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フォルクスワーゲン、シェア社長「2021年は製品攻勢の年」 新型「ゴルフ」など史上最多モデルを導入予告した記者会見レポート

電動化戦略では2021年にマイルドハイブリッドのやPHVを導入

2021年2月9日 開催

フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長のティル シェア氏

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは2月9日、同社 代表取締役社長のティル シェア氏が2020年の振り返りと2021年の販売計画や展望について説明するオンライン記者会見を開催。

 同社の2021年は、同日より先行受注を開始した新型「ゴルフ」など同社史上最多という新型モデルを日本導入し、電動化戦略としてマイルドハイブリッドやPHVを導入することが明らかにされた。

2020年の国内販売台数は3万6574台と前年比22%減

日本市場における2020年の販売実績

 2020年の振り返りでは、新型コロナウイルスの影響などにより、2020年の国内販売台数は3万6574台と前年比22%減という結果が報告された。シェア氏からは、新型コロナウイルスの影響と合わせて、ゴルフといった主力モデルがモデル末期であったこと、世界的に工場の生産を止めなくてはならなくなり車両の供給が安定しなかったこと、それが販売実績に現れたことが説明された。

日本市場における2020年の振り返り

 一方で、顧客満足度の向上や認定中古車販売では前年比5%増といった結果もあり、年末に向けて導入したSUV攻勢で販売を牽引し、特に「T-Cross」については輸入コンパクトSUVの中でトップとなったことなども報告された。

フォルクスワーゲングループにおけるグローバルでの販売実績と電動化車両への取り組みを紹介

2021年は、新型「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」「ティグアン」「パサート」「アルテオン」を日本導入

 そして、2021年については、新型ゴルフ、新型ゴルフ ヴァリアント、新型ティグアン、新型パサート、新型アルテオンといったモデルを導入することが予告され、さらに、アルテオンについてはシューティングブレークモデルも導入するという。

2021年は、新型ゴルフ、新型ゴルフ ヴァリアント、新型ティグアン、新型パサート、新型アルテオンを日本導入する

 2021年を製品攻勢の年と位置付けたシェア氏は、「フォルクスワーゲン グループ ジャパン史上最多の新車を導入する製品攻勢の年となります。これらのニューモデルを、新しいブランドデザインで定めている鮮やかな色使いと洗練された世界観で展開して、ブランドの活性化を図ってまいります」との意気込みを述べた。

マイルドハイブリッドの新型ゴルフを日本導入

新型ゴルフ

 2021年のトピックとなる新型ゴルフについては、排気量 1.0リッターのマイルドハイブリッドシステムを採用した「eTSI Active」、排気量1.5リッターのマイルドハイブリッドシステムを採用した「eTSI Style」「eTSI R-Line」の3グレードが日本に導入される。

 新型ゴルフについて、シェア氏は「私は、ゴルフはまさにファンタスティックなクルマであると思っており、実に運転するのが楽しいクルマだと思っています。新しいゴルフ8の導入を本当に楽しみにしたいと思っております」との期待感を語った。

 また、具体的な特徴として、シェア氏は「まずはデジタル化という特徴があり、新しいユーザーフレンドリーなデジタルコクピットを備えることになります。また、電動化の側面からはマイルドハイブリッドを導入することになります。強化された運転支援システムが搭載されており、安全性や快適性がさらに高まります。この新たな側面を持ちながらも、真のゴルフであることは変わりません。すなわち万人のすべての人にもっともフィットするクルマであります。本当に今後の展開が楽しみです」との考えを述べた。

2021年はマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドを日本導入

 また、シェア氏によるプレゼンテーションでは、日本におけるフォルクスワーゲンの電動化戦略「次世代モビリティシフト」が示され、EV(電気自動車)については、2022年に「ID.」の準備・投入、2023年からID.シリーズを本格導入する計画が明らかにされた。

 EV以外のマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドといった電動化車両の導入については、2021年の導入を予告。シェア氏は「2021年はゴルフのマイルドハイブリッドから始めまして、年末までにはラインアップに新たなPHVモデルを加えてまいります。そして来年になりますとID.の導入ということで、これらがフォルクスワーゲンの次世代電動車ラインアップとしての登場になります」と話した。

フォルクスワーゲングループとしての電動化戦略

新型コロナウイルスの影響で明らかになったデジタルコミュニケーションの重要性

新型コロナウイルスの影響により、個人の移動を確保するため中古車販売が伸びたという

 質疑応答のセッションでは、新型コロナウイルスの影響によって変化しているユーザーの購買傾向について、シェア氏は「実はコロナが始まる前からデジタルコミュニケーションの重要性は増していて、コロナでそれがさらに加速したと言ってもいいと思います」との考えが話された。

 具体的な事例について、シェア氏は「インターネットの利用に関しても情報ソースとしての活用はコロナ以前から、お客さまの間で盛んに行なわれておりました。ですので、お客さまがディーラーのショールームに来店される際には、すでに事前にしっかりと調べられて、どんな製品が欲しいのか、どんなクルマなのかといった情報を持っていらっしゃいます。そういうことから、ディーラーのショールームへの来店回数は減っていると言えるのですが、しかし、だからこそ実はインターネット上におけるお客さまの来店状況というのをしっかりとモニタリングしなくてはいけない、そういう時期に来ているのだろうと思います」と明かした。

 また、シェア氏は「もう1つ例を挙げるとすると、中古車販売ではないかと思います。フォルクスワーゲンには認定中古車販売のビジネスがございます。中古車に関心をお持ちのお客さまというのは通常そのショールームにいらっしゃるのにかなりの距離を移動しなくてはなりません。しかしながら今回のコロナでそれも難しくなってまいりました。ですので多くのお客さまが購入を決める前に、そのクルマを実際に見ていないということが頻繁に起こるようになっています。だからこそ、弊社がしっかりと認定を行なう、保証を行なうということが、これまでにも増して重要になってまいりました」との戦略を明かした。

 シェア氏は「フォルクスワーゲンのディーラーにおけるコロナ対策は万全でございます。お客さまがいらっしゃっても安心していただけるという状況になっており、非常に好評を博しているということで、それが顧客満足度の数字にも表れていると思っております」と付け加えた。