【2011ジュネーブショー
スバル、FRスポーツの技術コンセプトモデル「ボクサー スポーツカー アーキテクチャ」

「ハンドリングはゴーカートのような感覚です」

「ボクサー スポーツカー アーキテクチャ」の解説を行うチーフエンジニア増田年男氏

2011年3月1日~13日(現地時間)
スイス ジュネーブ
GENEVA PALEXPO



プレスカンファレンスに登壇した、富士重工業 代表取締役社長 森郁夫氏

 スバル(富士重工業)のカンファレンスステージを飾ったのは、トヨタ自動車と共同開発を行なっているFRスポーツカーの技術コンセプトモデル「ボクサー スポーツカー アーキテクチャ」と、昨年のロサンゼルスオートショーで公開された「インプレッサ コンセプト」の2台。

 トヨタと共同開発しているFRスポーツカー(トヨタの名称は「FT-86」)は、これまで外観のお披露目こそあったが、パワートレインが正式に公開されたのは初めてとなる。

 搭載されるエンジンは、水平対向4気筒のボクサーエンジン。昨年から市販車への搭載が開始されたの第3世代の「FB型」がベースとなる。水平対向エンジンは、低重心なレイアウトとなり、ブロック剛性も強いため、軽量素材が使える。素性としてはスポーツカーにうってつけのエンジンといえる。

 排気量は2000ccで、自然吸気を採用。開発担当者は「ターボ化などでパワーを上げるよりも、シンプルでクルマの素性が分かる状態で乗ってもらいたい。ハンドリングはゴーカートのような感覚です」と言い、自然吸気で登場することになったようだ。


ボクサー スポーツカー アーキテクチャ

 シャシーは、スバルの技術が詰まったSIシャシーのノウハウを使っている。FRレイアウトなので、4WDを前提に作られたインプレッサやレガシィなどのシャシーがそのまま使えるわけではない。そのため、多くの部分が新規に開発された。ただ、SIシャシーがウリとしている、操縦安定性やしなやかな乗り味、後輪の接地性といった特性を備えるはずだ。

 展示されていた技術コンセプトモデルは、スケルトンでの展示となっていたため、エンジン搭載位置の低さが見て取れる。水平対向エンジンを4WDと組み合わせたこれまでのレイアウトでは、エンジンの搭載位置がフロントアクスルの上になってしまい、低くレイアウトすることが難しかった。だが、FR専用設計としたことでその問題を解決し、現行のインプレッサに比べてかなり後方に、そして低くマウントされている。

 公表されたボディーサイズは4200×1770×1270mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2570mm、タイヤサイズは215/45 R17。トヨタブースに展示されていたFT86Ⅱコンセプトと異なるのは全長、全幅、タイヤサイズで、それぞれ小さな値となっている。

これまでのスバルの4WD車よりも、より低く、より後方に搭載されたエンジンリアサスペンションまわりタイヤサイズは215/45 R17

 一方のインプレッサ コンセプトは、欧州での公開は初。スバルの新しいブランドステートメント「Confidence in Motion」を表現したモデルで、「確かなクルマづくり」の姿勢と「安心と愉しさ」をユーザーに約束するものだ。

スバルのブランドステートメントを象徴する「インプレッサ コンセプト」

 そのほか、WRC(世界ラリー選手権)の元チャンピオン、トミ・マキネン氏がニュルブルクリンクでタイムアタックをした「インプレッサ WRX STI」や欧州市場に投入されることとなった「トレジア」などが注目の展示となっていた。

ニュルブルクリンクで、7分55秒のタイムを記録した「インプレッサ WRX STI」
欧州での販売を行なう「トレジア」初代の水平対向エンジンから最新の第3世代までが並んで展示されていた

ジュネーブショー 2011 レポートリンク集
http://car.watch.impress.co.jp/backno/event_repo/index_c270s1157.html

(真鍋裕行)
2011年 3月 7日