イベントレポート

ヴァレオ&市光工業、全長2.5mの超小型EVや隠れるディスプレイ、車両前方ディスプレイ「e-Face」など展示

一般公開日:2023年10月28日~11月5日

入場料:1500円~4000円

全長2.5mの超小型EV

 ヴァレオジャパンと傘下の市光工業は「ジャパンモビリティショー2023」(東京ビッグサイト:会期10月26日~11月5日)で、小規模配送に適した超小型EVや、車内インテリアに紛れるディスプレイ、自動運転車に「表情」を追加する「e-Face」、高さ5mmのヘッドライトなど展示している。

ヴァレオジャパンと市光工業のブース

 ブースの中央に展示された超小型EVは、元日産の開発者などが関わる「METAx(超小型EV技術研究組合)」によるもの。心臓部にヴァレオの推進システム「48V eAccess」を採用し、独自設計による全長2.5m、幅1.3mの「バイクより大きく、軽バンより小さい」車体を実現した。

 乗車定員はドライバー1名のみで、積載量は乗員を除き90kgまで。バッテリ交換式とし、都市圏の近距離配送などの用途に適した使い勝手を追求している。車検が不要という特徴もあり、維持費を抑えられるのもメリットだ。

METAxが開発する超小型EV
荷室には50Lコンテナが10個積載できる設定
シート下にバッテリを収納する構造
パワーユニットにはヴァレオの「48V eAccess」を採用

 新たな車室デザインを提案する「ヒドゥン・ディスプレイ」も公開。メーターやインフォテイメントのディスプレイ部に特殊な加工を施すことにより、電源オフのときは車室内のインテリアと同化してディスプレイの存在に気付けないが、電源をオンにすると通常のディスプレイのようにフルカラーのグラフィックが浮かび上がる。タッチ操作でラジオなどのメディア再生や天気予報の表示が可能なほか、ゲームで遊ぶこともできる。

「ヒドゥン・ディスプレイ」のデモコーナー
電源オフ時。違和感のないダッシュボードまわり
電源をオンにするとメーターディスプレイが出現
横長ディスプレイで、アプリを起動して使える
週間天気予報を表示
ラジオなどのメディア再生が可能
助手席用にちょっとしたパズルゲームも

 自動運転車の対応範囲を広げるAI画像認識の新技術「パントマイム」も紹介している。現在のところ自動運転車やADAS搭載の車両では、路面や標識、車両、人物などの存在や動きは認識できても、工事作業員や警察官のハンドサインによる交通誘導には対応できない。「パントマイム」ではそうしたジェスチャーを正しく認識し、どのように通行すべきか判断して、自動運転車が適切な操作処理を行なえるようにする技術となる。

 ブースのデモでは、来場者がその認識対象となる交通誘導員になりきり、腕の向きや動かし方に応じて画面上でどのように認識されるかを確かめることが可能だ。

自動運転車などが交通誘導員のジェスチャーを判断できる「パントマイム」のデモ
腕の向きなどを認識し、それが何を意味するのかを理解してクルマの誘導を行なう
電動モーター、インバータ、減速機、電力配分装置、車載充電器、DC/DCコンバータの6つを1つのユニットに収めた「800V 6-in-1 電動アクスル」。機能ごとの交換・メンテナンスも可能になっている
一般的に金属素材が使われるEVなどのバッテリケースに樹脂を用いた「複合材バッテリケース」。強度は維持しながらスチールより30%軽量化。製造時およびリサイクル時のCO2排出量も低減できるという

 一方の市光工業は、自動運転車向けのHMI(Human Machine Interface)である「e-Face」などを展示している。「e-Face」は車両前方にディスプレイを設置し、そこに走行状態に応じた顔のグラフィックや文字情報を表示する仕組み。対向車や通行人に視認してもらうことで、ドライバーのいない自動運転車とのコミュニケーションが可能になり、より安全性の高い運用につながるという。

「e-Face」
茨城県堺町で運行している自動運転バスに搭載する実証実験も行なっている

 フロント&リアのライトやグリル周りの新たなライティングソリューションも複数展示。高さわずか5mmのヘッドライト(ロービーム)に加えて、グリル部などに大量のLEDを敷き詰めた「次世代フロント&リアライティング」もあり、幾何学的な模様を表示するなどディスプレイ的な応用が可能となっている。

フロントおよびリアのライトやグリルまわりのライティングソリューション
シルバーのライン下2本に挟まれている白い部分が「高さ5mm」のロービーム
LEDを敷き詰めてさまざまなパターン表示が可能な「次世代フロントライティング」
リアも同様に大量のLEDを用いたアニメーション表示ができる

 さらに、路面にライトで図形を照射することにより、右左折や後退など車両の動きを歩行者などに知らせる「路面描画プロジェクションランプ」のデモも見られる。実用化のため法整備に向けた取り組みも進めているところだという。

「路面描画プロジェクションランプ」の「後退」を知らせる例
交差点での右左折をわかりやすく知らせる例
日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターに。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、四輪・二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。2009年より参戦したオートバイジムカーナは2年目にA級昇格、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオン獲得。