イベントレポート 東京オートサロン 2024

ロータスのマーケティング責任者、ラムジ・アタット氏に「EV化への展望」を聞く ライトウェイトなEVの可能性は?

2024年1月12日~14日 開催

アジア・パシフィック、中東、アフリカ マーケティング&PR最高責任者 ラムジ・アタット氏とエレトレ R

 ロータスは、「東京オートサロン2024」(幕張メッセ:1月12日~14日開催)に出展。ロータス初のオールエレクトリックハイパーSUV「エレトレ(ELETRE)R」とロータス最後のミッドシッププレミアムスポーツカー「エミーラ(EMIRA)V6 ファーストエディション」を展示している。

 ロータスのアジア・パシフィック、中東、アフリカ マーケティング&PR最高責任者であるラムジ・アタット(Ramzi Atat)氏が会場に来ていたので、ロータスの今後のEV化、電動化について聞いてみた。

アジア・パシフィック、中東、アフリカ マーケティング&PR最高責任者 ラムジ・アタット氏

 これまで長いことガソリンエンジンを作ってきたロータスは、「ビジョン80」という戦略を掲げ、ライフスタイルEVの発売に舵を切り始めている。今回の東京オートサロン2024で展示している、市販車としてロータス初(※EVハイパーカーの「エヴァイヤ」が先に出ているがリミテッドエディションとは区別しているとのこと)のEV「エレトレ(ELETRE)」をはじめに、2023年9月7日にEVラインアップのフラグシップモデルとして発売した「エメヤ(Emeya)」も投入される。そして今後も次々と新しいEVを発売するという。

「ビジョン80」においては、過去のルーツは守りつつ、エンジニアリング、ドライビングなどの変化にアップデートで対応しているとのこと。今までよりも日常で使いやすいモデルが増えたこともあり、販売目標台数も野心的な戦略を立てているそうだ。これまでのロータスファン向けには、ガソリンエンジンの「エミーラ」をライフサイクル周期まで(6~7年が通例とのこと)販売し維持しつつ、新しいターゲットに向けたライフスタイルEVを提供していくというのが現在の流れになっている。

オールエレクトリックハイパーSUV「エレトレ R」

 最初のEVとしてSUV(エレトレ)を選んだのは、バッテリ量やエンタメやレーダーが搭載しやすいなどの技術的な理由ではなく、あくまでも世界的な需要からという。今後登場するエレトレより小型でGTタイプの「エメヤ」、ミドルサイズSUV「タイプ134」や、その後に控えるEVのスポーツカーにも同様のテクノロジを使っていくとしている。

 よりライトウェイトなEVの可能性は、という問いに「エアロダイナミクスやカーボンなど、ライトウェイトを目指すことは常に行なっています。創業者コーリン・チャップマンから受け継いできているライトウェイト、コンパクトという考え方は忘れずに、EVになってもできる限り技術を投入しようと考えでいます。エレトレにもその考えが100%投入されています」と答えてくれたのは印象的だった。

コーリン・チャップマンから受け継いできているライトウェイト、コンパクトという考え方は、EVでも忘れていませんと語るラムジ氏

 日本はまだインフラを含めEVへ大きくシフトするにはいたっていない。しかし先行投資的な観点で、エレトレのプロモーションには力を入れていくとのこと。今後普及していった時に「ファーストチョイスとして選ばれるような戦略を考えながら進めていく」とラムジ氏は語ってくれた。世界各国でEVの事情は異なるが、各国同じ力量で展開していき、普及している地域では、今テスラなどEVを乗っている人の乗り換えの候補になるような戦略にしたいとも言っている。

 エレトレにも導入されているが、ロータスはサウンドシステムを、イギリスの音響メーカー「KEF」と「ドルビー(Dolby Atoms 7.1)」とタッグを組み作り上げている。「KEF」のスピーカーは主に家庭やスタジオで使われているが、カーオーディオの採用はロータスが初だ。エレトレでは23個ものスピーカーが搭載されているが、このサウンドの感想を聞くとラムジ氏は、「これまで聞いたことのないアメージングなカーサウンド」とのことなので、どんな音が聞けるのか楽しみになる。

「KEF」とコラボレーションした理由は、多数のスピーカーを載せると不要な振動がでてしまうが、それをうまく消すことができたこと、よりイノベーティブでテクノロジが優れていたことが「KEF」を選択した要因とのこと。単純にイギリスというつながりというだけではないとしていた。「KEF」は「Uni-Q」というスピーカーを同軸にした点音源であることを追求していて、定位がしっかりした濁りのない音を聞くことができる。

 こういった豪華なサウンドシステムや、多数のカメラ、LiDARを使った安全運転支援システムといったテクノロジを搭載しやすいのも、ライフスタイルEVの大きな特徴になってくるとも言っていた。日本でエレトレは、現在認証の段階にきているそうで、「認証が済み次第テストドライブが可能になるので、楽しみにしていてほしい」とのこと。

オールエレクトリックハイパーSUV「エレトレ R」

 展示していたロータス初のオールエレクトリックハイパーSUV「エレトレ(ELETRE) R(ギャロウェイグリーン)」は、エレトレの高性能グレード。デュアルモーターを採用して最高出力675kW(918PS)、最大トルク985Nmを発生。0-100km/h加速は2.95秒、最高速265km/hというパフォーマンスを発揮する。価格は2585万円。

 インタビューで触れた「KEF」の23個のスピーカーを2160Wのハイパワーで動かし、Dolby Atmosに対応するのは「S」グレード。「R」は1380Wで15個のスピーカーシステムとなる。

「エレトレ R」

 エミーラ(EMIRA)V6 ファーストエディション(へセルイエロー)は、ロータス最後のミッドシッププレミアムスポーツカー。2シーターで、最高出力298kW(405PS)/6800rpm、最大トルク420Nm/2700-6700rpmを発生するV型6気筒3.5リッタースーパーチャージャーエンジンをミッドシップに搭載。最後のガソリンエンジンモデルになると言われている。

ロータス最後のミッドシッププレミアムスポーツカー「エミーラ V6 ファーストエディション」
ロータスブース
村上俊一