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写真で見るスズキ「スペーシア」「アルトエコ」

スペーシア

 スズキ「スペーシア」は、いわゆる軽ハイトワゴン。立ち位置的にはブランニューモデルだが、実質的には2008年に発売された「パレット」の後継モデルと言える。

 コンセプトは「広くて楽しい、みんなのワクワクスペース」。ボディーサイズに制限のある軽自動車だけに、遠目からのシルエットではパレットとあまり違いがないように見えるが、実はプラットフォームから変更されており、ホイールベースは25mm延長され2425mmとなっている。これをベースにボディーまわりでもAピラーの傾斜を弱めることで+5mm、バックドアの傾斜を抑えてルーフを延長して+40mm、ボディーサイドも傾斜を抑えて直立に近い形状とすることでルーフ幅を+60mmと広さを追求。クラストップとなる2215mmの室内長を確保したほか、室内幅1320mm、室内高1375mmと、極限と言える広々とした室内を実現している。

 本来であればボディーの面積が広がることは重量の増加を意味し、それは燃費の悪化にもつながりかねない。そこでスペーシアでは、最高1180MPa級の高張力鋼板をボディー全体の約42%に採用するとともに、内装部品やシート、足まわり、ドアなど隅々まで軽量化を徹底。パレットの同等グレード比でなんと最大で90kgもの軽量化を実現、クラス最軽量となる車両重量840kgを達成しているのだ。

 パワーユニットは昨年発売されたワゴンRをベースにさらに進化。直列3気筒DOHC 0.66リッター「R06A」型エンジンは、タイミングチェーンの細幅化により軽量化とフリクションを低減したほか、組み合わされるCVTもさらなる最適化を実施。ワゴンRで採用された「ENE-CHARGE(エネチャージ)」「新アイドリングストップシステム」「ECO-COOL(エコクール)」を組み合わせた「スズキ グリーンテクノロジー」も採用された。

 これらの相乗効果により、自然吸気エンジン/2WDモデルのJC08モード燃費は29.0km/Lを達成。これはパレットの22.2km/L(アイドリングストップなし)を凌ぐのはもちろん、車高が低く車両重量も軽いワゴンRの28.8km/Lをも凌ぐ数値。また、ターボエンジン搭載の2WDモデルにおいても26.0km/Lと、良好な数値を実現している。全車平成17年排出ガス基準75%低減、平成27年度燃費基準+20%を達成しており、エコカー減税により自動車取得税および重量税が免税(100%減税)となる。

 ラインアップは自然吸気エンジン搭載車が「G」と「X」、ターボエンジン搭載車が「T」の計3グレードを用意。ミッションはCVTのみとなるが、すべてのグレードに2WDと4WDが用意される。価格は122万8500円~153万5100円。ボディーカラーは新色のキャンドルオレンジメタリックなど7色のほか、XおよびTには「ホワイト2トーンルーフ」を設定。こちらのボディーカラーは全4色が設定される。

 撮影車は新色のフォレストアクアメタリック。

ボディーサイズは3395×1475×1735(全長×全幅×全高、4WD車は1740mm)mm。ワゴンRと比べると全長と全幅は変わらず全高のみ95mmアップしている。ホイールベースはパレットより25mm長いが最小回転半径は4.2mで変わらない
フロントウインドーがかなり立ったシルエット。フロントウインドーとサイドウインドーの間にもグラスエリアがあるのはパレット譲り
フロントマスクはグリルを薄く、アンダーグリルは大型化してスッキリとした印象
ラジエターは16mmから11.5mmに薄型化。フィンの改良により放熱性能は従来とほぼ同等と言う。ターボモデルはインタークーラーも装備
全グレードハロゲンヘッドランプを採用。ディスチャージはXとTにオプション設定(5万2500円
フェンダー部のサイドウインカーは白色レンズ仕様
リアドアは両側スライド式で開口幅580mm、開口高1230mm。ドア開口部が広いため70点ほどスポット増しが行われボディー剛性アップが図られている
XとTの左側リアドアにはワンアクションパワースライドドアを採用。これはドアグリップ部にあるボタンをワンプッシュするだけで解錠と自動開閉が可能な便利モノ
ガソリンは全モデルレギュラー仕様。タンク容量は27L
リアドアには大きなエンブレムが付く
アイドリングストップ付を示すバッヂ。新システムではブレーキを踏んで13km/h以下になるとエンジンが停止する
L字型のリアコンビランプ
ルーフも剛性を確保しつつ軽量化が行われている
エンジンは直列3気筒0.66リッターのR06A。自然吸気は最高出力38kW(52PS)/6000rpm、最大トルク63Nm(6.4kgm)/4000rpm。ターボは47kW(64PS)/6000rpm、95Nm(9.7kgm)/3000rpm
タイヤはGが145/80 R13、それ以外は155/65 R14。ホイールは全車スチール仕様
インパネ上面を15mm低くするとともにオーディオ部分を50mm前方に設定。余裕のある室内高と相まって開放感バツグンだ
ステアリングはウレタン仕様。メーカーオプションのナビを装着するとスポーク部にスイッチが付く。G以外はチルトステアリング機構も装備
カテキン・エアフィルター付のフルオートエアコンが全車標準装備
パーキングブレーキは足踏み式
キーレスプッシュスタートシステムは全車に標準装備される
メーターは常時発光式の3眼タイプ。メーター外周のメモリ部分がエコインジケーターとなっており、燃費効率のよい運転を行うと青から緑に変化。シフトインジケーター横にはエコスコアの表示も
メーカーオプションとなるクラリオン製スマートフォン連携ナビゲーション。6.2インチモニターでフリックやピンチイン/アウト操作に対応
記録メディアはマイクロSD。BluetoothのほかAUX入力も用意。「NaviCon」対応アプリを使うことで目的地データをナビに送信できる
地図は昭文社のデータを使ったもので観光ガイド「まっぷるマガジン」約130冊分のデータを収録
AM/FMチューナーのほかワンセグ受信も対応
インパネ右側のスイッチパネルにはアイドリングストップやスライドドアのスイッチを用意。オプションのディスチャージヘッドランプを装着するとオートレベライザになる
ステアリング下に収納スペースを用意
エアコン下にDC12Vソケット
インパネ下にも収納を用意
グローブボックス内にボックスティッシュの収納スペースを用意。上部には専用のリッドが設けられ、スマートに使うことができる
エアコン吹き出し口前のドリンクホルダーは助手席前だけでなく運転席側にも装備
バニティミラーは運転席側のみ
バックミラーの取り付け部にあるスリットにはハンズフリー用のマイク
XとTはオーバーヘッドコンソールを装備。こちらもボックスティッシュの収納が可能
フロントシートはベンチタイプ。中央部にはアームレストも付く
運転席ドア内張り。アームレスト下に小さめのミドルポケット、さらに下にはペットボトルが収まるポケットが付く
助手席にはシートバックポケットを装備
助手席の座面下にも収納スペース
ボックスを取り外すとエネチャージ用のリチウムイオンバッテリーにアクセスできる
乗車定員が4名なのでリヤのヘッドレストは2名分
XとTには高級車御用達の装備と言えるロールサンシェードを標準装備
リアドア内張りはシンプルながらペットボトルホルダーを装備
フルフラットなど多彩なシートアレンジが可能。助手席のシートバック前倒し機構を使えば長尺物の積載も可能
リアシートは2回の操作で収納できるダイブダウン機構を採用
左右とも収納すれば27型自転車(一部積載不可のものもあり)を積載できるほどのスペースが誕生する
展示されていたカットモデル

アルトエコ

 今回、一部改良によって「スズキグリーンテクノロジー」を搭載した「アルトエコ」。加えて軽量化やパワートレーンの高効率化、走行抵抗の低減などにより、従来の30.2km/Lから33.0km/Lにアップ。ガソリン車No.1となる省燃費を実現した。

 車両重量は発売当初740kgだったのに対し、2012年6月の改良で730kgとなり、今回はさらに20kgのダイエットで710kgを達成した。これは超高張力鋼板の採用やガラスの薄板化などによりボディーで約9kg軽量化したのをはじめ、シャシー全体で約4kg、ドアトリムなど内装部品で約2kg、シートで約1kgなど、細かな見直しの積み重ねによるもの。走行抵抗ではリアバンパー形状の変更やリアストレイクの追加、タイヤおよび空気圧の変更などにより低減を図っていると言う。

 グレードはベーシックグレードとなるECO-Lと、上級グレードとなるECO-Sの2タイプ。ミッションはCVTのみで、2WD(FF)と4WDが用意される。価格は90万円~110万円。

専用デザインのフロントグリルを採用
ECO-Sのセットオプション装着車はLEDサイドターンランプ付ドアミラーを採用
エンジンはスペーシアと同じ改良型のR06Aを搭載。自然吸気版のみで最高出力は38kW(52PS)/6000rpm、最大トルクは63Nm(6.4kgm)/4000rpm
インテリアはエコ専用となるライトグレー/ブラウンのカラーコーディネート
メーターもエコドライブアシスト照明を採用するなどエコ専用となる
シート表皮はライトグレーをベースにライトブルーのアクセントを加えた専用タイプ

(安田 剛)