まるも亜希子の「寄り道日和」

「Modulo X 10周年記念オーナーズミーティング in 群サイ」に参加してきました

「Modulo X 10周年記念オーナーズミーティング in 群サイ」の開会式では、4tトラックのウイングを開けると、素敵なステージが登場! 左から大津さん、湯沢さん、福田さん、土屋さん、ピエールさん、私で、「なぜ群サイか?」に始まり、Modulo Xのキーとなる「実効空力」の知られざる開発秘話などなど、1時間以上にわたって皆さんと楽しい時間を過ごしました

 語りました! 笑いました! 最後は感動で泣きました! “群サイ”こと群馬サイクルスポーツセンターに、ホンダアクセスが作り上げる渾身のコンプリートモデル「Modulo X」のオーナーが大集合したイベント、「Modulo X 10周年記念オーナーズミーティング in 群サイ」に、MCとして参加してきました!

 まだイベントが終わってから24時間も経っていないので、興奮冷めやらぬという感じですが、とりあえずこの勢いのまま書かせていただきたいと思います(笑)。

 そもそも群サイというのは、有名なのはラリー車のテストコースとなっていたり、最近では全日本ラリーのSSにもなっているところで、すなわち路面がかなりバンピー&スリッピー。気をつけないと穴があいてたり、落ち葉ですべったり、ブラインドコーナーも多くて、まぁ走るのが大変なコースなんです。一般道で試乗して「いいクルマだな」と思っていても、ココに持ち込むと「あれあれ? どうした?」と、隠れていたアラが隠せなくなってくる、なんてクルマもあるほどです。

 Modulo Xのモデルは、そんな難しいコースであえて開発テストを繰り返すことで、お客さまにより楽しく、気持ちよく、後席でも快適なクルマを届けようと日々奮闘しているわけなんです。

 で、オーナーさんの多くは、開発アドバイザーとして初期から参加している“職人”土屋圭市さんが、この群サイをModulo Xで走り込んでいる動画がアップされているのを見て、購入に至っているということもあるので、まさにココはModulo Xオーナーにとっての「聖地」とも言える場所。10周年を祝うのにこれほどピッタリな場所はないですよね。

 私は今回、MCとして尊敬しているピエール北川さんと一緒に、ステージで土屋さんをはじめ、開発統括の福田さん、完成車性能担当の湯沢さん、そしてSUPER GTドライバーでModulo Xオーナーでもあるレーシングドライバーの大津さんの4名のトークを盛り上げるという、大役をおおせつかって責任重大。緊張する〜とブルブルしながらステージに上がったのですが、炎天下で暑い中、大勢の参加者の皆さんが温かい拍手で迎えてくださり、トーク中も一体感が感じられる素晴らしいリアクションをたくさんくれたので、本当にうれしく、ホッとした気持ちでいっぱいになりました。

 ステージではもう、相変わらず土屋さんの歯に衣着せないぶっちゃけトークが炸裂! 群サイでも北海道のホンダのテストコースである鷹栖(たかす)でも、まず後席に座って、走行中にコーヒーが飲めないうちは、俺は運転席には座らないよ、なーんて湯沢さんをしごいているとか、とんでも話がこれでもかと飛び出し、会場は笑いの渦。大津さんは6月にお子さんが生まれたばかりで、夜泣きがおさまらないときにModulo Xに乗せて走るとぐっすり眠ってくれるから助かってます、というイクメンな一面も話してくださいました。普段はなかなか聞けないトークばっかりで、私も一緒になって楽しませていただきました。

数字でもデータでもなく、人間の感覚を第一にしながら、デザイナーさんや営業担当者までもテストコースに赴き、コツコツとテストを繰り返して作り上げていくModulo Xの10年で、最も進化したのが「実効空力」。駐車場を出るくらいの低速でも、違いが感じられるのが特徴です。その実効空力の最先端となるテスト車両がコチラなのですが、紫色のバーがあちこちに装着されている姿にビックリ! 若手エンジニアが100本以上のバーを製作し、テスト走行を繰り返しているそうです

 そして午後になり、私はホンダアクセス公式YouTube用に、オーナーさんへのインタビューをして回ったのですが、ひとりひとり、Modulo Xへの想いの丈をたっぷり語ってくださって、こんなに愛されているクルマって貴重だなと、あらためて実感したのでした。中にはS660 Modulo Xで山口県から1人で駆けつけてくださった女性がいたり、岡山県や富山県、函館から来てくださったオーナーさんもいて、いつもこのコラムを楽しみにしてます、なんて声をかけてくださって本当にありがたく思いました。もう、心の中ではすでに号泣していた私です。

 楽しい時間はあっという間に終わり、閉会式ではなんと、福田さんが今月で定年退職されるという発表が……。Modulo Xの味を守り、次世代へ伝承していく役割を、しっかりと「帽子」というバトンで湯沢さんに託し、こだわり抜く骨の髄からのエンジニアである、福田さんの卒業をみんなで見届けることができたのは、本当によかったなと思います。

 最後は、約200台が連なって群サイのコースをゆっくりと走る、パレードラン。会場を埋め尽くしていたクルマたちが、1台、また1台とコースへ出ていき、最後の1台が見えなくなってガラーンとしたステージ前の寂しかったことといったら。あー、終わっちゃったなぁと、感動と充足感と寂しさで涙が止まりませんでした。でも、お話をさせていただいた人みんな、「またやってほしい」と言っていたのが印象的。きっとまた、今度は新しいモデルも登場したりして、もっともっとワールドが広がったイベントで皆さんと再会できると信じて、今後もModulo Xを応援していきたいと思っています。

初めてお会いしたのは福田さん(中央)が栃木の研究所にいらっしゃったころなので、もう20年くらい前になるかと思いますが、今月で卒業とは本当に残念。でも、福田さんと土屋さんからModulo Xの味をしっかりと湯沢さん(右)が継承し、今後もたくさんの素晴らしいクルマを作ってくれると期待しています!
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。