好評につき第2弾が開催された「クリーンディーゼル実車体験試乗会」
ボッシュのテストコースでクリーンディーゼル車3台を乗り比べ

「クリーンディーゼル実車体験試乗会」が開催されたボッシュ塩原試験場

2011年11月26日開催



第1回と同様、3台の試乗車を用意して開催された

 クリーンディーゼル普及促進協議会は11月26日、ボッシュの塩原試験場(栃木県那須塩原市)で、2回目となる「クリーンディーゼル実車体験試乗会」を開催した。これは、10月29日に初開催した実車体験試乗会に多くの申し込みがあり、また、実際に参加した人からの評価が高かったため、急遽追加開催となったもの。

 第1回の申込期間より短かったにもかかわらず、前回と同様約200名の応募があり、1部(午前の試乗)に20名、2部(午後の試乗)に20名の計40名が当選した。

 試乗可能車種は、初回と同様の3台。メルセデス・ベンツ「E350 BlueTEC ステーションワゴン アヴァンギャルド」「ML350 BlueTEC 4MATIC」「CLK320 CDI カブリオレ(日本未発売)」で、最新のディーゼル車を、ボッシュ塩原試験場内にある35度バンク付きテストコースで体感できる。

E350 BlueTEC ステーションワゴン アヴァンギャルドML350 BlueTEC 4MATICCLK320 CDI カブリオレ

試乗を中心にしたプログラム
 試乗の前に、クリーンディーゼル車や試乗コースに関する簡単な説明が参加者に向けて行われた。冒頭挨拶に立ったクリーンディーゼル普及促進協議会 事務局長 山中隆一氏は、クリーンディーゼル車の現況について簡単に解説。その後、ボッシュのスタッフから、周回路に関する制限速度の説明が行われた。制限速度は初回と同様、建物前のストレートが100km/h、35度バンクが70km/h、裏ストレートが120km/h、フラットな最終コーナーが50km/h。普段は体験することのない35度バンクの走行と、クローズドコースならではの120km/h走行ができるのが魅力だ。

クリーンディーゼル普及促進協議会 事務局長 山中隆一氏車載ビデオを使ってコース説明35度バンク(左側のコーナー)を持つボッシュ塩原試験場の周回テストコース

 クリーンディーゼル車の構造については、モータージャーナリストの藤島知子さんが説明を担当。テストコース前に置かれたメルセデス・ベンツ E350 BlueTEC アバンギャルドを例に取り、同車が搭載するコモンレールシステム、DPF(Diesel particulate filter)、尿素SCRについての解説を行った。藤島さんは、試乗会開催中は待合会場でクリーンディーゼルに関する疑問点に個別に答えていたほか、参加者から一緒に記念写真に写ってもられえるよう頼まれるなど、その人気の高さがうかがえた。

クリーンディーゼル車の構造について説明する、モータージャーナリスト 藤島知子さん

 また、今回はクリーンディーゼル車のコア部品とも言える、コモンレールや燃料噴射用の高圧ポンプ、ピエゾインジェクターを展示。カットモデルの部品もあり、その構造が分かるようになっていた。

コア部品展示も実施。写真はコモンレールエンジンコントロールユニット
直噴用高圧ポンプ
ピエゾインジェクター
試乗を待つ参加者が、時間をもてあまさないようRCカーも用意されていた「Clean Diesel Power」と書かれているが、もちろん電動RCカー

 試乗は、それぞれのクルマを2周でき、計6周の走行が可能。スケジュールよりスムーズに試乗が進んだため、興味あるクルマを再度試乗可能な時間も設けられ、参加者を喜ばせていた。

 試乗を終えた参加者に、クリーンディーゼル車の印象を聞いてみたところ「あまりに静かなので、ディーゼル車のイメージが変わった」「(バンクを抜け)100km/h以上へと加速するトルクがスゴイ」「振動がほとんど分からないのが驚き」と、ポジティブなものがほとんど。「自動変速がディーゼルならではのトルクをよい方向に引き出している」と分析する人や、「オープンカーでもっと遠くまで行きたい」と語る人など、晩秋の青空の下、クルマとの新しい出会いを楽しんでいたようだった。

試乗車が木陰から登場試乗を待つ3台のクリーンディーゼル車いよいよコースイン
35度バンクでは、普段は感じられない縦Gが楽しめる

 クリーンディーゼル普及促進協議会よると、年内のクリーンディーゼル実車体験試乗会は、これが最後となる。2012年には、新たなクリーンディーゼル車を加えての試乗会を予定しており、東日本での開催が続いたことから、西日本での開催を検討中だと言う。

 その構造からガソリンエンジンよりも熱効率に優れ、コモンレールという新たな武器を手にしたディーゼルエンジンだが、日本ではかつてのマイナスイメージを払拭するには至っていない。しかしながら、試乗会でクリーンディーゼル車に乗った人の多くは、豊かなトルク特性から来る、ガソリン車とは異なる走りの性能を実感していたようだった。

 藤島さんは「クリーンディーゼル車には二面性がある。ぐっと踏み込めばパワフルに後押ししてくれるし、ゆったり走りたい気分のときは心地よく走れる。すごく気まぐれな女性の気分にもぴったりです」と、語ってくれた。

藤島さん試乗中。クリーンディーゼル車には二面性があると言う

(編集部:谷川 潔)
2011年 11月 28日