まるも亜希子の「寄り道日和」
新ジャンルのクロスオーバーモデルで気づいたこと
2022年11月10日 00:00
衝撃的な変貌を遂げた新型「クラウン」が何かと話題ですよね。最初に登場したクロスオーバーのデザインや、伝統のFRではなくなったこと、このあと続々と多彩なバリエーションのクラウンが控えていること、海外展開されることなどなど、トピックてんこ盛り。賛否両論ありますが、注目されるのは無視されるよりよっぽどいい! と私は思います。
しかも、この「セダンとSUVとステーションワゴンのイイとこどり」をしたようなデザイン、すごく好きなんです。メルセデス・ベンツ「Cクラス」初のクロスオーバーとして登場した、Cクラス オールテレインに試乗した時も、「Cクラスの中で一番好き!」と感激したし、シトロエン「C5 X」もこうしたセダンの進化系としてのクロスオーバースタイルで登場して、伝統と革新が同居したデザインがとても魅力的でした。
でもよくよく考えてみると、この3台に「いいな」と感じる理由は単にデザインの好みだけではないことに気づいたのです。
まず、本格的なSUVほどではないけれど、セダンやステーションワゴンよりも高い最低地上高を確保しているのでヒップポイントが上がり、乗り降りがしやすいことと、視界が開けていること。小柄な人だとこのボディサイズのセダンは前が見にくいと感じることが多いですが、その弱点をクリアしてくれます。新型クラウンの場合、従来のセダンよりも80mm高い630mmとなっているそうです。
そして、セダンよりも視界が開けているのに、乗り味はSUVよりも低重心なセダンに近く、高速道路などでも安定感が高いこと。これは不思議な感覚ですが、例えばCクラス オールテレインでは速度が上がるほどにググッと路面に沈み込むような安定感の高まりを感じ、だんだんとクロスオーバーよりも低いクルマを運転しているような気持ちになってくるのです。後席の乗り心地もなかなかよくて、4WDを走破性のためだけでなく、そうした上質感アップのためにも有効に働かせているのかなと感じたところも好印象でした。
インテリアの質感やセンスが一番好きなのは、C5 X。シトロエンのエンブレム「ダブルシェブロン」が細かな模様となっているインパネなどには、どことなく日本の伝統工芸にも通じるホッと落ち着く感じや温かみがあるのですが、それが日本人デザイナー・柳沢知恵さんによるものだと知って、なるほどと腑に落ちました。C5Xは最初に1.6リッターのガソリンモデルが日本に入ってきて、あとからEV航続距離が65kmほどだというPHEVが登場する予定なのですが、走りや乗り心地などはPHEVが本命かな? と期待しています。
クロスオーバーではなくリフトアップセダンとも呼ばれている、こうした新ジャンルのクルマたち。今後、世界的なSUVの勢いがこちらに流れてくるのかどうか、海外でクラウンがどう受け入れられるのか、注目していきたいと思います。