飯田裕子のCar Life Diary

峠ソムリエ検定

 「峠ソムリエ」と聞いて(読んで)、「最近、何かにつけ“ソムリエ”って付けることが多いよね」という印象を持たれた方も少なくないのでは? 正直、私もそう思わなくもありません。

 語源を調べてみると、労役用の動物の使い手のことを意味するラテン語「sagmarius」「saumarius」が由来で、それが12世紀に入ってフランス語で「sommier」「sommelier」になって、言葉が意味する仕事が、王侯貴族の食事やワインを管理する内容に変わったのだとか。そんなソムリエ達、フランス革命で王侯貴族たちの華やかな生活が没落、破たんした後に、町のカフェやレストランでワイン係として働くようになったそうです。我々の認識の中では、ワインに精通しアドバイスできる人を“ソムリエ”と呼ぶことに始まり、今ではワイン以外でも“資格”や“検定”の意味合いを含む、社会的認知の高いものから趣味性の強いものにまで用いられているのですね。

 それで「峠ソムリエ検定」とは何ぞやと言えば、参加(チャレンジ)することで、峠を少しアカデミックな角度から見知る機会ができる、という感じでしょうか。クルマで峠と言うと、ドライビングを楽しむイメージを持っていても不思議ではありません。実際に私がこの検定を紹介した際、「ドライビング(ドリフトなど)の試験はあるんですか?」と数名の方から質問されました。が、15分程度で受ける筆記試験(選択式)になっています。

 峠道には古くから人や物が行き交った様々な歴史があり、自然があり地形があったりもします。それに魅入られた小説家や芸術家、そういった方たちによって生まれた作品もある。さらにドライビングについてもより安全なドライブを楽しむためのマナーなども改めて認識を深めて損はありません。

 「峠ソムリエ検定」はトヨタ86ソサイエティの中にあり、検定の日程や会場、内容、演習問題などが記載されています。それは確かに86ユーザーに向けたサイトであるとも言えますが、トヨタが86というスポーツカーを発表したことをきっかけに、トヨタ車ユーザーや86ユーザーのみならず、多くの方にもう一度ドライブする楽しさを知ってもらいたいという目的が根柢にあるそうです。

 そこで全国の峠セレクションを公募して投票数に応じてランクを決めたり、峠ソムリエ検定以外にも写真講座やドライビングテクニックを学ぶ講座なども解説中。スマートフォンにアプリをダウンロードし、峠セレクションに選ばれた峠でチェックインすれば記録に残り、自分の足どりを知るツールになるばかりか、その数が多い方が表彰されたりもするらしい。これらはトヨタ86やスバルBRZ以外のクルマに乗っている人も現在クルマを持っていない人も誰でも参加できる。

 なんて「公明正大なことを言ってるなぁ」と思われるかもしれませんが、実は私は前述したような峠ドライブの楽しみ方や考え方に賛同し、検定開催時に峠の楽しみ方をご紹介させていただいています。

 私が育った環境では、日常生活の中に峠道がありました。レースをしていた頃、富士スピードウェイに通った際も峠を越えて行きました。そして今でもクルマの試乗コースなどに利用します。日常から非日常まで峠を走ったキャリアはかなり長く自慢できるかもしれません(笑)。だから、講師のお話しをいただいたときに「やってみたい!」と思った次第です。

 美しい山並みや風景の中を走るドライブはそれだけで楽しいものですが、何かちょっとしたきっかけでもっと違う興味を抱いたり知識を深めたりすることができるのではないでしょうか。峠ソムリエ検定はクルマの検定ではなく、むしろ峠をテーマにしたカルチャー検定ですから、多少のドライバーとしての心得は大事ですが、老若男女問わず参加してみてはいかがかと……。これからますますドライブが楽しいシーズンに入ります。新しいドライブを楽しむきっかけをこの検定で作ってみませんか?

 もちろん会場でワタクシもお待ちしております! 次回は4月20日(土)15~16時です

峠ソムリエ認定バッヂ
合格者に手渡される、自分で行った峠や自分のクルマの情報を記録できる手帳がお世辞抜きでとても立派

飯田裕子