CES2015

アウディ、同社の将来を示すコンセプトカー「Audi prologue Show Car」を発表し、NVIDIAのTegra X1を搭載

2015年のCESは自動運転にフォーカス、「Jack」や「Bobby」も展示

会期:2015年1月6日~9日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)、LVH、The Venetian

CESで初公開された「Audi prologue Show Car」。将来のアウディ車のコンセプトが投入されている

 1月6日、Las Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)において「2015 International CES」が始まり、一般来場者へ向けての展示も10時に開始された。

 一般来場者も参加可能な形で開催されたのが、北ホールにあるアウディのプレスカンファレンス。一般入場開始後の11時に、2015年のアウディの発表が始まった。

 アウディは、2014年のCESで基調講演を行い、レーザーを使ったライティングテクノロジーや「パイロットドライビング」と呼ぶ自動運転車を紹介。今に至る自動運転の流れを作り出しているメーカーの1つ。液晶を全画面に使ったフルデジタルの「バーチャルコクピット」も発表し大きな話題となった。

●アウディ、CESの基調講演でPHV「スポーツ クワトロ レーザーライト コンセプト」を世界初公開
http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/CES2014/20140108_629917.html

 2015年のCESは、それら発表内容の振り返りから始まり、自動運転車の紹介へと続いた。アウディは「Bobby」と名付けた自動運転車で、ホッケンハイムリンクを最高速度240km/hで走行。2015年のCESの開幕に向けても、シリコンバレーからラスベガスまで550マイル(約900km)以上を、「Jack」と名付けられたA7 スポーツバック自動運転コンセプトカーで自動走行し、いずれも成功させている。

Audi RS 7 piloted driving concept @ Hockenheim - The highlights
Audi Piloted Driving: Day 2 of the test drive

 プレスカンファレンスに登壇した研究開発担当取締役 ウルリッヒ・ハッケンベルグ氏はそうした実績を紹介し、おもむろにスマートウォッチを取り出し操作を開始した。このスマートウォッチ操作でプレスカンファレンスに登場したのは、アウディの次世代の方向性を示す「Audi prologue Show Car」。より鋭角的になったフォルムや、より低く構えたシングルフレームグリルなど、アウディのDNAを引き継ぎつつ、新しい方向性を具現化している。そのAudi prologue Show Carは自動運転で登場し、ハッケンベルグ氏のスマートウォッチ操作によって所定の位置に止まった。

レーザーライトテクノロジなどライティングテクノロジを紹介
アウディがバーチャルコクピットと呼ぶ、フルデジタルによるメーター表示
CES会場へと向かうJackを紹介

 Audi prologue Show Carが示しているのは、外観デザインだけでなく車内のデザインも同様となる。メインのメーターパネルはより奥行きのある3D表示で描かれ、インストルメントパネルは助手席側まで液晶ディスプレイが広がる。そこでは室内の演出も行われるほか、さまざまな情報表示もできるようになっている。

自動運転について語る、アウディ 研究開発担当取締役 ウルリッヒ・ハッケンベルグ氏
ハッケンベルグ氏がスマートウォッチを操作
Audi prologue Show Carが自動運転で登場した
Audi prologue Show Car
特徴的なヘッドライト
室内
ここでハッケンベルグ氏から電子技術担当のリッキー・フーディ氏に交代

 詳細な部分については、電子技術担当のリッキー・フーディ氏が解説。コンテンツの取得にはLTE回線を使い、その速度は素晴らしいものだという。このAudi prologue Show Carについては、協業関係にあるパートナーも紹介。スマートウォッチはLG電子、メーターパネルや助手席まで広がる液晶ディスプレイはサムスン、LTE回線を実現するチップはクアルコムと、それぞれの会社の幹部を紹介。フーディ氏が最後に紹介したのがNVIDIAのCEO兼共同創立者であるジェンスン・フアン氏で、「自動運転などを実現するためにNVIDIAのTegra X1を搭載する世界初のクルマだ」とフーディ氏が宣言。ハッケンベルグ氏とともにフアン氏がAudi prologue Show Carを見守る映像が流されていた。

Audi prologue Show Carのリアまわり
複雑な3D表示が全体について行われていたメーターパネル
電子技術担当 リッキー・フーディ氏
Audi prologue Show Carの自動運転コントローラとしてNVIDIAのTegra X1を紹介。NVIDIAのCEO兼共同創立者であるジェンスン・フアン氏(写真中央)が協業パートナーとして紹介された

 Audi prologue Show CarとともにCESで初公開されたのが、次期「Q7」の室内モデル。次期Q7ではデジタル描画によるバーチャルコクピットを採用するほか、新たなタッチインターフェイスを搭載。これまでアウディのタッチインターフェイスはMMI(マルチメディアインターフェイス)のコマンドダイヤル上にあったが、コマンドダイヤルの前方にタッチパッドを設置。コマンドダイヤルに手を置きながら指で操作を行いやすいものとなった。

次期Q7の室内モデル
バーチャルコクピットを採用
タッチパッド操作
前席ヘッドレスト後部にタブレット端末を装備
取り外して使うこともできる

 さらに、この次期Q7のコクピットにはリアシート用のエンターテイメントシステムとして、タブレット端末をフロントヘッドレスト後方に配置。このタブレット端末は取り外せるようになっており、クルマの状態表示や地図コンテンツによる徒歩ナビなどもできるようだ。

 LVCCの会場正面にある特設エリアでは、自動運転車の「Jack」や「Bobby」を展示するほか、スタンフォード大学とアウディ「TTS」を使って開発した自動運転車「Shelly」も展示。自動運転のデモは行われていないものの、自動運転はアウディが1番という気合いが感じられるものとなっている。アウディブースや、自動運転車展示コーナーでは、自動運転を司るNVIDIAのTegraシリーズが搭載された自動運転制御モジュール「zFAS」も展示。自動運転の心臓部を見ることができる。

無事CES会場に到着したJackを展示
ホッケンハイムを自動運転で走ったBobby
2014年のCESで自動駐車のデモなどを行ったクルマと思われる
スタンフォード大学と開発したShelly
最新世代の自動運転制御モジュール「zFAS」。2014年よりもさらに小型化が進んでいる

編集部:谷川 潔

http://car.watch.impress.co.jp/