“48年間のありがとう”、多摩テック閉園に向けてのカウントダウン フィナーレイベント「Classic『モンキー』サンクスデー」開催 |
東京都日野市にある「多摩テック」は、1961年(昭和36年)にオープンした郊外型の遊園地。ゴーカートや各種のコースターなど多数の乗り物を取りそろえ、乗り物に乗る楽しみを伝える施設として開園した。実際、来場者も「多摩テックは乗り物が一杯ある遊園地」と認識しており、園内にある天然温泉施設の「クア・ガーデン」に加え、近隣には「多摩動物公園」もあることから、レジャー施設の豊富な地域として知られていた。
48年という長い歴史を誇る多摩テックの閉園日が9月30日に決まり(同時にクア・ガーデンも終了)、その日も近づいてきたことから7月4日~9月30日まで多摩テックでは、復刻版のアトラクションや、過去園内で使用された乗り物の展示など、グランドフィナーレイベントが開催される。そのオープニングを飾ったのが初日に行われた「Classic『モンキー』サンクスデー」だ。
本田技研工業の原付オートバイ「モンキー」は、そのかわいい外見と、コンパクトなサイズでロングセラーとなっているモデル。このモンキーの原型となったモデルは、多摩テックなどの乗り物として作られたもので、遊園地とのゆかりも深いことからフィナーレイベントのオープニングを園内パレードで飾ることになった。
開会の挨拶を行う高橋国光氏(左)と長谷見昌弘氏(右) |
全国からモンキー乗りが集まったほか、ゲストとして多摩テックの初代所長を勤めた高橋国光氏や、多摩テックに併設されていたオートゲレンデをホームコースとしていた長谷見昌弘氏が招かれ挨拶を行った。現在、両氏ともSUPER GTで監督業を行っているが、4輪レーサーとしてはもちろん、かつては2輪レーサーとして活躍しており、日本のモータースポーツの黎明期を支えてきた。
高橋氏は、多摩テックがなくなる寂しさを語るとともに、全国から駆けつけてきてくれたモンキーユーザーにお礼を述べ、今日1日を楽しんでいただきたいとし、長谷見氏は多摩テックは自分が腕を磨いた場所であり、ここを作ったホンダ創業者の故本田宗一郎氏に感謝を述べるとともに、自身のモンキーを持ち込んだことを明かした。
園内パレードの後は、各ユーザーが持ち込んだモンキーの紹介が行われた。モンキーは1967年に国内用の市販モデルが登場して以来、40年以上の歴史を持つため、これまで数多くの改良が行われてきた。基本構成として、スーパーカブ系のエンジンを用いている部分は変わらないが、サスペンションの装備(初代モデルはサスペンションがなかった)、ロータリー式からリターン式へのトランスミッション変更などが行われてきた。また、モンキーはその手軽なサイズから、カスタム化するユーザーが多く、実際に会場ではホンダCB750風にしたモデルなどを見ることができた。
高橋氏に話を聞いたところ、「乗り物遊園地として多摩テックはオープンし、乗り物に対する夢と希望を乗せて今までやってきたと思っています。自分も、世界GPで日の丸を揚げた後(高橋氏は多摩テックの開園と同じ年に、オートバイの世界GPで日本人として初優勝)初代所長に就任させていただいた。多摩テックは同時に作っていた生駒テック(奈良県生駒市にあった遊園地)の次にオープンする予定だったのですが、工事が順調に進み生駒テックより先にオープンしたのを鮮明に覚えています。その多摩テックがなくなってしまうのは非常に残念ですが、多摩テックがあったからこそ、(モータリゼーションの発達した)今日があるのではないかと考えています。自分もオープン当時に多摩テックでモンキーで遊んだ覚えがあり、多摩テックはなくなってしまうものの、モンキーのような楽しい乗り物はこれからも多くの人に愛されていってほしいと思います」と、懐かしそうに当時のことを語ってくれた。
多摩テックでは、このClassic『モンキー』サンクスデーを皮切りに、多くのイベントが予定されており、7月11日からはプール営業とともに“水びたし”をテーマとしたイベントを、7月26日には鈴鹿8耐のパブリックビューイングが開催される。また、多摩テックの歴史を振り返るパネル展示も行われているので、ぜひ閉園前に一度訪れてみてほしい。
(編集部:谷川 潔)
2009年 7月 8日