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首都高、3月7日16時に開通予定の中央環状品川線で「開通カウントダウンセレモニー」開催
日本最長の道路トンネル完成へ
(2015/1/28 12:54)
- 2015年1月27日開催
首都高速道路は1月27日、3月7日16時に開通を予定している首都高 中央環状品川線(B湾岸線-3渋谷線)において、「開通カウントダウンセレモニーおよび大橋ジャンクション建設現場見学会」を報道陣向けに開催した。
中央環状品川線は首都高と東京都が共同で建設しており、これが完成することで中央環状線(C2)が全通。首都圏はもちろん、間接的な効果も考慮すれば日本の物流全体を支えるといっても過言ではない「首都圏3環状道路(C2のほか、外環道[東京外かく環状道路]、圏央道[首都圏中央連絡自動車道])」の一角が、いよいよこの春に全線走行可能になる。
今回の開通区間は約9.4kmで、そのうちの約8.4kmとほぼ大半がトンネルで構成される。このトンネル区間である「山手トンネル」は、すでに開通している渋谷線~池袋線区間と合わせると、その全長は約18.2km。これまで日本最長だった関越トンネルを大きく上まわり、道路トンネルとしては日本一の長さになる。
カウントダウンセレモニーに登場した首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏は「3月7日土曜日に開通する中央環状の品川線。これによりまして、首都圏3環状道路の中で最初に中央環状線、全長47kmが開通します。振り返りますと昭和38年に、昭和39年の東京オリンピックの前年に計画されてから、実に50年という時間を要した大事業だった」と前置きしつつ、今回の開通により大きく3つの効果が見込まれるとした。
1つ目が時間の短縮。例として新宿から羽田空港までの移動を挙げ「現在は40分ぐらいかかっているのが、20分程度で行けるようになる」と、開通による時短効果を説明。
2つ目は首都高全体の効率化にも繋がる渋滞の緩和だ。現在、首都高の中心にある都心環状線の通過交通は1日40万台ほどで、そのうち2割(約9万台)が中央環状線の内側に目的を持たない車両だという。品川線が開通すると2万台がこちらを利用することが見込まれ、都心環状線の交通量は約5%減少するとの試算結果を公表した。「5%というと大したことはないと思われるかもしれないが、中央環状線から内側の渋滞は4割減少する。具体的には金曜日の渋滞が土曜日並みになり、経済的にも大変効果がある」と語り、大きな期待を寄せた。
そして最後に、ルート選択の幅が広がるという点で防災力の強化を挙げた。「3号渋谷線で事故などがあって通行止めになった場合、(東名高速方面からは一般道しかルートがなく)大きく迂回する必要がある。品川線の開通により(レインボーブリッジ経由や9号線経由など)ルート選択の幅が広がる」とした。
トンネルそのものにも触れ、今回の区間は「直径12.5mほどあるトンネルは、シールドマシンを使って8kmを一気にくりぬいた」もので、ジャンクション部分は「地中で2本のトンネルを1本にする、世界初の非常に高度な技術を使った工法」であると胸を張った。
最後に菅原氏は、「3月7日まで残された時間はわずかだが、共同事業者の東京都ともしっかりと連携を強めて、首都高グループ全員一丸となって、3月7日に間違いなくお客様をお迎えしたい」と締めくくった。
カウントダウンセレモニーに次いで実施される大橋JCT(ジャンクション)見学会に先立ち、首都高速道路 東京建設局 局長 遠山雄一氏から同施設の概要が説明された。
まず、大橋JCTの特長として「2回転するループ状の連結路を介して、地下の山手トンネルと高速3号線の全方向に行き来ができる」ことを挙げた。首都高の場合、大橋JCTを除くと全方向に行けるのは三郷JCT、川口JCTの2個所しかない。だが、大橋JCTはループの大きさが陸上競技の400mトラックと同程度。高低差は70mと大きいが、コンパクトにまとまっている。これは「密集市街地にフルジャンクションを建設するためにこういう設計になった」と解説した。
このように規格外とも言える大橋JCTだが、さらに営業中の路線がある部分に新路線を接続するために採用されたのが「2つのシールドトンネルを地下だけで合体して1つにする」世界初の工法で、もう1つが「営業中のシールドトンネルの一部を切り取って拡大する」という前例のない工法だ。この2つの新しい技術を採用することで「世界最長の高速道路トンネルと世界一コンパクトな全方向移動可能なジャンクションが完成した」と説明している。