まるも亜希子の「寄り道日和」

メルセデス・ベンツのEV「EQS」で箱根をドライブしてみると

メルセデス・ベンツの最高級EVは、EQS 45と、AMGとして初となるEVのAMG EQS 53がラインアップ。輸入車としては珍しく、V2HとV2Lにも対応しています!

 11月も後半に入ってくると、撮影や試乗会などの仕事で山の方へ行くのがいつにも増して楽しみになります。その理由はやっぱり、運転しているだけで美しい紅葉が拝めるから! 先週は栃木県のモビリティリゾートもてぎに、ホンダ「シビック TYPE R」のS耐仕様車のシェイクダウンを取材に行ったり、メルセデス・ベンツの最高級EV、EQSの試乗会で箱根へ行ったりして、赤や黄色に色づく木々のトンネルや、落ち葉の絨毯など、短いこの時期だけの幸せを噛み締めてきました。

 とくに、107.8kWhという大容量バッテリー搭載で、EV最長の700kmという航続距離を達成し、量産自動車として世界最良のcd値0.20を実現(欧州値)したEQSで箱根をドライブするというのは、格別の体験。走り慣れた道なのに、「舗装工事をやり直したのかな?」と感じてしまう、すべるような乗り心地と、バッテリーだけでも重量が690kgにもなるという巨体なのに、踏めば飛んでいくように加速する未来のノリモノ感がすごすぎました……。

 それでも、ガソリンモデルのSクラスより全長が65mm小さくなり、最小回転半径は5.0〜5.5mと控えめ。リアアクスルステアリングも10度という角度を実現しているので、箱根を走っているとしょっちゅう出くわす道幅のタイトなヘアピンカーブでも、スイスイ走れるのにもビックリでした。

 さらに、インテリアではなんと横幅140cmオーバーという、全面ディスプレイのインパネに目がテン。助手席の目の前までディスプレイになっていて、ここでは助手席の人だけが動画コンテンツを見られるようになっているんです。運転席の人の視線を検知すると、画面が消えてしまうというからなかなか厳しいチェック体制ですよね。

 あとは、EQSから初採用されたのが、「エナジャイジングエアコントロールプラス」という新装備。これはフロントフードの中に活性炭を600gも使ったHEPAフィルターが貼ってあって、大気中のウイルスやPM2.5などの汚れをシャットアウトして室内に入れないようにしてくれるというもの。ディスプレイで、今の空気の状態を確認することもでき、なんと1台でサッカー場150面相当のウイルス吸着力があるとのこと。万が一、ウイルステロに遭遇してしまっても、EQSの中にいれば生き残れそうですよね。

ちょっと名前が長いのですが、エナジャイジングエアコントロールプラスという、初採用の高性能エアクリーン機能の画面。「エアクオリティ」という項目で現在の空気の状態が確認できます。ほかに、車内外に聴こえる音がEQS45は3種類、AMG EQS53は2種類あるのも新鮮でした

 もちろん、この日の箱根は空気もきれいで、汚れた空気はほとんど検知しませんでしたが、これが都心部だったらどうなるのだろうと興味津々です。試乗では、久しぶりにエヴァンゲリオンの普通充電器が設置されている、道の駅「箱根峠」を回ってみました。ここは芦ノ湖を見下ろせる絶景が有名で、ちょっと立ち寄ってみましたが紅葉はこれからが見ごろというところ。エヴァンゲリオンのオリジナルグッズもお土産コーナーにあるので、ファンは必見です。

道の駅「箱根峠」に設置されている、エヴァンゲリオン初号機の200V充電器。EQSは急速充電器でも50kWだと110分くらい(10%〜80%まで)かかるので、普通充電器ではちょっと時間がかかりすぎるかもしれませんが、ファンなら一度は使ってみたいですよね。箱根湿生花園にはエヴァンゲリオン2号機の充電器もありますよ

 あとは、ゆっくり過ごせるならおすすめなのが、温泉プールで人気の「箱根ユネッサン」から見る紅葉です。私は夏に行きましたが、それでも絶景だったので、これが紅葉してたらさぞ美しいだろうと妄想していました。箱根の紅葉は12月上旬くらいまでが見ごろで、とくに箱根湯本のあたりは最後まで紅葉が楽しめるとのことなので、これからドライブの計画を立てる方はぜひ候補に入れてみてくださいね。

箱根ユネッサンのいちばん奥にある、水着で入る絶景露天風呂からの眺めです。これは夏に撮影したものですが、今ごろはきれいに紅葉しているのかなぁと、それを見るためだけに行きたくなりました。家族みんなで一緒に入れるのがいいですよね
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。