【第13回】竹寺で春の精進料理を食すですの、の巻


グルメ隊初の精進料理!ゆきぴゅーのお腹は満たされるか!?

「ゆきぴゅーさんは精進料理って食べたことありますか?」
「たしか中学の修学旅行で食べましたわ」
「あらそうですか。で、どうでした?」
「昔のことで味なんか覚えてませんわよ。それよりエイミー。わたくし普段からお肉が食べたいお肉が食べたいって言ってるのに、よりによってなんで精進料理なんですの?」
「まぁまぁ、そう言わずに。今日行く竹寺の精進料理はかなりの評判らしいですよ」
「本当ですの?お腹いっぱいになるんですの?」
「一番高い6000円のコースを予約してますので期待していましょうよ」

 そんなゆきぴゅーとエイミーが乗った車は、練馬ICから関越道を経て一路、圏央道へ。めざす竹寺は、狭山日高ICを下り飯能市内を経由してずんずんと山道を行きます。駐車場に降り立つと、うっそうとした新緑の中で聞こえてくるのは鳥のさえずりだけ。天上界に来てしまったような、そんな気さえする人里離れた場所なんですの。

「ゆきぴゅー、圏央道通るの初めてですわ」「わたしもです」狭山日高ICを下りて飯能の町を過ぎ里山に入ると、こうして看板が出てくるので安心駐車場までの数百mは砂利道。最後はすこ~し心細くなりますが竹寺はもうすぐ!引き返すべからず
住職のアイデアだという竹寺名物?竹眼鏡。本当にサンシャインや東京タワーが見えるのかはナゾ茅草で作られた大きな輪をくぐることによって疫病や災難を祓われるという「茅の輪くぐり」精進料理は通常11時半からこちらの建物でいただきます

 今回ご紹介する竹寺の正式名称は「医王山薬寿院八王寺」。本尊にインド祇園精舎の守護神、牛頭天王(ごずてんのう)を祀り、天王さまの呼び名で親しまれているお寺です。一番の特徴は、明治維新でお寺と神社を分ける「神仏分離令」にもれたために、お寺とお宮が同居する神仏習合の形として今に至っていること。このようなお寺は東日本ではここだけで、歴史的にも価値のあるお寺なんだとか。

 時間になったので案内されたお部屋で待っていると、御年93歳のご住職が登場。ひとしきりお寺の歴史的なお話などを聞いたあと、いよいよお料理が運ばれてきます。

「わぁ~!竹の器が素敵ですわね」
「短歌みたいなのが添えられていますよ」

と、ここであらためてご住職のお言葉が入ります。

「ご覧の通り、竹寺の精進料理は3つの調和から成り立っています」

 その3つというのは、まず食べ物、それから季節の草花(これを住職はアクセサリーと呼びますの)、そこに添えられる万葉の歌。

「さて。こちらのアクセサリー、これは何だかわかりますか?」
「はぁ……エイミーわかる?」
「何でしょうねぇ……」

 植物に関してはまったく無知なゆきぴゅーとエイミー。恥ずかしいやらなさけないやら……。

「これはハナイカダといって、葉っぱの上に花が咲くめずらしい植物です。そして添えてある歌は、“春の野にすみれ摘みにと来しわれそ、野を懐かしみ一夜寝にける”。山部赤人(やまのべのあかひと)の、まさに今の時期を歌った歌なんですね」
「へぇ~!」

……と、こんな調子で竹寺では1品1品、住職のためになるお話を聞きながら精進料理を味わうんですの。

まずは竹の箸を割るところから。うまく割らないと最後まで苦労することになるのでご用心天台宗八王子(竹寺)の第43代住職、御年93歳!精進料理はご住職のお話を聞きながら1品ずついただくスタイル白い藤の花の甘い香りが部屋中に!添えられた万葉の歌は『藤波の 咲き行く見れば ほととぎす 鳴くべき時に 近づきにけり』
6000円のコースは全20品目。竹の器に盛られた1品1品の美しいこと!ふきに添えられていたのはイカリソウ。花が船のいかりに似ているからこう呼ばれる春の花ですこちらのアクセサリーはベニドウダン。淡紅色の花が目を引きます
きゅうりと和えているのは、山の珍味で不老長寿の薬とされるイワタケ「竹寺の明月をめしあがれ」と出された丸い輪。何だろうと思ったらさつまいもでした柿、桜、もみじ、山みつば、たんぽぽなどの葉っぱの天ぷらはなかなかの美味!
クマ笹が入っているお蕎麦は少し緑色。売店でも「竹笹そば」として乾麺で売っています〆は竹の子のまぜご飯。ここまでくるといつの間にかお腹いっぱいにお料理に添えられていた草花を持ち帰ることができるというのは女性にとってうれしいもの

 ちなみにゆきぴゅーのメモによると、その日は、フジ、ハナイカダ、ニリンソウ、ヤエツバキ、フタリシズカなどの“アクセサリー”が添えられていました。お料理も、ふきのとうの佃煮やずいきの白和え、竹の子の山椒味噌和え、葉っぱのてんぷら、〆は五目ご飯に、竹そば。デザートにカリンの砂糖煮などなどその数ざっと20品目。「普段食べないけど栄養のあるもの」が厳選されているという竹寺の精進料理は、毎年春と秋の期間限定で味わうことができます。

「目で食べて心で味わうのが料理の真髄」

 ご住職のおっしゃったこの言葉を心に刻んで山を下りたゆきぴゅーとエイミー。

「どうでしたゆきぴゅーさん。お腹いっぱいになりましたか?」
「季節の草花と万葉の歌が心を満たしてくれたって感じがして大満足でしたわ。でもこう葉っぱばかり食べたあとはやっぱりお肉が食べたくなりますわね」
「え~っ?!まだ食べるんですか!?」
「だってお肉は別腹っていうじゃないですの」

行ったところ
竹寺http://www.takedera.com
埼玉県飯能市大字南704
TEL:042-977-0108
アクセス:圏央道 狭山日高ICより約55分
精進料理は完全予約制。春の3月中旬~6月下旬、秋の9月中旬~12月中旬に開催。お料理は品数によって3000円、4000円、5000円、6000円のコースが選べます。ちなみに秋のメニューは、柿、栗、ぎんなん等が中心とのこと。次は秋の精進料理も挑戦してみたいと思っていますの。

 


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このクルマでドライブしました!

ゴルフ TSI トレンドライン

登場早々に人気沸騰の6代目ゴルフのベーシックモデル。話題の新開発1.2リッターTSIエンジンは、その排気量からは想像できない豊かなトルクを低回転から提供してくれて、街中でも高速でも運転はラクラク。それでいて燃費は優秀なんだから、人気が出ないわけがない?!

プロフィール

ゆきぴゅーゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)



2010年 5月 12日