ニュース

関空、国内空港初のFCV「ミライ」を業務用車両として導入

大規模水素ステーションや燃料電池フォークリフトも導入

2015年2月10日発表

空港維持の関連作業となるランウェイチェックや、航空灯火のライトチェックの車両として導入されるトヨタ「ミライ」

 新関西国際空港は2月10日、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を関西国際空港の業務用車両として4月に1台導入すると発表した。空港維持の関連作業となるランウェイチェックや、航空灯火のライトチェックの車両として使用される。

 同空港では、実証試験中の水素ロータリーエンジン自動車を1台をすでに導入しており、ミライは2台目の水素関連自動車の導入となる。また、空港内でミライの水素燃料の充填も可能となっており、ミライの運用と燃料充填の双方を完結させているのは、国内の空港では初となる。

 また同空港は、2期空港島内に燃料電池車に水素を充填できる大規模水素ステーション「イワタニ水素ステーション関西国際空港(仮称)」の設置も発表した。この施設は岩谷産業が事業会社として運営するもので、燃料電池車を所有する一般のユーザーも利用することができる。敷地面積は約2500m2、延床面積は700m2にのぼり、国内の空港に導入される商用の水素ステーションとしては初、さらに国内最大規模のものとなる。運用開始時期は2015年末を目指している。同空港では今後、旅客輸送用のバスや貨物用車両についても水素エネルギーで走行する車両の導入を目指している。

2期空港島内に設置される大規模水素ステーション「イワタニ水素ステーション関西国際空港(仮称)」
関西国際空港の第2ターミナルビル アプローチ道路の途中に設置

 これに加え、燃料電池フォークリフトと水素インフラ実証運用開始を2015年から開始すると発表された。これは環境省の「平成26年度 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」にて採択された「燃料電池フォークリフトの実用化と最適水素インフラ整備の開発・実証事業」の一環として行われるもので、国際貨物地区において燃料電池フォークリフトの実証運用を開始し、2016年頃までに本格導入を目指す。

 このような燃料電池フォークリフトの導入はアジアの空港では初となる。燃料電池フォークリフトを導入することで、CO2排出量の削減や、3分の燃料充填で連続稼働できることから、充電時間や電池交換などメンテナンス時間の削減が期待できるとしている。最初の実証運用は燃料電池フォークリフトを2台開発し、医薬品専用共同定温庫(KIX-Medica)で開始されるとのこと。また、2016年には、液化水素貯蔵施設・貨物建屋内ディスペンサー及び高圧水素配管パイプライン設置を計画している。いよいよ、水素社会の実現に向けて様々な事業が本格的に動き始めている。

導入予定の水素を燃料とする燃料電池フォークリフト
燃料電池を充填するためのディスペンサー
水素を貯蔵するための圧縮水素容器・圧縮機・蓄圧器

(シバタススム)