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ツインリンクもてぎで「トライアル世界選手権 第1戦」開催。藤波貴久選手が2日目に2位表彰台

優勝は2日連続でトニー・ボウ選手。「ホンダの母国・日本での連覇はこれ以上ない結果」

2015年4月25日~26日開催

2日目の上位3選手。優勝はボウ選手(中央)、2位は藤波選手(左)、3位はファハルド選手(右)
トライアル世界選手権のシーズン開幕戦がツインリンクもてぎで開催

 ツインリンクもてぎで4月25日~26日、「2015 FIM トライアル世界選手権 第1戦 ストライダー 日本グランプリ」が2日間に渡って行われ、シリーズ8連覇中のトニー・ボウ選手(Repsol Honda Team・スペイン)が圧倒的な強さを見せ2日間連続で優勝。2015年シーズンの開幕戦となる日本グランプリを完全勝利で飾った。

 また、藤波貴久選手(Repsol Honda Team・日本)は初日を4位で終えたものの、2日目は尻上がりに調子を上げ、最終局面で昨季ランキング2位のアダム・ラガ選手(GAS GAS Factory・スペイン)、同4位のジェロニ・ファハルド選手(BETA Factory・スペイン)を逆転し、2位にジャンプアップ。2015年初戦が終わった段階ではあるが、総合ランキングでも3位につけた。

子供用のランニングバイクである「ストライダー」がスポンサーということで、会場内ではストライダーの体験コーナーやレースも開催された

「トニーにも勝てるチャンスがある」と藤波選手

 初日は優勝がボウ選手、2位にファハルド選手、3位に2014年の日本グランプリで2日連続優勝を果たしているラガ選手が入り、藤波選手は4位。順位の上では表彰台まであと一歩というところだったものの、加点(少ないほど高順位になる)を見ると、ラガ選手の30ポイントに対して藤波選手は61ポイントと大きな開きがあった。

2日目の記者会見に臨む表彰台の3人。優勝したボウ選手は「昨日に引き続き、今日はいい1日になりました。ホンダの母国である日本で連覇、そして今日は藤波選手の2位で、チームとして上位独占という、これ以上ない結果となりました」とコメント

 藤波選手は、2日目に向け「30ポイント分は減らせそう」と考えていたものの、2日目の1ラップで24ポイントの加点となってしまった。しかし、その後の2ラップ目は17ポイントと調子を上げ、「バッチバチ入った」という3ラップ目は10ポイントと最小限の加点で仕上げる。「あの集中力があればトニーにも勝てるチャンスがあると思う」と振り返るほどの会心の走りだった。

 最終12セクションを走り終えた時点で、藤波選手は4位。しかし、その後に4ポイント差で3位を走るラガ選手が11セクションで痛恨の5ポイント加点となり、藤波選手と順位が入れ替わる。さらに2位だったファハルド選手も同じく11セクションで5ポイント加点。藤波選手が走行後の土壇場で逆転する形で2位に入った。

藤波選手のライディング

 シーズン終了後の2014年9月に膝の手術を行ったため、藤波選手は「半年間くらい、ほとんどバイクに乗れていなかった」と語るなかで臨んだ2015年の初戦。「日本に来るときは緊張していた」と話したが、自身の担当医が初日に合わせて三重県から駆けつけ、「痛みが出ながらも、その人(担当医)の助けもあって、3ラップ目まで自信をもって、集中力も切らさず2位をゲットできた」と明かした。

 2015年シーズンの第2戦は、5月30日~31日にチェコ・ソコロフで開催され、そこから第9戦となるスペイン・ヘレスで行われる9月のシーズン最終戦まで世界各地を転戦する。2014年は総合5位だった藤波選手だが、第1戦の勢いに乗ってさらに上位に食い込めるかが注目される。また、日本にもファンの多いチャンピオン、ボウ選手の9連覇にも期待がかかる。

圧倒的な強さを見せたトニー・ボウ選手
初日は2位、2日目は3位に入ったジェロニ・ファハルド選手
終盤のセクションでミスが相次ぎ、2日目の表彰台を逃したアダム・ラガ選手
アルベルト・カベスタニー選手は2日連続で5位
日本人ライダーでは藤波選手の次に高順位(初日9位、2日目7位)を獲得した小川友幸選手
黒山健一選手は初日8位と健闘したものの、2日目は10位で終えた
2日ともリザルトは12位だったが、勢いのあるライディングで魅せた野崎史高選手
最終12セクションは観戦料金のかからないゲート前の広場に設けられ、多くの観客が見守った
表彰台には藤波選手の子供たちが姿を見せた

(日沼諭史)