まるも亜希子の「寄り道日和」
ツルツルのスケートリンクでEVカート競技を楽しみました
2022年10月13日 00:00
日本では他に類をみない、屋内での氷上モータースポーツでありながら、初心者でも若者でも手軽に参加できる敷居の低さも魅力となっている、「SDG's ERK on ICE」。これは日本EVクラブが主催する、電気レーシングカートでスケートリンクを舞台に速さを競う、まったく新しいモータースポーツとしてスタートし、2022年で第3回を迎えました。
私は第1回では競技参加者としてこの面白さを体験し、第2回からはビギナークラス、エキスパートクラスの先導車ドライバーを担当しています。会場となった新横浜スケートセンターには、ヘルメットやレーシングスーツを持った人たちがたくさん集まり、さぞ奇妙な光景だったことでしょう(笑)。
今回、印象的だったのは10代の参加者が増えたことと、普段は車椅子を使用されている方が参加されていたこと。「カートはほとんど乗ったことがない」という初心者も予想以上に多く、誰もが安全に楽しめる氷上EVカート競技がじわじわと浸透してきていることを感じました。
競技を行なうのは、スケートリンクに低いパイロンで作られたオーバルコース。その中央を挟んで左右に2か所、スタートラインが引いてあり、スタート直後に接触するリスクを低くしているのが特徴です。ビギナークラスとエキスパートクラスの競技は、スケートリンクへの入り口脇に並べられたEVカートにそれぞれ乗り込み、そこから1〜2周の完熟走行。この際の先導車を私が担当しました。
はたから見ていると、誰が初心者なのかそれほど区別できないくらい、皆さんスムーズに走り出します。EVカートはスパイクタイヤを履いていて、たまにアクセルを最初から全開にしてしまう人がいると、スパイクで氷をかいてしまって出遅れることがあるので、もしかするとおそるおそる、そ〜っとアクセルを踏む初心者の方が、スタートが上手なのかもしれないですね。
そして完熟走行の後、左右のスタートラインに1〜2台ずつ並び、よ〜いドンでスタート。ビギナークラスは1周、エキスパートクラスは3周を走り、いちばん先にゴールラインを通過した人が優勝という、シンプルな競技です。氷の上なのでドリフトさせるのが楽しく、ついついコーナーのたびに遊んでしまいたくなるのですが(笑)、速く走るために肝となるのは、やはり正確なライン取りでしょうか。全体的に低速で、直線が短いのでせいぜい全開にしても、体感では40km/hくらい出れば御の字、という速度域。なので、コーナー手前で突っ込みすぎてしまうとスピンしやすいし、速度が遅すぎてもダメだし、けっこうコントロール能力が問われる競技かなと、個人的には思っています。
参加者の感想を聞くと、多くの人が「もっとツルツル滑るのかと思ってたけど、意外とタイヤがグリップするので安心して操れる」と語ります。今回も、全日本カート大会で優勝するような強者が参加していましたが、速度の強弱とタイヤをうまくコントロールして、見事な走りっぷりで会場を盛り上げてくれました。
そして最後に、各種モータースポーツ経験がある人か同程度のスキルを持つ人が出場資格を満たす、マスタークラスによるパシュートが行なわれました。これは2名1組がチームとなって、3周の周回数のうち2周目に必ずドライバーの前後を入れ替えなければならない、というルール。3周目のゴールラインを2台とも先に超えたチームが勝者となるので、1人だけ速くても勝てないし、2人とも速くてもチームワークがわるいと勝てないという、なかなか面白い競技なんです。
今回は8チームによるトーナメント制で競われ、前回よりも格段にまたレベルアップ。白熱した闘いは見ていて本当に興奮しました。EVカートはエンジンカートと違って音が静かなので、毎度おなじみ日本EVクラブの舘内代表とMC秋元郁美さんの漫談のような実況がよく聞こえ、観客同士の会話も弾むのがいいところ。4歳の女の子が、「パパがんばれ〜!」と応援していたのも微笑ましかったです。
スケートリンクなので気温が低く、温かいコート着用は必須ですが、排気ガスも出ないし、耳が痛くなるような音も出ないし、家族みんなで楽しめるERK on ICE。昨年に続き参加してくれた方と話したら、「夢はシリーズ戦! 年に1回じゃなくて、もっと走りたいです」と言ってくれたのも嬉しかったです。スケートリンクの方から、氷を傷めることもなく、開催大歓迎ですという言葉もいただいているそうなので、ぜひ全国各地のスケートリンクで開催できるようになってほしいなと思っています。