イベントレポート
【ジュネーブショー 2019】フォルクスワーゲン、第8世代の新型「パサート」世界初公開。サムスン製スマホでドアロック解除やエンジン始動可能
2019年3月7日 03:00
- 2019年3月5日(現地時間)発表
- Palexpo
フォルクスワーゲングループは3月5日(現地時間)、スイス ジュネーブで開幕した「ジュネーブモーターショー 2019」(プレスデー:3月5日~6日、一般公開日:3月7日~17日)で新型「パサート」を世界初公開した。
第8世代となるパサートでは、フォルクスワーゲンブランドのCOO(最高執行責任者) ラルフ・ブランドステッター氏が「完全自動運転につながる大きなマイルストーン」と表現する新しい先進機能「Travel Assist(トラベルアシスト)」をフォルクスワーゲンモデルとして初搭載。
あらゆる速度域(作動域:0~210km/h)で部分自動運転を実現するというトラベルアシストは、静電容量式タッチセンサー式の「キャパシティブステアリング(ハンドル保持検知機能)」で「ドライバーがステアリングホイールを握っている」と検知した場合に使用可能。ドライバーがステアリングホイールから10秒以上手を離していると、視覚信号や音声、ブレーキの脈動などを使って警告を実施。この警告にドライバーが反応しない場合は「エマージェンシーアシスト」が起動して、自動制動によって車両が停車するという。
パサートで実現されたもう1つの新機能としては、ブレーキ操作による回避運動で安全性を高める「エマージェンシーステアリングアシスト」を採用。さらにACC(アダプティブクルーズコントロール)も最新世代に進化して、「プレディクティブ(予測)クルーズコントロール機能」が与えられた。この新しいACCでは、これまでACCでは車間距離の制御だけど行なっていたが、新たに速度制限や走行する場所、カーブ、ランナバウト、交差点などに対応して車速を調整できるようになっており、DSG仕様のモデルは、渋滞とストップ&ゴーにも対応。自動発進と自動停止が制御できるようになっている。
先進安全装備では、フォルクスワーゲンが自動運転開発に向けて進めている運転支援システムの新しい傘下ブランド「IQ.DRIVE(アイキュー.ドライブ)」に対応。新しいマルチファンクションカメラを搭載して、「レーンアシスト」の案内機能で車線に加えて道路脇の空間が検出可能となっている。このほかにも性能を大幅に高めたeBKV(電気機械式ブレーキサーボ)をパサート全モデルに搭載。ブレーキの反応時間が短縮され、各支援機能を用いたドライビングの質が向上しているという。
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コネクテッド機能も大幅に強化され、スマートフォンアプリを統合した「Volkswagen App Connect」は、フォルクスワーゲンモデルで初めてiPhoneアプリをワイヤレスに統合。これによってインターネット常時接続が可能になり、リアルタイム情報を活用するナビゲーション関連サービスの品質が向上するほか、ストリーミング配信の音楽再生、インターネットラジオ、自然言語対話によるオンラインベースのボイスコントロールといった既存サービスが利用可能になる。ボイスコントロールでは「Hello Volkswagen」の起動ワードを車内で口にするだけで、カーナビ機能やハンズフリー通話、オーディオなどを操作でき、インフォテインメントシステムに受信したテキストメッセージの読み上げを頼むこともできる。
さらにフォルクスワーゲンのオンラインサービスと外部パートナーが提供するモビリティサービスを統合したデジタルプラットフォーム「Volkswagen We」のシームレスな利用も可能。キャッシュレスで駐車場の利用料金を清算できる「We Park」、外部パートナーが車両にアクセスできるようにして、車両アクセスベースの各種サービスを提供する「We Deliver」といった新しいコンセプト用のスペースを創出するとしている。
このほか、サムスン製スマホの対応機種はモバイルキーとして使用できるようになり、ドアロックの解除やエンジン始動ができるという。
パワートレーンではラインアップするガソリンとディーゼルの両方に粒子フィルターを装着し、すべてが「Euro 6d-TEMP排ガス規制」の要件を満たすものとなっている。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは各3種類の多彩なバリエーションを用意。TSIガソリンエンジンは110kW/150PS、140kW/190PS、200kW/272PSという3種類、TDIディーゼルエンジンは88kW/120PS、140kW/190PS、176kW/240PSという3種類の最高出力が設定されている。また、ディーゼルエンジンでは、「新世代ディーゼルの先駆けとなるエンジン」とする「2.0 TDI Evo」を新採用。110kW/150PSの出力を発生する一方で、同等の前モデルよりもCO2排出量を10g/km低減する高効率ターボディーゼルとしている。
PHEV(プラグインハイブリッド)モデルの「パサート GTE」は、これまでの9.9kWhから31%増の13.0kWhにバッテリー容量を拡大。モーターとターボエンジンの組み合わせでシステム出力は160kW/218PSを発生し、快適で安全に長距離走行できるクルマとなっているほか、EVモードでの航続距離は約55km(WLTPモード)に伸びている。
このほか、ステーションワゴンの「パサート ヴァリアント」をベースにした4WDのクロスオーバーモデル「パサート オールトラック」は、オフロード走行用にアンダーボディ保護機能を備えるバンパーとサイドシルエクステンション、頑丈なホイールアーチエクステンションを標準装備しており、専用のオフロードモード、172mmの最低地上高と専用サスペンション、4輪駆動システム「4MOTION」などにより、一般的にSUVが得意とするようなオフロードでも安心して走行できるようになっている。