フォード、すべてを刷新した新型「エクスプローラー」発表 新開発のV型6気筒3.5リッターエンジン、モノコックボディーを採用 |
フォード・ジャパン・リミテッドは5月24日、SUV「エクスプローラー」をフルモデルチェンジして予約受付を開始した。価格はエクスプローラー LIMITEDが530万円、エクスプローラー XLTが440万円で、納車は9月ごろを予定する。また、同日に都内で新型エクスプローラーの発表会を開催。その模様をお伝えする。
エクスプローラー LIMITED | エクスプローラー XLT | |
価格 | 530万円 | 440万円 |
ステアリング | 左 | |
乗車定員 | 7名 | |
サイズ(全長×全幅×全高)[mm] | 5020×2000×1805 | |
ホイールベース[mm] | 2860 | |
トレッド(前/後)[mm] | 1710/1720 | |
最低地上高[mm] | 265 | |
重量[kg] | 2170 | 2130 |
エンジン | V型6気筒DOHC 3.5リッター | |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 216(294)/6500 | |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 345(35.2)/4000 | |
燃料消費率(10・15モード燃費)[km/L] | 7.6 | |
トランスミッション | 6速AT | |
駆動方式 | 4WD | |
タイヤサイズ | 245/60 R18 |
これまでエクスプローラーは、上級グレードとしてV型8気筒SOHC 4.6リッターの「V8 4.6L Eddie Bauer」を、ベーシックグレードとしてV型6気筒SOHC 4.0リッターの「V6 4.0L XLT」をラインアップしていたが、今回のフルモデルチェンジに伴いエンジンを新開発のV型6気筒DOHC 3.5リッターに統一した。
従来型のV型8気筒SOHC 4.6リッターエンジンは最高出力218kW(296PS)/5750rpm、最大トルク407Nm(41.5kgm)/4000rpmを発生していたが、新型となるV型6気筒DOHC 3.5リッターエンジンは最高出力216kW(294PS)/6500rpm、最大トルク345Nm(35.2kgm)/4000rpmと、同等の出力を発生。
また、アルミブロックの採用でエンジン単体重量を軽減するとともに、吸排気独立可変バルブタイミング機構(Ti-VCT)といった先進技術を取り入れたことで10・15モード燃費を7.6km/Lとし、従来のV型8気筒エンジンやV型6気筒エンジンから約20%の燃費改善に成功した。
インテリアでは、用途に合わせてさまざまなシートレイアウトが可能な3列シートを採用し、フルフラット時の荷室は最大で2285Lまで拡大。定員いっぱいに乗車しても、595Lの荷室容量を確保している。2列目は6:4、3列目は5:5の分割可倒式シートを備え、LIMITEDでは3列シートを電動で操作できる。
エクステリアデザインは力強いダイナミックなフォルムで、ボディーと同色のCピラーと黒く塗られたDピラーは伝統的な特色だが、新型エクスプローラーではAピラーとBプラーがブラックアウトされ、特徴的な印象を与えている |
新型エクスプローラーのインテリアは、プレミアムなヨーロッパ流と独創的なアメリカ流のデザインを取り入れたと言う。3列シートすべてで大人が座れる空間を確保し、2列目、3列目は荷物のサイズに応じて多数のシートアレンジを実現する |
フォード・ジャパン・リミテッド マーケティング部ディレクター 木下洋氏 |
発表会では、新型エクスプローラーについてフォード・ジャパン・リミテッド マーケティング部ディレクター 木下洋氏が概要を説明した。
新型エクスプローラーは昨年12月に米国で発売開始し、2011年1~4月で累計4万2000台を販売。この数は対前年比216%に上り、「ほぼ毎月、前年比の2倍を超える販売を記録している」(木下氏)と、本国での人気の高さを説明する。
その新型エクスプローラーの魅力は、大きく分けてオフロードでの走破性やハイパワーエンジンといった「本物のSUV」であること、革新的なインターフェイスを採用するなど「イノベーション/先進性」があること、見た目、触感にこだわった仕上げと静粛性を実現した「高い商品価値・品質」を実現したことだと言う。
新型エクスプローラーはシカゴ工場(米イリノイ州)で生産され、世界90カ国以上で販売される | グレードはLimitedとXLTの2ラインアップ。いずれもV型6気筒DOHC 3.5リッターエンジンを搭載する |
同社のSUVラインアップであるエスケープ、エクスプローラー、クーガに共通する特徴と、それを裏付ける商品特性 | 新型エクスプローラーの3つの特徴 |
「本物のSUV」であるキーポイントは、自動的に前後のトルク配分をコントロールする新開発の「インテリジェント4WDシステム」と、路面状況に合わせて5つのモード(ノーマルモード含む)を選択できる「テレイン・マネージメント・システム」を搭載したこと、さらに新開発のV型6気筒エンジンやマニュアルシフト機能付きの6速ATを組み合わせたこととした。
「先進性」については、「新型エクスプローラーでもっとも従来モデルから変わったのはボディー構造」だと木下氏は言う。そのボディーでは、従来モデルで採用していたラダーフレームから、高張力鋼板を多用したユニボディー(モノコックボディー)に変更し、強固かつ軽量化であるとともに、優れたNVH(騒音、振動、ハーシュネス)を実現した。木下氏は「ユニボディーはハンドリング、燃費性能などを改善する中核を担う存在」と説明したほか、上級モデルのリンカーンで採用される遮音材などを使用することなどを挙げ、静粛性能についてもアピールした。
また、「先進性」ではもう1つの中核があるとし、ドライバー・コネクト・テクノロジー「MyFord Touch」を紹介。MyFord Touchは、各種快適装備の設定や調整を統括制御できるシステムで、スピードメーター左の4.2インチマルチファンクションディスプレイにはトリップメーター、消費燃料、航続距離、タコメーターなどを表示でき、スピードメーター右側の4.2インチインフォテイメントディスプレイには携帯電話コントロールやオーディオ、空調関連の設定などの情報を表示できる。これらは8インチタッチパネルまたはステアリングスイッチ、音声での操作を可能にしている。
「高い商品価値・品質」については、インテリアは欧州メーカーのプレミアムモデルをベンチマークとしたと言い、ソフトタッチ素材を多用したことによって「従来モデルから質感を大幅に改良できた」(木下氏)と説明。また、「従来からミニバンのように使えるSUVとして好評を博してきたが、新型では3列目シートも大人2名が座れる」「フル乗車でもCセグメントのワゴン並みのカーゴルームスペース(595L)を確保できた」と、居住性の高さについても強調した。
代表取締役社長 ティム・タッカー氏 |
発表会会場には代表取締役社長 ティム・タッカー氏も登壇し、新車計画や日本市場での販売状況などについて述べた。
ティム氏は同社のブランドの柱である「Quality(品質)」「Smart(スマート)」「Safe(安全性)」「Green(グリーン)」について説明したほか、北米・欧州市場を中心に2012年までに合計5車種の電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)を投入すること、2013年までにグローバルで全車種の約80%に「EcoBoost」エンジンを設定することを説明。
EcoBoostは同社の省燃費技術の核として位置づけるもので、ガソリン直噴ターボエンジンを指すが、ティム氏はこのEcoBoostエンジンを搭載した新型エクスプローラーを2012年初頭に追加導入することを明らかにした。
そのほか、ティム氏は新型エクスプローラーについてプレミアム・ブランドを基準とした品質を確保したことや、MyFord Touch、ユニボディーを採用したこと、従来よりも小排気量で環境に優しいエンジンを採用したことなどを挙げ、その魅力をアピールした。
フォードブランドの4つの柱 | |
フォード・ジャパンの2010年の販売台数は対前年比105%と伸長。2011年1月~4月は東日本大震災の影響を受けながら102%の実績となった | 2012年初頭にEcoBoostエンジンを搭載した新型エクスプローラーを追加することを明らかにした |
(編集部:小林 隆)
2011年 5月 24日