イベントレポート
新幹線N700SやWRCマシンのブレーキシステムを展示する曙ブレーキ
2025年10月31日 11:15
- 2025年10月30日~11月9日 開催
「ジャパンモビリティショー2025」(東京ビッグサイト、会期:2025年10月30日~11月9日)に出展した曙ブレーキ工業は、新幹線N700S系が使用するディスクブレーキやWRC(FIA世界ラリー選手権)用に設計したモータースポーツ用ブレーキキャリパーなど、同社のブレーキ製品を展示している。
ブースでは、二輪車用・自動車用から産業機械用・鉄道用まで、広範囲にわたるカテゴリーの動くものを停止させる技術を紹介。「akebono」の創業1929年から現在まで、約一世紀にわたる技術進化とその歴史を紹介し、未来に向けた製品・技術についても展示した。
今回初めて展示したFIA世界ラリー選手権(WRC)用に設計したモータースポーツ用ブレーキキャリパーは、世界中のあらゆる路面状況に対応できる高い信頼性を実現し、供給先のチームの勝利に貢献するという世界最高峰の技術だ。展示品はTOYOTA GAZOO Racingが採用するもので、優れた強度と放熱性、コントロール性を発揮。同時に社内のエンジニアの育成にも役立っているという。
また、新幹線N700S用ディスクブレーキもその一つ。最新の新幹線は十六両編成で、このブレーキを合計128基搭載。シートベルトをしていない1300人以上という乗客が乗る車体を、ぴたりと安全に止めるためのものだ。
通常時の新幹線の使用では、300km/hから30km/hまでの減速は回生ブレーキが担当し、そこから先がこのブレーキの使用となるが、非常時の急ブレーキ時には高速度からこれが活躍することになるという。パッドの寿命は2年半ほどといい、JRが定めた2年ごとの点検で新品に交換されるという。
会場に登壇した曙ブレーキの長岡宏社長は、曙ブレーキグループの強みとして「製品」「お客様」「地域」と記載されたボードについて紹介。「製品としては、四輪を中心に二輪商用車、そして産業機械、鉄道に至るまで、本当に幅広い領域で摩擦材製品と機構製品の両方を開発製造している、世界で唯一の会社であるというふうに自負しています」と同社の強みを述べた上で、2025年8月に発表された中期計画について解説した。
「安全品質を徹底的に見直して、お客さまの信頼を維持続ける会社になるとともに、グローバル全地域の黒字化と、不採算であるような四輪事業を少しでも改善していく。そういうことをやることによって、今年営業利益40億円、営業利益率2.6%、そして2027年には営業利益80億円、営業利益率6%、これを目指したいと思っています。その次の3年はいよいよ再成長ということになり、2030年にはこれを150億円に伸ばしていきたい。それを目指してさらに再成長していくというのが、この6年間の中期経営計画の考えです」と語り、新たな市場としてインドを開拓したいとの考えを示した。













