日下部保雄の悠悠閑閑

発売間近?な注目車種が多かった東京オートサロン2025

ホンダレーシングの原点「RA272」。1.5リッター横置きV型12気筒。ホンダの夢が詰まったF1だ

 年明け最初のイベントは東京オートサロン。ジャパンモビリティショー(JMS)とは違った意味でのクルマ好きの祭典だ。スポーツモデルは発表の場をJMSから東京オートサロンに移すことが多くなった。

 今年で言えばホンダ「プレリュード」はJMSに続いて実車に近いモデルを展示しており、発売間近を感じさせた。北米では販売されていないGRヤリスに替わりGRカローラ ラリーコンセプトもちょっと驚いた。北米でもラリーはスバルが元気で本格的な体制で活躍している。GRカローラ Rally2が参入するとさらに面白い。突然展示されたGRヤリスのミッドシップはなにを意味するのだろう? S耐参加車両? 走る姿を見てみたいゾ。

プレリュード。いよいよ市販間近かな? シビックベースでワイドボディの数少ないクーペ
GRヤリスMコンセプト。つまりミッドシップ。運転、難しくないのかな? 走ってるところを見たい

 ラリーつながりではダイハツが展示していたミラ イースのターボ/マニュアルは注目。2024年末にスパ西浦で試乗したラリー車のロードカーだ。

 実戦のラリーでトライしたパーツを組み込み、ターボエンジンに5速MT、6ポッドピストン、スペックだけ見るとすごいが軽自動車というところがミソ。コペンのパワートレーンを移植すれば簡単そうだがNAエンジンしか想定していなかった狭いエンジンルームにターボエンジンを入れるのだから熱を逃がすのが大変だ。しかもラリーは低速で負荷がかかるので熱がこもりやすい。流用してきたエアウトレットがフロントフェンダーに自然に組み込まれて違和感がなくインパネの成型もスッキリしてすぐにでも販売されそうだが、皆さんの要望があればとのこと。みんなで要望しましょう。

ターボ/マニュアルのミライース GR SPORTコンセプト。プロトタイプのラリー車に比べるときれいに磨かれて、こちらも市販間近??

 パワーが限られるが軽量なのが軽自動車。しかもランニングコストが安い。極力お金がかからないよう軽自動車の本質を崩さないダイハツGRらしいチャレンジでモータースポーツの裾野が広がりそう。

 TOM’Sのブースでは初代86のホワイトボディがあった。レーシングチームのイメージからいぶかしく感じたが、レストアを本格的に開始するデモンストレーションだった。

TOM’S。SF、SGTとチャンピオンを出したトムスは本社移転と活発な動き。レストア事業にも乗り出す

 レースのスペシャリストがボディのレストアも行なう……。個人的にはTOM’Sが身近な存在に感じられる。

 TOM’Sは歴代のトヨタのスポーツエンジンを知り尽くし、86から始まった4A-Gも2.0リッタークラスの3S-GEも名機にふさわしい実績を残している。

 TOM’Sらしいのはホワイトボディから作り上げるだけでなく、顧客のオーダーに応じたメニューを設定していること。特にエンジンは段階的に分かりやすくしたことでレストアの内容もイメージしやすい。日本だけでなく海外からの注目度が高まるのではないかと思う。

 本社を創業からの世田谷・等々力からお台場に移転し、シティサーキット東京ベイにも近くなり活動の範囲も広がりそうです。

KYBブース。KYBのサスペンション技術を活かして大型キャンピングカーを市販する。部品メーカーらし面白いディスプレイ
ポカポカの陽だまりでトロトロと寝ていたところを気配を感じて薄目を開けたムクさんです
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。