まるも亜希子の「寄り道日和」

試乗してきました、レクサス「LBX」

ボディサイズ的にはUXと似たような感覚のLBXですが、デザインはちょっとアバンギャルドでセクシーな印象を受けました。レクサスとしてはエントリーモデルとして作ったわけではないとのことですが、きっとレクサスの新しいユーザー獲得に貢献することでしょう

 ルーフボックスも付けちゃったことだし、まだまだ長く乗り続けたいと思っている愛車のMINIクロスオーバーですが、やっぱり同じカテゴリーに新型車が登場すると、気になってしまうものですよね。しかもそれが、プレミアムブランドのレクサスともなれば、なおさらのこと。愛車はディーゼルなので、ハイブリッドモデルというところも気になるポイントです。

 というわけでいつもよりユーザー目線濃いめで試乗してきました、レクサス・LBX。大きさやカテゴリーのヒエラルキーを超えることを目指して作られたLBXは、確かにパッと見た印象からして、“NXの弟分”などという表現はまったく不似合いで、凛としたたたずまいを感じました。低重心な「鏡餅理論」を掲げてデザインされたフォルムは、ヤリスなどと同じGA-Bプラットフォームをベースにレクサス専用開発を施して刷新し、とくにドライビングポジションがかなり改善されているといいます。ヤリスクロスと比較するとヒップポイントで-15mm、ステアリングの角度は2.7度立てられ、24.6度前に傾斜しているのだそう。

 パワートレーンは1.5リッターの3気筒エンジン+モーターで、3気筒というのがやや気になるところですが、トヨタの最新テストコースであるトヨタテクニカルセンター下山で鍛えたというから、期待しつつ市街地へ。軽やかな中にもしっかりとした落ち着きのある走りは、e-Fourモデルの方がより強く感じられました。FFモデルは少しキビキビ感がアップする印象です。トレッドを広げ、ホイールベースも長くしつつ、フロントサスペンションなどの足まわりに手を入れているほか、スポット溶接を増やしたり剛性に効く構造用接着剤をしっかり入れているというのが、走りの質感に表れているのですね。このあたり、愛車はドタバタと落ち着かない乗り味になる場面が多いので、完敗かもしれません。

 ただ、愛車の方が勝っているなぁと思うところもありましたよ。わずかな差ですが、後席の足下スペースとラゲッジ容量ですね。後席のセンターアームレストが付いてないのもちょっと残念なポイント。でも、LBXのバックゲートを開けてみると、少しでも使い勝手をよくしようと工夫した形跡が見て取れました。開口部付近の左右が、ごっそりとえぐれているのです。開発の方にお聞きしたところ、製品テストの際に指摘されて、9インチのゴルフバッグが横に積めるようにサイドを掘ったのだそう。容量は後席ヘッドレストまでで330L、天井まで入れると400Lとのことですが、55Lのスーツケースが4個+55Lのソフトケースが2個も入るというから、実用性はバッチリですね。高さが変えられる2段デッキボードもついていて便利そうです。

LBXのバックゲートを開けてみたら、ラゲッジのサイドに深くえぐったスペースが。日本のユーザーからはとにかく「後席を倒さずにゴルフバッグを積みたい」という要望が根強く、9インチのゴルフバッグが入るように工夫したのだそう

 さて、あとはLBXの羨ましいところとして、外装色が17タイプもある!  レクサス・オーダーメイド・システムとして、インテリアには本革が2種類とウルトラスエードが用意されているし、色やステッチ、トリムなどまで細かく好みのコーディネートが実現するというから、カタログを見ているだけでワクワクしてきます。たぶん、夜な夜なこれを見ながらワイン1本は余裕で飲み干せる気がする(笑)。

上質なレザー、丁寧なステッチ仕上げのインテリアはさすがレクサス。ドアのインナーハンドルがスイッチのように使えるなど、いつも新しい操作感で未来を感じさせてくれるところもいいですよね

 音声対話サービスなどコネクテッド機能が充実しているところもいいし、プレミアムサウンドシステムが標準装備で、音がいいのも羨ましい……。そんなわけでややグラッと心が動揺しつつも、なんとか愛車に踏みとどまっている今日このごろ。現在開発中というハイパフォーマンスコンセプトの方も、楽しみなLBXです。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。