2016ジュネーブショー
レクサス、ハイブリッドフラグシップクーペ「LC500h」をジュネーブで披露
マルチステージハイブリッド機構も展示
(2016/3/2 23:06)
- 2016年3月1日~13日(現地時間)
- スイス ジュネーブ
- GENEVA PALEXPO
レクサス(トヨタ自動車)は2月18日にオランダのデン・ハーグで世界初公開した新型ハイブリッドラグジュアリークーペ「LC500h」をジュネーブモーターショーのメイン展示として披露した。
LC500hは、2016年1月にデトロイトモーターショーで世界初公開した「LC500」(レクサス「LC500」を世界初公開。2017年春発売)のハイブリッドモデル。ガソリンエンジンモデルのLC500がパワートレーンに最高出力349kW(475PS)/7100rpm、最大トルク530Nm(54.0kgm)/4800-5600rpmのV型8気筒 5.0リッター「2UR-GSE」と10速ATを搭載するのに対し、最高出力220kW/6600rpm、最大トルク348Nm/4900rpmを発生するV型6気筒3.5リッターエンジンを搭載し、走行用モーターに有段ギヤの自動変速機構を組み合わせたマルチステージハイブリッドシステムで、システム全体の最高出力264kWを実現している。
トヨタのハイブリッドシステムとしては、新型プリウスなどに搭載されているTHS II(参考記事:燃費40km/Lの実現を目標に開発された新型「プリウス」技術説明会)がよく知られているが、このLC500hではマルチステージハイブリッドシステムを搭載。エンジンからの出力を遊星歯車を使った動力分割機構により、MG1とMG2の2つに分割。その後の出力を2組の遊星歯車を使った4段の自動変速機構によってコントロールしている。
パワートレーンを担当するHVシステム開発統括部 HVシステム開発室 主査 大島康嗣氏に簡単なお話をうかがったところ、THS IIという名前にせずマルチステージハイブリッドシステムとしたのは、パワートレーン後段に2組の遊星歯車ユニットを持たせたためとのこと。このようにギヤを有段とすることで、より広いレンジをカバーでき、よりパワフルに走ることができるほか、エンジンの燃費のよい部分をワイドに使うことができ、燃費がよく、環境負荷の小さいエンジンとすることができる。また、アメリカで開催されたデトロイトショーでガソリンエンジンモデルを発表し、ヨーロッパでハイブリッドモデルを発表したのは、ハイブリッドモデルの拡販をヨーロッパで進めていくという思いがあるとのことだ。
別のスタッフにうかがったところ、遊星歯車を使った動力分割機構はCVTとしても動作するほか、3段の減速比へのステップコントロールを行ない、後段の4速ギヤと合わせて10速のMTモードを実現。後段の1速と動力分割機構の仮想1速で1~3速を、後段の2速と動力分割機構の仮想2速で4~6速を、後段の3速と動力分割機構の仮想3速で7~9速を実現。10速は、後段の4速と動力分割機構で実現し、オーバードライブとして動作。燃費を極力抑えた走行に用いられるという。
また、MG1とMG2ではモーターの種類が異なり、いずれも出力に寄与するほか回生(発電)を行なうものの、ドライバーの要求に応えて出力を出していくのはMG2になるとのことだ。
機構は複雑になるものの、発進などは精密に回転角を制御できるモーターで対応。また、モーターでの走行レンジを拡大することで、静かな走行域も拡大していく。スムーズで静かな発進や巡航、エンジンの高効率領域を使った走行など、レクサスならでは世界を実現していくとのことだった。