まるも亜希子の「寄り道日和」

肩の力を抜いたeモビリティとの出会い

5月28日~29日に神奈川県茅ヶ崎市の湘南T-SITEで開催された「e-Mobility World2022 〜湘南発 e-Mobilityのある暮らし」。発表されたばかりの三菱「ekクロスEV」をはじめ、ヒョンデの「IONIQ5」、テスラ「Model3」、フィアット「500e」やトヨタ「bZ4X」、プジョー「e2008」や「DS3 CROSSBACK E-TENCE」などなど、たくさんのeモビリティが勢揃いしました。ekクロスEVはかなり注目度が高くて、皆さんドアを開けてあちこちをくまなくチェック。専用のボディカラーも好評だったみたいですね

 おそらく日本では初めての開催だったという、クルマやバイク、自転車や小型モビリティなどが「電動」をキーワードに一堂に会し、垣根を越えて体験できるイベント「e-Mobility World2022 〜湘南発 e-Mobilityのある暮らし」。真夏日となった5月28日、29日に、海風が心地いい湘南T-SITEにて賑やかに開催されました。

 T-SITEは蔦屋書店が展開する、オシャレで新しい文化複合施設として、本や映画、音楽にとどまらず、ライフスタイルを豊かにする提案がたくさん詰まっている場所。私もよく独身時代には、原稿に煮詰まると愛車で代官山T-SITEにぶらりと遊びに行って、コーヒーを飲みながらちょっとリフレッシュしたり、刺激を受けて帰ってくる、なんてことをやっていたのですが、「行くとなんか面白いことがある」場所というイメージなんですよね。

 今回の開催場所となった湘南T-SITEは、周辺がとってもオシャレな住宅街で、海も近いということで、徒歩や自転車でぶらりと遊びに来るファミリーやカップルも多く、より日常に馴染んだ憩いの場として愛されている印象を受けました。

 そんな雰囲気の中、バラエティ豊かに並んだeモビリティたち。まずは三菱アウトランダーPHEVや発表ホヤホヤの軽EV・ekクロスEV、ヒョンデのIONIQ5やトヨタ・bZ4X、フィアット500eなどの電動車。2輪車には、基本は電動バイクだけどペダルが付いていて、坂道などで人力でアシストできるというグラフィットのハイブリッドバイクGFR-02。“令和のスーパーカブ”となりそうな魅力いっぱいの、ゴッチアGEV600。今話題の小型電動モビリティとして、立ち乗りできるグラフィットのX-SCOOTER LOMや、1人乗りのe-Apple、電動アシスト自転車もたくさん勢揃い。

 こうした展示車両を見るのはもちろん、試乗も無料でできるとあって、ワンちゃんの散歩で立ち寄ったような普段着の人たちが、「ちょっとこれ面白そうだから乗ってみよう」なんて、思いがけずeモビリティワールドを体験していかれる様子が、とってもいいなぁと思って見ていました。なんかこう、「モーターショー」といってビシッと開催されているクルマのイベントだと、家を出る時から「よし、クルマを見に行くぞ」と気合を入れて来場する人が多いと思うのですが、今回は「ちょっとコーヒー飲みに来たついでに」とか、「散歩の途中に寄ってみた」とか、人それぞれの日常の中で、肩の力を抜いてeモビリティとの出会いがあり、新しい刺激があるような感じなんです。

 そして、お昼からは2階のラウンジに出展者の皆さまをお迎えして、1つの製品を深掘りしていくプレゼンテーションのステージを進行させていただいたのですが、まぁそのお話の面白いこと! メーカーによって、提案する「eモビリティのある暮らし」が少しずつ違うのです。とくに、普段どっぷりクルマ業界で仕事をしている私には、2輪のeモビリティで新鮮な驚きがいっぱい。

 たとえば、折り畳みできる電動バイクは、軽自動車の荷室にすっぽり積めるようなサイズに設計されていて、4人乗った状態でも持ち運びができるようにしているとか。エンジンがなくてガソリンを使わないので、宅配便で送れるってことも目からウロコ。また湘南では、自転車にサーフボードを積んで海まで行く姿をよく見かけますが、電動バイクでもそうした積載キットが出ていて、自分が持って行きたい荷物に合わせて、いろんなカスタムができるというのも楽しいなぁと感じました。

プロトが出展していた、電動バイクのゴッチアGEV600、電動アシスト自転車のベネリe-bikeも大人気。ベネリは折り畳むとちょうど軽自動車の荷室にすっぽり積めるサイズで、女性でも持ち上げやすい重量というのも魅力的。私も人力の折り畳み自転車はタイヤがちっちゃくて漕ぐのが大変なので(笑)、電動ならいいなぁと、こういうのを探していたんです!

 そしてクルマも、数年前と比べていろんなメーカーからさまざまなタイプのEVやPHVが登場して、好みやライフスタイルに合わせたチョイスが楽しめるようになりましたよね。それこそ三菱だったら、アウトランダーPHEVという「遠出も安心してできる、オフロードも頼もしく走れる電動車」に加えて、日常のアシとして最適な軽EV・ekクロスEVが誕生したことで、1台であれもこれも楽しみたい人と、通勤や買い物などちょっとそこまでに便利なEVを探していた人、どちらのニーズにも応えられるようになっているんです。

 会場でいろいろと見ているうちに、私もすっかり電動バイクが欲しくなってしまって困りました(笑)。プレゼンテーションの最後には、モータージャーナリストのピーター・ライオンさんと河西啓介さんと私の3人で、eモビリティのある暮らしを考えるトークショーを行なったのですが、欧米でもジャーナリスト活動をされているピーターさんと、2輪に造詣の深い河西さんそれぞれの視点が面白くて、これからもっともっと、いろんなeモビリティが登場しそうだという結論に。そして、自分に合ったeモビリティを探して、自然と暮らしに取り入れていく人が増える予感でいっぱいになりました。

 ひとまず私も、今回のイベントに感化され、折りたためるバイクか、立ち乗りできる小型モビリティか、ちょっと本気モードで購入を検討しはじめた次第です。このイベントは今後、ほかの地域でも開催される予定なので、ぜひお近くで開催される際にはぶらりと遊びにきて、eモビリティの世界を体感していただけたらと思います。

ラウンジでは出展者の皆さまをお迎えしたプレゼンテーションのあとに、ピーター・ライオンさん、河西啓介さんと私の3人でトークショーを行いました。eモビリティはすごく進化してきて、いろんなタイプも増えてきているので、あとはインフラ整備がもっと進んでくれたらなぁ、というのは3人同意見。ピーターさんいわく、「日本はそこが遅れているけれど、イギリスみたいに充電器の半分くらいは壊れている、ということがないのは日本のいいところ」というのも面白かったですね(笑)
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在は新型のスバル・レヴォーグとユーノス・ロードスター、ニッサン・スカイラインクーペ。