライバーズパレードを撮影するので、この日のパドック滞在時間は長め。大きなレースではキヤノン、ニコンのサービスの方がカメラのメンテナンスのためにきているので、レンズや一眼レフのセンサーを掃除してもらい、まずはピット裏から撮影開始。
続いてピット側に移動し各チームのピットを撮影した。ほどなくロータスがタイヤ交換の練習を開始。同時にレジェンドF1の走行も始まった。タイヤ交換の練習を見に集まったピットウォークのお客さんでロータスのピット前はチョット人山状態。先にタイヤ交換の練習を撮影、ピットウォールに移動して懐かしのF1が走る様子も撮影した。
13時30分、いよいよドライバーズパレード。毎年上手く撮影できない鬼門だ。今年はコース側ではなくピットロード側で待機しているとドライバー達がドヤドヤっと登場、撮影は難しかった。パレードに向かうドライバーは相変わらず視線の向きが微妙だったり、他のカメラマンさんが被ったりして上手く撮れない。パレードを終えて戻ってきたドライバーもコースではなくピットウォールから撮ってみたが、なかなか納得ができる写真は撮れなかった。
イベントはすべて終了。いよいよ決勝レースだ。決勝は撮影よりレースを楽しむことを重視。今回は新しく設置されたB2席カメラマンエリアから観戦&撮影を開始することにした。筆者が鈴鹿サーキットの最高の観戦ポイントと思うB2席の中2階はレース直前に行っても隙間がないと思われた。チラッと見ると案の定、スペースを確保するのは難しい感じだった。
B2席の2階席最上段は1コーナー側は埋まっていたが、C席側の半分は予想外に空いていた。レース直前の各スタンドの様子を見るとE席は少し空いているが、ほとんどのスタンドはF1ファンで埋まっていた……素晴らしい。
B2席は撮影より観戦向き。場内放送のPit-FMの入りは良好とは言えないがまずまず。観戦重視だが、それでもスタートはグリッドから1コーナーまでを300mmのレンズで撮り、すぐにもう1台のカメラに持ち替え、車列が2コーナーを通過するところを東コース全体が入るように広角で撮ることにした。
スタートでなんとグロージャンがトップに。昨年はベルギー、スパのスタートが印象的でミサイルと呼ばれたほどだったが、今回は事実上の主役に躍り出てくれてレースは面白くなった。ベッテルが嫌いと言うわけではない。ベッテルは韓国グランプリの表彰台では、インタビュワーのジョニー・ハーバートに次の日本グランプリについて聞かれ「世界最高のコースだと思うよ。ファンの盛り上がりも最高」とコメントしてくれた。元々鈴鹿サーキットが最高とコメントしていることは知っていたが、日本のジャーナリスト向けのリップサービスも含まれていると割り引いて聞いていたので、世界中に中継される表彰台のインタビューでのコメントに感動した。
とは言え、スポーツで独走は面白くない。チャンピオン争いは事実上の決まっている中、グロージャンがトップに立って回りの観客もグロージャンを応援する雰囲気が感じられるほどだった。
撮影はほどほど。グロージャンは期待以上に頑張ってくれて「もしかすると」と思わせる展開。S字に移動しようと思うが1~2コーナーでドラマがあるかもと思うと動けなくなってしまった。
それでもしばらくトップ交代はないと判断しS字へ。B2席の最上段から降りてC席の後ろを放送を気にしながら足早に抜け、C席横のカメラマンエリアまで移動。ここは金曜日に撮っているが、その先の逆バンクまでコースを離れて移動するとバトルを見逃す可能性が高い。そもそも逆転劇はストレートから2コーナーで起こる確率が高い。撮影より観戦を優先しカメラマンエリアで観戦&少しだけ撮影することにした。結果はご存じの通りベッテルが逆転。グロージャンは3位となったがレースを盛り上げてくれた事実上の主役だった。
昨年ほどではないが、今年も素晴らしいレースを筆者自身は楽しむことができた。撮った写真はスプーンを重視したこともあり、バリエーションなども含め微妙な感触。でもトータルでは充分満足できた27回目のF1日本グランプリとなった。
レース終了後、自転車のある正面ゲートまでは歩き。1コーナー側をまわるか逆バンクゲートから一般道に出るか迷ったが、1コーナー側は人が渋滞する可能性が高いと判断。逆バンクゲートから出ることにした。途中、逆バンク裏オアシスの裏に長蛇の列。看板を見ると西コースウォークに参加される方達の列だった。
逆バンクゲートに自転車があれば速いのだが、パドックの撮影があったので正面ゲートまでは徒歩。そこからは自転車なのであっと言う間に駐車場に到着。2台の自転車を積み込み、出発準備をしていると編集長がグランドスタンドから徒歩で戻ってきた。編集長によるとバス停はかなりの人で、乗るのに数十分待ちとのこと。バスは渋滞の影響を受けないルートで白子駅に向かうので、乗れば駅まではそれほと掛からないだろう。
17時24分に駐車場を出発。前日と同じく稲生高校に向かう途中で左折するがしばらく行くと信号渋滞。カーナビで迂回路を探し、前日と異なるルートを選択し、富士電機の南の通りに突き当たる方角から入り、前日と同様、南玉垣町北の交差点の手前で23号に合流。この日も柳ランプウェイの先で渋滞したので、ガードレールの切れ目から側道に入り、23号の下をくぐって海側の道にシフトし、そのまま四日市市内まで約30分で移動した。
そのままJR四日市駅の前を通過して近鉄四日市駅で編集長を降ろそうと思ったが、踏切の手前で渋滞。数分待っても1mmも動かない。渋滞の列から数台が逃げ始めたので筆者も諦めて大陸橋の側道から23号に合流することにした。
側道の信号は数秒遅れで赤。先に逃げたクルマは合流できたのでわずかな判断の遅れで数分をロス。数百メートル23号の渋滞にお付き合いし、JR四日市駅の名古屋側の踏切から大まわりして18時15分に近鉄四日市駅までたどり着いた。踏切でつまづいたこともあり、20分近くロス。前日と同じく四日市競輪の先で23号に合流、18時37分にみえ川越ICから高速に乗り一路川崎を目指した。
名古屋の自宅に帰る際に利用している名港潮見ICを18時48分に通過。そのまま自宅へ向かえば19時過ぎに着くので鈴鹿を出て1時間40分ほどとなる計算。やや遅めだが、20分のタイムロスを除けばいつもどおりだ。
この先は豊田JCT(ジャンクション)から東名高速に入り三ヶ日から新東名を抜けるルート。その先、海老名付近の渋滞は気になるがたどり着くのは3時間先のことだ。19時51分、新東名の浜松SA(サービスエリア)に到着しここで夕食。鈴鹿から筆者が運転してきたが、ここで友人A氏に交代し20時34分に出発。筆者は助手席でスマホやノートPCで渋滞状況を確認した。
渋滞の雰囲気が3週間前のWTCCから戻るときに似ている。どちらも3連休の中日でかなり重めの渋滞。WTCCの際はこの日より1時間遅れで浜松SAを出て、編集長(WTCCのときはCar Watch編集長と一緒に帰京)が運転し長泉沼津ICで降りて箱根越えをして小田原厚木道路を経由した。ETC情報でその日の時刻を確認すると12時半に東京料金所を通過している。
御殿場ICを過ぎた頃から徐々に速度が落ち、時々渋滞するも比較的流れていたので大井松田ICも通過。この調子でダラダラ行ければと思ったらピタッと停止。電光掲示板によると東京到着は24時。しばし渋滞に並び秦野中井ICを22時38分に降り、小田原厚木道路の二宮ICから厚木ICで東名に戻ると23時01分。電光掲示板の表示は23時半と30分短縮された。その先は徐々に渋滞も解消。23時26分に東名川崎ICを降り数分後に川崎の自宅に戻ってきた。
ちなみに近鉄四日市駅で降ろしたケータイWatchの編集長は21時ごろに東京駅に到着。やはり新幹線は速い。コストより時間を優先するならレンタカーと新幹線+近鉄を組み合わせると楽で速い移動ができそうだ。
では今回のF1日本グランプリの観戦コストを計算してみよう。食費はスーパーで買い出しすれば安くなるし、レストランや居酒屋を利用すれば高くなるので計算外とした。
高速代:6100円(東名川崎→名古屋)
高速代:550円(名港潮見→みえ川越)
駐車代:8000円(相場として)
風呂代:500円
車中泊:0円
高速代:550円(みえ川越→名港潮見)
高速代:550円(名港潮見→みえ川越)
高速代:3450円(みえ川越→秦野中井)
高速代:200円(小田原厚木道路)
高速代:500円(厚木→東名川崎)
ガソリン代:1万4500円(10km/L、150円/Lで)
チケット代:2万2000円(今回はJ席)
合計:5万6900円
あくまで今回の筆者の行動パターンのコストだが、交通費の部分だけ2人で割ると1万7200円。風呂代とチケット代を足すと3万9700円となる。3日間の費用として高いか安いかは人それぞれだと思われる。チケット代は1万1000円~7万2000円。仮に1万1000円のチケット、ずっと車中泊、行きにETCの深夜割引を利用、2人で割り勘、東京ICを基点で計算すると……
高速代:4000円(東京→みえ川越)
駐車代:8000円(相場として)
風呂代:1000円(2日間)
車中泊:0円
高速代:4000円(みえ川越→東京)
ガソリン代:1万3500円(10km/L、150円/Lで)
チケット代:1万1000円
合計:4万1500円
1人分は2万6750円となる。このあたりが東京からF1日本グランプリを観戦する最少コストだろう。実際には食事代などが加算されるが、世界最高峰のレースを3日間楽しめるコストとしては、他の旅行と比べても法外に高いということはないと思われる。
筆者は「一生に一度は見る価値がある」と言って、過去数十人をF1グランプリに連れてきた。2018年まではF1日本グランプリは開催される予定なので、見たことのない方は来年以降、ぜひ観戦していただきたい。おそらくサーキットだけでなく鈴鹿という街がオモテナシしてくれるだろう。
F1日本グランプリは27年間連続開催されているが、いつ途絶えるか分からない。多くの観客が観戦し、お金を落とすことが日本グランプリの継続につながるので、毎年観戦している方はもちろん、たまに観戦している方もぜひサーキットに足を運んでいただきたい。
サーキット側にお願いしたいことも書いておこう。2009年の鈴鹿復活から全席指定となっているが、そろそろ自由席を復活していただきたい。2006年以前は東コースではS字、逆バンク、ダンロップが自由席となっていた。西コースではスプーン、西ストレートが自由席だったと記憶している。現在、東コースに自由席となる隙間はほとんどないが、西コースならヘアピンの200R側の土手(現在のカメラマンエリア)、200R、スプーン、西ストレート、130Rとシケインの間を自由席にできるはずだ。
現在のチケット販売を見るとV2など高価な席と西コースの安価な席が完売になることが多い。安い席を買えなかった人で観戦を諦めている人もいるはず。適度に完売になる一定枚数の自由席を1万円以下で発売すれば、より多くの人に観戦する機会が与えられると思う。
記憶は薄いが2003年ごろにはサーキットで案内が配られ、12月に翌年の自由席を6000円(正規の価格は9000円?)くらいで購入できたと記憶している。時代が違うので、今ならGPスクエアのWiFi接続だけで、グランプリ開催中に翌年のチケットが安く買えるようにすれば、継続して観戦する人が増えるかもしれない。
カメラマンエリアは今年B2席のエリアが追加されるなど毎年少しずつ進歩している印象だ。人気も高くなっているようで、ヘアピン常設席下のエリアは簡単には入れないほどの人気だ。今年は行かなかったが、逆バンクの最上段もおそらく隙間がないほどだと思われる。
より魅力的な撮影ポイントを増やし、カメラマンを分散させるために新しいカメラマンエリアを設置して欲しいと思っている。例えばC席のS字側の最下段。元々C席の中でも観戦客が少ないエリアなので、金網をヘアピンのようにツヤ消し黒で塗装しカメラマンエリアを新設。逆バンクの最上段は50cmほどの台を現在のカメラマンエリアの後ろに設置。脚立なしで2重に撮影できるようにして欲しい。
西コースではヘアピンの進入側の土手。金網の有刺鉄線の部分を削除し、加えて中段と上段に仮設の撮影台を設置し金網の影響を受けずに進入してくるマシンが撮れるようになればもっとカメラマンが集まるだろう。スプーンは進入側の土手の下段に仮設の撮影台を設置し、金網の上から撮れるようになれば、ここにも人が集まりそうだ。これらの撮影台はそのまま常設とし、国内レースの時も利用したい。
カメラマンエリアではないが、逆バンク最下段の金網とスプーン1つ目と2つ目の間の金網もつや消し黒で塗装してくれると嬉しい。ちなみに金網の話をすると、鈴鹿サーキットの方は非公式に「奥川さん、塗ってもいいよ」と言い、Car Watch編集長は「ペンキ代は編集部で持つ」と言う。筆者は交通費を持ってもよいと思っているが、機会があれば塗りに行きたいと真剣に考えている。
プロ野球の中継も減るなど、モータースポーツだけでなくプロスポーツ全体が厳しい時代となっている。観る側と運営する側がともに頑張ってF1日本グランプリを支えて行けば2019年以降も継続開催され、35周年、40周年の記念大会を迎えることができるだろう。来年も鈴鹿で会おう。