東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】スバルが世界初公開した「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」についてデザイン部の河内敦氏に聞く
ガソリンターボに自動運転技術を組み合わせたスバルの意図とは?
2017年10月31日 06:56
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日 一般公開日
10月28日から東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で一般公開の始まった「第45回東京モーターショー2017」。東6ホール(EP14)にあるスバルブースでは「SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」が世界初公開されている。
そのSUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPTに込めた思いについて、スバル 商品企画本部 デザイン部 主幹の河内敦氏にインタビューする機会を得たので、ここにお伝えする。
――最初に、SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPTのコンセプトをお聞かせください。
河内氏:自分で運転してこそ感動が得られる。運転してしっかり楽しそうなクルマをつくりましょう、ということで製作いたしました。
――電動化の時代にあえてマフラー付にした理由はあるのでしょうか?
河内氏:ここはいつものクセみたいなものでマフラーを付けてしまったのですけれども(笑)。電動化はいろいろと研究してスタディなどを行なっています。でも、今回はガソリンエンジンという設定で製作しています。
――「走りの楽しさ」という点で、ガソリンエンジンが基準になっているのでしょうか?
河内氏:そこは、個人的にはEV(電気自動車)だからとか、ガソリンだからとかというのはそこまでこだわっていません。ディーゼルエンジンだろうが、ガソリンエンジンだろうが、乗ってみて意外と「あれ、これガソリンだったな」ということがありますし、変わらないと思っています。ですので、何気筒だろうがターボが付いてようが付いていまいが原動機は何でもよくて、EVでも走る楽しさってないとダメですし、EVだからっておとなしくそっと走っていなくては、という訳ではないと思います。
EVはこの先出たとしても、バッテリーとモーターの性能で全部決まってしまうので、ある意味ほかのメーカーとの差が付けにくくなる。そこでただ燃費だけの勝負なのかというとそうではなくて、そこでやっぱりスバルでは運転する楽しさというのをEVになっても出していかなければいけないと思っています。
――今後のコンセプトで「EVでも運転する楽しさ」が現われてくるということも?
河内氏:そうですね。もしEVだとしても、そういうのは目指していくところだと思います。ただ、EVと言ってもスバルでは都市型モビリティみたいなものは出さないと思います。EVのSUVだったり、クロスオーバーだったりとか。きちんと楽しめるものでEVをやるだけ。ガソリンエンジンがEVになるだけなので、とくにEVだからというのはあまり考えていません。
――EVでもガソリンエンジンでも楽しめるクルマということでしょうか?
河内氏:そこが根源にあります。あとは機能を形にするというのがスバルにはあって、今回はホイールアーチのまわりに黒い枠“クラッディング”を付けています。これまではプロテクターだったのですが、今回は機能パーツとして付けていまして、白いところはちょっとフィンみたいに出っ張っているんですよ。あれはエアスタビライザーで、走行安定性が少しよくなったりします。あと、タイヤハウスの中に入ってしまった空気をどう逃がすかというのが凄く重要で、後ろにスリットを付けて空気を抜けさせたりとか。ただの飾りではなくて、ちゃんとした機能があってデザインをしています。
――ボンネットにエアインテークがあるということは、エンジンにはやはりターボを搭載するということでしょうか?
河内氏:そうですね。ターボでしょう(笑)。ターボを前提としています。ターボも今は燃費をよくするためのターボもありますし、いろんなターボがあります。ただ、パフォーマンスと言えばターボですが、燃費よく出力を出すという意味でもターボは欠かせないのかなと思います。また、エアインテークはスバル車の記号みたいな部分もあると思っています。もちろん賛否両論ありますけれども、やはりあそこにインタークーラーを置いてダクトを付けるというのも機能ですので、ファッションで付けているという訳ではありません。機能パーツとして思えばそんなに違和感はないかと思います。
少し前のインプレッサだとボンネットで空気を跳ね上げてしまっていたのでエアインテークを高くしないと入らなかった。エアインテークの位置がもう少し前にくるともっと空気が入りやすくなったり、エアインテークの手前をへこませて高さを稼いでいたりとか、ちゃんと必要な量を入れる寸法や位置があります。あまり大きくしすぎると今度は空力がわるくなってしまうこともあるので、そのあたりのバランスを考えています。
――最後に、SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPTにも搭載される自動運転の技術についてお聞かせください。
河内氏:スバルでは“運転サポート”ということで、アイサイトをベースにして自動的に止まるプリクラッシュブレーキや、追従クルーズコントロール、車線変更などはどんどん更新してやっていきます。アイサイトで事故率が減りましたとか、事故ゼロを目指すというのは元々あるので、楽をする自動運転というよりも安全のためにしっかりやっていきます。それを自動運転と言うかどうかは別として、そういう進化をさせて、全方位安全というクルマをどんどん造っていく。手放しで運転をして“楽ちん”というのは目指すところではなくて、サポートする技術があってこそ運転が楽しめると思っています。
一昔前はスポーツ走行とかパフォーマンスは危ないという印象がありました。そういう楽しさではなくて、どこか遠くに出かけるときでも安心して高速に乗っていられるとか、帰りに疲れても追従クルコンで帰って来られるとか、ちゃんと技術で守られていて、その上で安心して走れるしドライブを楽しめるということ。スバルがお客様に提供する価値として“安心と愉しさ”と言っているのは、安心があるからこそ運転を楽しめると思っているからです。