マツダ、フラグシップモデル新型「アテンザ」「アテンザ ワゴン」発表会 「持てる技術のすべてとこだわりを結集して作り上げた、新世代商品第2弾」 |
マツダは11月20日、同社のフラグシップモデル新型「アテンザ」「アテンザ ワゴン」を発売した。同日、都内において発表会を開催した。グレード構成や価格、各グレードの燃費などについては、関連記事をご覧になっていただきたい。
アンベールを待つ、新型アテンザ(写真左)とアテンザ ワゴン(写真右) |
マツダ株式会社 代表取締役会長 社長兼CEO 山内孝氏 |
発表会に登壇したマツダ代表取締役会長 社長兼CEO 山内孝氏は、「アテンザをマツダのフラグシップカーと位置づけて開発してきました。このクラスのミッドサイズカーは各社の技術の粋を集めて開発された各ブランドを代表する名車が揃っています。それはマツダにとっても同じです。まずは、アテンザが私たちにとっていかに重要なクルマであるかお話ししたい」と、語り始めた。
■Zoom-Zoomを最初に体現したのは初代アテンザ
「私たちはちょうど10年前、2002年5月に初代アテンザを国内で発表しました。それは、厳しい経営環境の中で私たちが18カ月ぶりに発売する起死回生の新車でした。発表会で『このクルマはマツダ82年の歴史の中で忘れられないクルマの1つになる』と挨拶をしたことを鮮明に覚えています。新生マツダのブランドメッセージ『Zoom-Zoom』を最初に体現した初代アテンザはパワートレーンやプラットフォームなどを一新し、走る喜びを徹底して追求しました。この走る喜びでアテンザは、初代と2代目をあわせて販売累計は240万台。また、世界各国で186もの賞を受賞するなど大変好評を得ました」「初代アテンザとともに新しいブランドメッセージ『Zoom-Zoom』も大きな話題を作ってきました。子供のころ誰もが経験した動くものに対する感動、憧れを『Zoom-Zoom』という一言に表現し、世界中でキャンペーンを開始しました。以来、一貫して私たちはお客様にこころときめくドライビング体験を提供するためマツダブランドのDNAを、スタイリッシュ、インサイトフル、スピリッテッドと定め、これを徹底する商品作りとマーケティングに徹してきました」と、Zoom-Zoomに始まるマツダ10年の取り組みを紹介した。
発表会は初代アテンザの紹介から始まった |
新型アテンザがアンベールされた |
新型アテンザ | 新型アテンザ ワゴン | ディーゼル+6速MTモデルの室内 |
初代アテンザとの対比を見せる、新型アテンザ | 赤いスポットライトを受ける、特徴的なヘッドライト | マツダブランドのDNA |
2012年には、新世代車両設計コンセプト「SKYACTIV(スカイアクティブ)」を、エンジン、トランスミッション、ボディー、シャシーのすべてに採用した初のモデル「CX-5」をグローバルで発売。山内CEOは、このCX-5発売によってマツダは新しいステージに入り、世界中で供給が追いつかないほどの人気になっていると言う。そのため、夏の連休(マツダの)に1度目の増産体制を構築、年末年始の休みには2度目の増産体制を行うことで、世界の需要に応えていく。
■3代目アテンザは、今持てる技術のすべてとこだわりを結集して作り上げた新世代商品の第2弾
「3代目アテンザの発表会で、私はまたこのクルマこそマツダの歴史上最も輝く1台になるという不思議な巡り合わせを感じています。新型アテンザは魂動(こどう)デザインに加え、我々が今持てる技術のすべてとこだわりを結集して作り上げた新世代商品の第2弾です。走る喜びと優れた環境安全性能の調和を実現したスカイアクティブの最高峰ともいうべきフラグシップモデルに仕上がっています」と述べ、世界で年間約500万台のこのクラスの市場において、欧州、北米、オーストラリア、日本、中国など世界120カ国以上に導入することで、日本では月販1000台、世界では年間約24万台の販売を目指していく。
フルスカイアクティブ車第1弾「CX-5」 | アテンザの属するセグメントの世界販売台数 |
アテンザの販売目標 | 国内販売目標は月販1000台 |
マツダは、この新型アテンザにCX-5に引き続いてSKYACTIV-D 2.2(スカイアクティブ 2.2リッターディーゼルエンジン)搭載車をラインアップ。新たにSKYACTIV-G 2.5(スカイアクティブ 2.5リッターガソリンエンジン)や、6速MT「SKYACTIV-MT」搭載車を国内導入する。そのほか、アイドリングストップ機構「i-stop」、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」を日本では全車に標準装備。キャパシターを蓄電器に使ったi-ELOOPは、マツダが世界で初めて乗用車に導入するもので、i-stopとの組み合わせで燃費を改善している。
■ガソリン車は30~40%、ディーゼルは2.5リッターガソリン車と比べ70%の燃費向上
この燃費について山内CEOは、「フルスカイアクティブ技術の採用で、ガソリン車は30~40%の燃費向上、ディーゼルは2.5リッターガソリンモデルと比べ70%以上の燃費向上を実現しました。スカイアクティブディーゼルで、同クラスのハイブリッド車に匹敵する22.4km/Lを達成しました」と言い、このJC08モード燃費22.4km/Lはセダンの6速MT搭載車だが、6速AT搭載車でも20.0km/Lと、「V型8気筒4リッターエンジンに匹敵するトルクを発生するクルマ」として、極めて優れた燃費値となっている。
アテンザでは、SKYACTIV-G 2.5とSKYACTIV-MTを新導入 | 乗用車としては世界初となるキャパシター使用した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」 | SKYACTIV-D 2.2とSKYACTIV-MTを組み合わせたセダンでは、JC08モード燃費が22.4km/Lとなる |
最後に山内CEOは、新型アテンザの意義を「1.マツダブランドの象徴。2.モノづくり革新。3.売り方革新」にあるとし、それぞれについて説明を行った。
「第1にマツダブランドの象徴。10年前と同様にマツダブランドの新しいステージが始まります。マツダがプレミアムなブランドになるという夢に向かい一歩踏み出すきっかけになるクルマが新型アテンザです。決して高額車を販売するプレミアムブランドになるといっているわけではなく、マツダが目指すプレミアムなブランドとは、お客様の人生においてマツダがかけがえのない存在になることです。お客様との間に特別な強い絆を持ったブランドになること。その願いを込めて、世界で最も美しい赤、新色『ソウルレッドプレミアムメタリック』を開発し、マツダのブランドを象徴する色として新型アテンザから導入していきます」と言い、新色にかける思いと、今後の新色展開があることを明らかにした。
「第2にモノづくり革新の成果。私はモノづくり革新による生産・開発・調達の効率化で1ドル=77円、1ユーロ=100円の為替レートでも日本から輸出して利益の出る体質にすると言ってきました。CX-5から始まった新世代商品導入以来、モノづくり革新によるコスト改善効果は顕著に表れていますが、新型アテンザ導入によりさら収益構造に貢献すると確信しています。また、マツダ6・アテンザは、防府工場での生産に加え、中国、ロシアでも生産を行うなどグローバル戦略に基づき生産されるクルマとなります」
「3つ目は売り方革新。フラグシップモデルの販売にあたり、その商品力に見合う価格での販売、残価の向上、商品に相応しい店舗環境の開発、より上質なサービスの提供など販売・サービス現場の革新にも、より一層拍車をかける所存です」と、生産革新や販売環境の改善を語った。
この新型アテンザについては、モスクワショーで賞をもらうなどしたほか、日本では月販目標の4倍以上の4300台をすでに受注するなど好調な滑り出しになっていると言う。山内CEOは、「10年前、最大の危機を乗り越えるため新しいマツダに生まれ変わろうと誓ったあのときの社内、それと同じ、またはそれ以上の機運が社内に満ちています。私たちがこだわる、走る喜びをお客様に提供するため、マツダグループ全員が心を1つにして新型アテンザの導入を進めていきます。ぜひ、マツダ渾身のフラグシップに試乗いただき、マツダのこだわりを確かめてください」と結んだ。
新色のソウルレッドプレミアムメタリック | 新型アテンザの意義 | 予約受注台数は4300台 |
■アテンザが提供する3つのキーバリュー
アテンザの開発背景については、マツダ 商品本部 新型アテンザ開発担当主査 梶山浩氏が説明。梶山氏はアテンザが提供する3つのキーバリュー(主要な価値)は、「魅せる」「昂ぶる」「繋がる」であると言う。
マツダ株式会社 商品本部 新型アテンザ開発担当主査 梶山浩氏 | 開発コンセプト | 3つのキーバリュー |
魅せるは、乗るたびに思わず心が凛とするデザインにあると言い、マツダの新世代デザインフィロソフィーである魂動(Soul of Motion)デザインを採り入れたコンセプトカー「靭(しなり)」、そして「雄(たけり)」を量販車として具現化。室内デザインについても上質なものにしたと言う。
昂ぶるは、人馬一体の爽快な走り。ドライバーが意のままに操る喜びのために、アクセル、ブレーキなどのペダル配置を最適化。アクセルをゆっくりと踏んだときと、早く踏んだときでシフトタイミングやエンジンレスポンスなどがことなり、アテンザがドライバーの思いを読み取り、人馬一体の爽快な走りを実現していく。
繋がるは、先進の安全・環境技術で社会・地球と共生する。運転しやすい視界の確保で良好な運転環境を確保するとともに、優れた操縦安定性で安全運転をサポート。人が安全に安心して運転できるようにしている。
ただ、人はミスをする場合があるため、万が一の場合は機械が介入。車線逸脱警報システム(LDWS)、リアビークルモニタリングシステム(RVM)などの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」が、安全をサポートする。
新型アテンザ、アテンザ ワゴンでは、より多くのユーザーにこのクルマのよさを理解してもらうために「アテンザ体感ショールーム」と名付けた特別な展示スペースを約200店舗に設置。「持てる技術のすべてとこだわりを結集して作り上げた」という、同社のフラグシップカーの魅力を伝えていく。
「アテンザ体感ショールーム」は、同社のWebから検索できるようになる予定 | グレードと価格 |
(編集部:谷川 潔)
2012年 11月 21日