イベントレポート 東京オートサロン 2023
KINTO、トヨタ初の「アップグレードレディ設計」を採用した新型プリウスを東京オートサロンで初公開
2023年1月14日 10:20
- 2023年1月13日 公開
納車したあとでもクルマの価値を維持できる
愛車サブスクリプションサービスを提供するKINTOは1月13日~15日、幕張メッセで開催されている「東京オートサロン2023」に出展し、トヨタ自動車の新型「プリウス」に初めて設定した新サービス「KINTO Unlimited」における「アップグレードレディ設計」が組み込まれたKINTO専用となる「Uグレード」の車両を公開した。展示場所はホール中4のプロセニアムデッキ(渡り廊下)。
一般的にクルマは、納車されたあとは走行距離や劣化などに応じて価値が下がっていくものだが、KINTOは納車後でも車両価値を上げられる施策を検討。そして誕生したのが新サービス「KINTO Unlimited」で、トヨタの技術によって「進化=アップグレード」と「見守り=コネクティッド」を通じてクルマの価値を維持し、新型車をリーズナブルに提供する新たなサービスプランとなる。
また進化の面では、これまでは納車後に追加するには高額な支払いが必要となるいろいろな機能を、納車前にあらかじめ配線などハードウェアの追加に必要となる材料を仕込んでおき、いざ機能を追加したいといったユーザーが出てきても安価で追加できるようにする「アップグレードレディ設計」を開発したという。
アップグレードレディ設計を開発した背景についてトヨタ自動車のアップグレード事業グループ長の天野氏は、「若いスタッフたちの、収入が少ないうちは出費を抑えたいので、もっと安価でクルマに乗れればいいのにという声や、そもそもBSM(ブラインドスポットモニター)やPVM(パノラミックビューモニター)といった機能の存在を知らないでクルマを購入したユーザーに対して、乗り出し価格を抑えたり、あとから機能を追加できたらもっとマイカーに愛着が湧くと思うんです」と語る。
現在公開されている追加メニューは、走行中ドアミラーだけでは確認しにくい後側方エリアに存在する車両や、隣接する車線の最大約60m後方までをモニタリングして、接近している車両がいればドライバーに警告してくれるBSM、クルマの斜め後ろや真横など、目が届きにくい箇所もモニター映像で確認できるPVM、ステアリングヒーターの3つ。
これまでBSMをあとから追加する場合、内装を剥がして配線を引き直したり、ボディにセンサーユニット取り付け用の台座を装着するための穴開け加工が必要で、車種によって異なるが数十時間の作業と10万~20万円ほどの費用がかかっていた。またPVMも同様に、機能を使うためには前後左右にカメラを装着する必要があり、特にリアカメラにはレンズの汚れを落とすためのウォッシャーノズルが付属していて、ウォッシャー液のホースをリアゲートまで通さなければならなず、膨大な作業と時間が必要となる。
そこで「アップグレードレディ設計」では、納車前にあらかじめBSM用の配線をリアフェンダー付近まで通しておき、センサーユニット取り付け用の台座もあらかじめ装着しておくことで、機能追加の依頼があった場合はリアフェンダー付近から配線を交換し、センサーユニットを装着するだけと、大幅に作業時間と費用を抑えることに成功したという。PVMも同じくフロントカメラの配線をバンパー先端まで、サイドミラーに付けるカメラの配線をミラーの根元付近まで、リアカメラの配線やウォッシャー液のホースをリアゲートの先端まで製造段階で組み込んでおき、追加オーダーがあった際に素早く対応できるようにしている。
あらかじめ配線や台座を装着しているため、厳密にいえば車体のベースコストは高くなってしまうが、天野氏によると、「仮に最初のオーナーが機能を追加しなくても、クルマを中古で購入したオーナーが追加することも可能となるため、いつか追加される可能性はあると想定している」という。
天野氏は「これまでは、納車後にクルマが進化する、価値を高めるといった考え方自体がなかったので、考え方を180°ひっくり返すような感じでした」と振り返る。なお、6月頃に正式発表する第1弾では6~7つほどメニューを用意する予定といい、2023年末に第2弾、さらに来年に第3弾と計画していて、最終的には10個以上のメニューを設定する計画だという。
また、ソフトウェアに関しては、スマホのようにオンラインで更新できる「OTA=Over the Air」技術を導入することで、入庫しなくてもソフトウェアを好きなタイミングでアップグレードできるとしている。
コネクティッド機能については、2023年2月にKINTO Unlimited専用アプリを公開予定としていて、トヨタのコネクティッドサービス「T-Connect」を通じて、アクセルやブレーキの踏み方などの基本的な挙動に加え、ハンドル操作やウィンカーを出すタイミングなど、細部にわたる運転データを収集・分析して、ユーザーごとに異なる安全運転や燃費の向上につながるポイントを、専用のアプリを通じてアドバイスする「コネクティッドドライブトレーナー」を提供するという。