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燃料電池車を間近に見れる「FC EXPO 2015(第11回国際水素・燃料電池展)」開催

トヨタ「MIRAI」からトレーラータイプの水素ステーションまで一堂に展示

FC EXPO 2015はスマートエネルギーWeek 2015の展示の1つ
2015年2月25日~27日開催

会場:東京ビッグサイト(東京都江東区有明)

入場料:Webから招待券請求で無料(業界関係者のみ入場可能)

 2月25日、燃料電池関連の展示会「FC EXPO 2015(第11回国際水素・燃料電池展)」が、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開幕した。同展示会は「スマートエネルギーWeek 2015」として、「PV EXPO 2015(第8回国際太陽電池展)」「バッテリージャパン(第6回国際二次電池展)」「第6回太陽光発電システム施工展」「第6回新エネルギー試作・加工展」「第5回エコハウス&エコビルディングEXPO」「第5回国際スマートグリッドEXPO」「WIND EXPO 2015(第3回国際風力発電展)」「第1回電力自由化EXPO」と併催となっている。

 年々規模が大きくなり、今回から新たに電力自由化に伴う新電力ビジネスの展示会も加わった。上記すべての展示会の合計出展社数は1580社にのぼる。会期は2月25日~27日で、開催時刻は10時~18時(2月27日のみ10時~17時)。Webサイトから招待券を請求して登録することで、いずれの展示会も無料で入場できる。主催はリード エグジビジョン ジャパン。なお本展示会は業界関係者向けの商談会となっており、一般入場は受け付けていないので注意して欲しい。詳しい内容は、専用のスマートフォンアプリ「スマートエネルギーWeek 2015」がiOSとAndroid用に提供されているので、そちらでも確認できる。

 FC EXPO 2015は、今年で第11回目となる燃料電池(Fuel Cell)の展示会。燃料電池車(FCV)の市販化によって注目が集まる燃料電池関連の最新製品が展示される。燃料電池車をはじめ、水素ステーション、蓄圧機、ディスペンサー、バルブなどが多数展示される。

燃料電池車や水素ステーションの展示

 燃料電池車を間近に見ることができるのが「HySUT(水素供給・利用技術研究組合)」のブース。HySUTは、燃料電池車と水素供給事業の普及促進のため民間団体によって2009年に設立された組合。自動車メーカーや石油、ガス各社など19社・団体が参加している。

 展示されていた燃料電池車は、トヨタ自動車「MIRAI」、日産自動車「X-TRAIL FCV」、本田技研工業「FCXクラリティ」の3台で、X-TRAIL FCVは構造が分かるようなカットモデルが展示され、電源が入っていてインパネの状態が分かるよう展示されている。すでに2014年12月から販売が開始され、受注増から増産が決まっている「MIRAI」への注目度が高く、会場では車内に着席できることもあって終始周囲をたくさんの人がとり囲んでいた。

トヨタ自動車「MIRAI」
MIRAIのボンネット内部
MIRAIの運転席
日産自動車「X-TRAIL FCV」
X-TRAIL FCVはカットモデルとして展示されていて、燃料電池スタックと水素容器が見える
X-TRAIL FCVの運転席は、電源が入っていてインパネの表示が確認できる
本田技研工業「FCXクラリティ」
FCXクラリティボンネット内部
FCXクラリティ運転席
FCXクラリティのトランクには可搬型インバーターボックスを積載しての展示

 燃料電池は、水素と空気中の酸素を電気化学反応させることで電気を取り出す。そのため、発電するためには水素が必要となる。水素は水素ステーションで圧縮された状態で貯蔵され、燃料電池車に搭載する水素タンクに補給する。そのための高圧水素ガスディスペンサー(水素供給機)も展示されていた。

 水素タンクは35MPaと70MPaの2種があるが、現在では高圧の70MPaが主流になりつつあるそうで、展示されていたディスペンサーも70MPaのものだった。

タツノ製の高圧水素ディスペンサー
水素を充填している際のディスプレイ
70MPaのディスペンサーノズル部
MIRAIの充填口。使用圧力は70MPa。水素貯蔵量は約5kgを3分程度で充填できる
左側に35MPaの、右側に70MPaの供給ノズルが用意されたディスペンサーも展示されていた。AIR PRODUCTS製で米国ではすでに使われていて、日鉄住金P&Eが国内向けとして扱う

 また水素ステーションは、すでにさまざまな規模が作られていて、移動や設置が容易なのも特徴。トレーラーで運べ簡単に設置できる可搬型や、小型で場所を選ばずタクシーなど運送業者が事業所内に設置可能なタイプなどもあった。まだ水素ステーションがまんべんなく網羅しているとは言えないので、しばらくはこういったタイプが要所で活躍すると思われる。

大陽日酸の定置、移動どちらにも対応した水素ステーション。トレーラーで運べる
このトレーラータイプの水素ステーションからMIRAIへ供給するデモが行われていた
本田技研工業とイワタニが共同で開発した「Smart Hydrogen Station(SHS)」という小型水素ステーション
SHSはコンプレッサを使わず、とても小さな高圧水分解システムだけでタンクに貯蔵する。現時点では35Mpaのみの対応
もっとコンパクトな可搬型の水素ステーション。ヤマト・H2Energy Japan製

燃料電池車で一般公道試乗も可能

屋外の一般公道試乗用に用意された燃料電池車

 このFC EXPO 2015では、燃料電池車を一般公道で15分ほど試乗できるイベントも開催。試乗可能な燃料電池車は、MIRAIとFCXクラリティ。車種は希望に応じてくれる。

 実際に試乗を体験してみたが、モーターでの走行は静かで低速トルクが太く、気持ちのよい加速が体感できる。加減速がとてもスムーズ。もちろんエンジン音はせず、かすかな作動音がするのみだ。試乗車がたくさん走っていても、後に残るのは水で排ガスのニオイがまったくないのも不思議な感じがする。

試乗車のMIRAI
試乗車のMIRAI運転席
試乗車のFCXクラリティ

 燃料電池車が販売され、2015年は「水素社会元年」と言われることもあり、FC EXPOの展示内容も一斉に各社が走り始めたことを感じる内容になっている。これからもゆっくりとだが、確実にエネルギーシフトが起きていくことは間違いない。

(村上俊一)