雪が降る前に準備しよう
「スタッドレスタイヤ2008年モデル特集」

タイヤ各部の名称

スタッドレスタイヤとは、積雪路や凍結路などの滑りやすい路面での走行に適した冬用タイヤだ。この特集では、2008年に新たに発売された乗用車向けスタッドレスタイヤを紹介する。

なお、メーカーによってはタイヤサイズごとに発売日が異なる場合もあり、まだ発売されていないサイズも含まれている。また、いずれの製品もオープンプライスであるほか、タイヤサイズによって販売価格が異なるため、販売店で確認していただきたい。



コンチネンタル「ContiVikingContact5」
20サイズ(175/65R14 82T~245/40R18 92T)
発売予定日:9月1日~10月1日

ContiVikingContact 5
「ContiVikingContact5(コンチ・バイキング・コンタクト・ファイブ)」は独コンチネンタルが開発したスタッドレスタイヤで、横浜ゴムが日本国内での販売を行う。

同製品では、自動車に搭載されている横滑り防止機能「ESC(Electronic Stability Control)」との連動効果に重点が置かれた「ESC対応パターン」を採用。 ESC対応パターンでは、トレッド内側ではアンダーステア発生時にタイヤ内側にかかる縦方向の力に最適化し、トレッド外側ではオーバーステア発生時にタイヤ外側にかかる横方向の力に最適化したブロックとサイプを配置している。

このほかでは、ブロック同士の倒れ込みを抑制させることで接地面積の拡大と剛性強化を図り、ドライ路面でのふらつきとウェット路面での制動距離短縮を実現した「エレベータグルーブ」、摩耗が進むほどゴムの柔軟性を増すコンパウンドにより摩耗後期でも性能低下を抑制する「ニューノルディックコンパウンド」などの技術を採用している。

ESC対応パターンエレベータグルーブニューノルディックコンパウンド

コンチネンタルタイヤ
http://www.continental-tire.jp/top.htm
ニュースリリース
http://www.yrc-pressroom.jp/html/200882215tr001.html
製品情報
http://www.continental-tire.jp/tirecatalog/cvc5.jsp


ダンロップ「DSX-2」
88サイズ(145/80R12 74Q~245/45R19 98Q)
 
発売予定日:9月~11月

DSX-2
DSX-2(ディーエスエックス ツー)では、前モデルの「DSX」から採用されているエッジ「テトラピック」の大きさを2倍とした「ハイパーテトラピック」を採用することで、氷面の引っ掻き効果の向上を図ったほか、タイヤゴムに「剛性コントロール剤」を配合することで柔軟性と高剛性を両立した。

トレッドには、ブロックの倒れこみを抑えこむことで接地面積の拡大を図られているほか、高剛性によりふらつきや偏摩耗、雪の目詰まりを抑制する「ミウラ折りサイプ」を採用。また、トレッドショルダー部の剛性を高める一方で、トレッド中央部の剛性を下げることで雪路の走破性を向上させた「トリプルフェイスパターン」も採用している。これらの機能により、同社ではDSXと比較して氷上で30km/hからのブレーキング時に制動距離が約2m短縮できたとしている。


DSX-2のテトラピック(上)とDSXのテトラピック(下)剛性コントロール剤がある場合(左上)とない場合(右上)でのポリマーと補強剤の分子のつながり。下の画像は負荷がかかった場合トリプルフェイスパターン
ミウラ折りサイプDSX-2とDSXの制動性能の比較

住友ゴム工業株式会社
http://www.sumitomorubber.co.jp/
ニュースリリース
http://www.dunlop.co.jp/newsrelease/2008/2008_048.htm
製品情報
http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/studless/top.shtml


東洋ゴム「Winter TRANPATH MK4」
24サイズ(185/70R14 88Q~215/50R17 91Q)

発売日:8月1日

Winter TRANPATH MK4
Winter TRANPATH MK4(ウィンター・トランパス・エムケーフォー)は、「ミニバン専用」というキャッチコピーが付与されたスタッドレスタイヤだ。タイヤの内側には発進、制動時にグリップを発揮するスーパーソフトコンパウンド、外側にはコーナンリング時に車両を支えるソフトコンパウンド、ベース部分にはトレッドの柔らかさを保持しするソフトキープコンパウンドの、3種類のタイヤコンパウンドからなる「トリプルトレッド構造」を新たに採用している。

また、タイヤ内側と外側とを異なるショルダー形状やトレッドパターンとすることで、コーナリング性能と、氷面での制動性能向上を図っているほか、360度全方向で引っ掻き効果を発揮できる「360°サイプ」、波型の「ブレーキングサイプ」、ブロック同士で支え合い倒れこみを抑制する「3Dミニバングリップサイプ」を採用。ショルダー部には、幅広スリットと溝底のブリッジにより排雪性とドライ路面での操縦安定性を両立させる「スラッシュスリット」も採り入れられている。


Winter TRANPATH MK4のトレッドパターンWinter TRANPATH MK4装着車の走行イメージ

東洋ゴム工業株式会社
http://www.toyo-rubber.co.jp/
ニュースリリース
http://www.toyo-rubber.co.jp/news/2008/080716_1.html
製品情報
http://toyotires.jp/catalog/wtamk4.html


ブリヂストン「BLIZZAK DM-V1」
27サイズ(175/80R16 091Q~275/40R20 106Q XL)

発売日:9月1日

BLIZZAK DM-V1
ブリヂストンは、SUVおよび四輪駆動車専用のスタッドレスタイヤであるBLIZZAK DM-V1(ブリザック ディーエム ブイワン)をモデルチェンジした。DM-V1では、従来製品「DM-Z3」で採用した「メガ発泡ゴム」に排水用の気泡のほか、大型化した水路を追加することで排水性能の向上を図っている「レボ発泡ゴムZ」を採用。ゴムに「高硬度のバイト粒子」を含むことでエッジ効果によるグリップ向上を、「RCポリマー」を含むことで温度によるゴム性質変化を抑制を図っている。

トレッドには、「センターマルチZパターン」を採用することで、高いブロック剛性と排水性を発揮しドライ、ウェット路面での走行性能を向上。同社によれば、これらの機能によって氷上でのブレーキ性能が11%向上したとしている。


レボ発泡ゴムZセンターマルチZパターン

株式会社ブリヂストン
http://www.bridgestone.co.jp
ニュースリリース
http://www.bridgestone.co.jp/info/news/2008071702.html
製品情報
http://www.blizzak.jp/


ミシュラン「X-ICE XI2」
43サイズ(155/65 R13 73T~245/45R18 100T XL)
発売予定日:9月1日~11月

X-ICE XI2
X-ICE XI2(エックスアイス エックスアイツー)では、トレッド部分に新開発の「アドバンス・トレッドブロック」を採用。アドバンス・トレッドブロックは、複数の穴でサイプを挟み込みブロック剛性の強化を図った「マイクロポンプ」、Z字型のサイプを配置した「クロスZサイプ」、低温での柔軟性と常温でのトレッド剛性を同時に向上させた「フレックスアイス コンパウンド」を採用した技術で、これらの技術により氷面での水膜除去やドライ路面でのグリップ、操縦安定性を向上させたという。

また、接地面圧の均等化が図られているほか、従来製品「X-ICE」で採用している技術も採用しており、X-ICEと比較して約15%のブレーキ性能の向上を実現したという。このほか、スピードレンジで190km/hまで対応している、サイドウォールにダイヤモンドダスト柄がデザインされている、といったX-ICE XI2独自の特長も持っている。


X-ICE XI2装着車の走行写真X-ICE XI2のトレッドマイクロポンプ
サイドウォールのダイヤモンドダスト柄X-ICE XI2とX-ICEの接地面圧の比較X-ICE XI2とX-ICEの制動性能比較

日本ミシュランタイヤ株式会社
http://www.michelin.co.jp
ニュースリリース
http://www.michelin.co.jp/media_center/news/products/080730.html
製品情報
http://www.x-icetv.jp/


横浜ゴム「アイスガードiG30」
88サイズ(135/80R12 68Q~245/40R18 93Q) 
発売予定日:9月1日~12月

アイスガードiG30
アイスガードiG30(アイスガード トリプル)では、タイヤゴムに従来モデル「アイスガード iG20」より採用している「吸水カーボンII」に加えて、改良素材「マイクロ吸水バルーン」や新素材「吸水ハニカムシリカ」を配合した「トリプル吸水ゴム」を採用し吸水性能を向上。このほか、「ブラックポリマー」を配合することで経年によるゴム硬化も抑制している。

トレッドには、剛性強化や従来比で約3割増となるサイプの高密度化を図った3段構造のピラミッド状の立体サイプ「ピラミッドサイプ」や、センター部に大型ブロックを3列配置した「トリプルデザイン」を採用。ピラミッドサイプは、乾いたアイスバーンではエッジ効果によりグリップを向上させるほか、ドライ路面ではブロックの倒れ込みを抑制するにより操縦安定性を向上させてており、氷上性能を高めながら優れた耐摩耗性を発揮したとしている。


「トリプル吸水ゴム」と「トリプルデザイン」

横浜ゴム株式会社
http://www.yrc.co.jp/
ニュースリリース
http://www.yrc-pressroom.jp/html/20087815tr001.html
製品情報
http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/studless/ig30.html


スタッドレスタイヤの利用にあたって

なお、スタッドレスタイヤの使用には以下の点に注意していただきたい。

  • タイヤチェーンと異なり、必ず4輪ともスタッドレスタイヤを装備する必要がある。
  • スタッドレスタイヤにより積雪路や凍結路などでの運転性は向上するが、スリップなどを完全に防ぐものではないので過信しないこと。また、法令でチェーン装着が義務付けられた場合は、スタッドレスタイヤ装着時でもタイヤチェーンを装着しなくてはならない。
  • タイヤの使用限界を示すスリップサインのほかに、冬用タイヤとしての使用限界を示す「プラットフォーム」が設けられている。プラットフォームは、溝の深さが約50%以下になると露出するもので、この時点で冬用タイヤとして利用できなくなる。

スタッドレスタイヤを購入する際に選択するタイヤサイズについては、現在利用している通常タイヤと同サイズが望ましい。スタッドレスタイヤへの交換を期にインチアップ/インチダウンするのであれば、タイヤ外径が通常タイヤとほぼ同様になるサイズを選択することが望ましいだろう。タイヤ外径については、タイヤ幅、扁平率、リム径から計算して導き出すことも可能だが、購入する店舗で店員に車種や利用目的を告げて相談するほうが確実で手軽だ。

スタッドレスタイヤに交換した後の通常タイヤや、冬期以外のスタッドレスタイヤの保管にも注意が必要だ。タイヤは言うまでもなくゴム製品であり、紫外線、熱、水分、油分に晒されることで硬化し、劣化してしまう。劣化を防ぐためには、直射日光が当たり湿度の高いところを避け、タイヤにはカバーをかけて保管するとよい。また、タイヤの空気圧を指定された空気圧の半分程度に落とす、できるだけホイールを組んだ状態で保管し、ホイールを組んだ場合は横置きに、ホイールがない場合は縦置きにすること、タイヤゴムに含まれる薬品が床などに染みないようダンボールなどを下に敷くこと、などを心がけるとよいだろう。 

(編集部:大久保有規彦)
2008年9月25日