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アバルトでS耐に挑戦する「ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム」が始動
(2013/1/30 00:00)
既報のとおり、「東京オートサロン2013」のフィアット クライスラー ジャパン「アバルト」ブースにおいて、今シーズンからアバルト「695 アセットコルセ」を擁する「ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム」(museo CINQUECENTO racing team:略称“mCrt”)」が、スーパー耐久(通称S耐)の国内6戦に参戦することを発表した。
mCrtは、愛知県南知多郡の自動車博物館「チンクエチェント博物館」を母体とするチームで、同館代表の伊藤精朗氏がチームオーナーおよび運営プロデューサーを務める。
ドライバーは、チーム監督を兼任する福山英朗選手と檜井保孝選手、大文字賢浩選手の3名。またフィアット クライスラー ジャパンが安全運転技術の習得とアバルト車のポテンシャル体感のために主催している公式ドライビングスクール「アバルト ドライビング ファン スクール」がチームをサポートすることも併せて決定している。
アバルト 695 アセットコルセは、これまでイタリアを筆頭とする欧州では次世代ドライバーを育成するためのワンメイク選手権に使用されてきたが、公式レースへの参戦は今回のS耐チャレンジが、恐らくブランド復活後では世界でも初の試みとなる。
スーパー耐久では1500~2000ccの車両による「ST4」クラスに特認車両としてエントリーするが、生来が本格的なレーシングマシンであるがゆえに、ワンメイク指定のヨコハマタイヤを装着するための16インチホイール、エアジャッキ、耐久レース仕様の燃料タンクなどの最小限の改造で、同じく今季からS耐に参戦するトヨタ「86」などの強敵を迎え撃つことになった。
一方mCrtでは、本格的なレース活動をより手軽にスタートさせたいドライバーたちを支援するために、ある意欲的なプロジェクトを並行して進めている。2013年シーズンの同チームは、1号車に当たる695 アセットコルセに加えて、もう1台のアバルト「500 アセットコルセ」を用意し、2台体制での参戦を視野に入れているというのだ。
この2号車は、伊アバルトがイタリア国内で展開しているドライバー支援プログラムを、日本国内のレース事情に合わせてアレンジした「ジェントルマンドライバー支援プログラム」に供される。そして、そのドライバー陣は一般公募によって編成され、2号車参戦費用の一部を負担するシステムとなっている。
1月19日には、富士スピードウェイにおいて11人の2号車ドライバー候補を集めた試乗会を実施。これまで1970年代の名車「フィアット・アバルト 1000TCR」でクラシックカーレースを楽しんできたジェントルマンドライバーから、「アバルト ドライビング ファン スクール」でスポーツドライビングの愉しみを再確認した上級アマチュアドライバー、あるいは元レースクイーンからドリフト女王に転身、現在ではS耐ST5クラスでヴィッツを走らせていた女性レーサー、さらには、昨シーズンのS耐ST4クラスのチャンピオンも500 アセットコルセを走らせ、その戦闘力を体感することになった。
さらにmCrtでは、チームスタッフの一員としてレースを応援できる「mCrtパートナーシップ」、あるいはパドックパスの支給される「mCrtサポーターズクラブ」など、ファンともにアバルトとチームを応援できる企画も数多く計画中とのことである。
今シーズンは、開幕戦のスポーツランドSUGO(4月20~21日)を皮切りに、第3戦 ツインリンクもてぎ(7月20~21日、第4戦 富士スピードウェイ(8月10~11日)、第5戦 岡山国際サーキット(8月31日~9月1日)、第6戦 鈴鹿サーキット(9月21~22日)、第7戦 オートポリス(11月9~10日)にエントリーする予定。
かつての黄金時代、1960年代からアバルトのファンが多かったとされる日本から、アバルトの新しいレース文化が発信されるのは、世界的に見ても非常に意義深いことと思われる。今後ともmCrtには要注目と言えよう。