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【2013 Hondaミーティング】復活する「シビック TYPE-R」には新開発の2.0リッター直噴ターボ「VTEC TURBO」搭載

周回路で試乗。3気筒1.0リッターと4気筒1.5リッターの直噴ターボも開発

 本田技研工業は、本田技術研究所 四輪R&Dセンターにて今後導入が予定される先進技術を体感し、ニューモデルを実際に運転できる「2013Hondaミーティング」を開催した。

 2013Hondaミーティングでは、びっしりとプログラムが詰まっており、「Handling FUN」「Everyday FUN」「Advanced FUN」「Acceleration FUN」という4つの体感プログラムで構成されていた。

 それぞれのプログラムの内容だが、まず「Handling FUN」は、アキュラのフラグシップモデル「RLX」に採用されているSH-AWDやP-AWSの試乗。「Everyday FUN」は、先進の電動化技術がもたらす将来像をイメージするというカリキュラムで、自動運転車両の同乗体験、シティコミューターの体験。「Advanced FUN」は、歩行者事故低減ステアリングや歩行者事故低減ブレーキに加え、LaneWatchやリアワイドカメラといった安全機能の体感。最後の「Acceleration FUN」は、今回のHondaミーティングのハイライトとなる新規開発中のガソリン直噴ターボエンジン「VTEC TURBO」やCFRPボディーで軽量化されたCR-Zの試乗になる。

 本記事では、世界初公開となる直噴ターボエンジンのリポートからお伝えしたい。

ホンダもダウンサイジングターボをラインアップ

 欧州のほぼすべてのメーカーで導入され現代のトレンドとなっているターボ過給エンジンによるダウンサイジング。ダウンサイジングターボは、フォルクスワーゲンやアウディ、PSAグループなどが実用化を始めた省燃費技術で、燃料噴射の直噴化や高圧縮によって、それまでのターボモデルでは実現できなかった環境性能と出力の両立を行うもので、各メーカーのエンジンラインアップに大きな変動をもたらした。排気量を下げつつもパワーを上げることで、排気量がワンランク、ツーランク上のエンジンと同等の性能をもたせるのが狙いとなっている。

 この分野にホンダは3種類のダウンサイジングターボエンジンを導入する。今回お披露目されたのは、「直列4気筒 2.0リッター直噴ターボ」「直列4気筒 1.5リッター直噴ターボ」「直列3気筒 1.0リッター直噴ターボ」になる。

●直列4気筒 2.0リッター直噴ターボ

●直列4気筒 1.5リッター直噴ターボ

直列3気筒 1.0リッター直噴ターボ

 動弁系はホンダの得意とするVTECを使い、高冷却シリンダーヘッド、クーリングギャラリーピストンなどを採用することで、より高圧縮で高効率なモデルを目指しているという。

 現在開発中の3つのエンジンだが、2.0リッター直噴ターボは最高出力206kW(約280PS)以上、最大トルク400Nm、1.5リッター直噴ターボは最高出力150kW、最大トルク260Nm、1.0リッター直噴ターボは95kW、200Nmを発生する。2.0リッター直噴ターボの圧縮比は9.8となっており、熱効率改善のためのさらなる上昇余地があるという。この直列4気筒 2.0リッター直噴ターボは、次期「シビック TYPE-R」に搭載することを想定して開発している。

 9月に開催されたフランクフルトモーターショーで現車こそお披露目がなかったが、動画でニュルブルクリンクなどを走行する開発シーンが公開された次期シビック TYPE-R。目標は、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでのFF最速タイムをマークすることで、メガーヌRSが記録している8分7秒というタイムを超え、8分を切るタイムを目指している。

 2013 Hondaミーティングでは、これらVTECターボを搭載した車両に乗ることができたので、それらの印象をお届けする。

圧倒的な加速力で、200km/hに到達する2.0リッター直噴ターボ搭載車

 直列4気筒 2.0リッター直噴ターボ搭載車は、欧州シビックの5ドアハッチバックがベースとなっている。前後のフェンダーは、235/35 R19という大径のタイヤを履かせるためにワイド化されていて、リアには大型のウイングを装備。フロントバンパーとリアバンパーにも専用のエアロパーツが付属し、高速域でのダウンフォースを稼ごうとしていることが分かる。

 与えられた試乗時間は、4kmの高速周回路を2周の計8km。午前中は路面がウエットだったため制限速度が設けられていたそうだが、試乗のタイミングではやや路面が濡れている程度で、制限速度も解除されていた。左ハンドルの運転席に座り、助手席に座っている技術担当者からレクチャーを受ける。

 コースの制限速度は解除されているが、このVTECターボは便宜上と安全を考慮してだろうが200km/hでリミッターが作動するようになっているという。コースインしてアクセルを踏んでいくと低回転域からしっかりとトルク感があり、猛烈に背中を押していく加速を披露する。6速MTを操作し、1速から2速、3速へとシフトアップしていくがトルクフルなためホイールスピンしているのが分かる。スピードメーターはあっという間に100km/hを超え、リミッターの200km/hまで息継ぎなく加速する。リミッターが作動する速度域でも車両のスタビリティは非常に高く、不安定さはまったく感じない。ダウンフォースも効いているはずで、車両がリフトする感覚もなかった。エンジンの特性としてはターボモデルらしい抑揚があり、3000rpm以降からレブリミットの7000rpmまでターボ過給により強烈な加速感を体感できる。ウエストゲートから排出されるターボ過給の音は、レーシーでドライバーを高揚させるものだ。

 この試作車には走行モードの切り替えが装備されていて「R」モードにすると、さらに過激さが増す。アクセルレスポンスが向上し、それに合わせてステアリングのフィーリングもよりかっちりする。通常のモードでも十分にレーシーだが、よりハンドリングファンな状況へと性能を引き上げる。わずか数kmの走行だったが、とてつもなく高い性能で、このままのセッティングでサーキットへ持って行っても十分に速く、楽しく走行ができる素性を持っていたことは確かだった。

1.5リッター直噴ターボ搭載車は、ILXを軽々加速

1.5リッター直噴ターボ搭載車

 4気筒1.5リッター直噴ターボ搭載車は、かなり燃費方向に振ったセッティングで、名称は同じVTECターボながらまったく異なる性格を持つ。狙っている性能は、従来の1.8リッター自然吸気エンジンに対して出力で45%アップ。2.0リッターや2.4リッタークラスのエンジンを置き換えることを想定しているのだろう。

 試乗車はアキュラの「ILX」がベースとなっていて、トランスミッションは新型オデッセイと同様のCVTとなる。車両の重量は1400kgを超すくらいなので、この1.5リッターエンジンが想定するモデルにマッチしているのだろう。

 走り出すとどの回転域でもフラットなトルク特性で、レブリミット付近の6000rpmまでしっかりとパワーが付いてきている。加速性能に不満もなく、3人乗車で走行したのだが十分なトルクフィーリングを得られた。ただ、ターボモデルらしい元気さはなく、これについては燃費志向に振ったセッティングとなっているそうで、よりパワフルでターボらしさを出すことも可能だという。

 最後に、もっともコンパクトな3気筒1.0リッター直噴ターボだが、新規に開発した3気筒エンジンにターボ過給を行っているモデルとなり、3気筒特有の振動を抑えるためのバランサーは付いていない。狙っている性能としては、従来の1.8リッター自然吸気エンジンに対して出力で15%、効率で20%アップだという。

1.0リッター直噴ターボ搭載車

 テスト車両は欧州シビックで、このエンジンはBセグメントに搭載することを想定しているようなので、車重やボディーはやや大きいのかもしれない。

 それでも走ってみると加速でもたつく感覚はない。100km/hを超えてもスムーズに加速していき、さすがに150km/hからの加速は鈍るが、国内での使用を想定するならば十分な性能を持っている。3気筒ということでノイズや振動が気になるかもしれないが、テスト車両の欧州シビックに搭載している限りは、3気筒エンジンだということは感じられないほどだった。

 ホンダは、次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」により刷新された、1モーター、2モーター、3モーターのハイブリッドシステムの導入を進めている。VTEC機構を持つダウンサイジングターボも、アース・ドリームス・テクノロジーのパワートレーンとして位置づけられており、ハイブリッド、ダウンサイジングターボ、高効率なディーゼルエンジンと、全方位でエンジンラインアップを整えてきているのが明らかになった。

(真鍋裕行 / Photo:安田 剛)